アピストグラマの混泳の注意点は?飼い方や種類、餌などを徹底解説!

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アピストグラマってどんな魚?

アピストグラマの種類や特徴

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小型美魚の代表、アピストグラマ。中南米のジャングルに流れる小川などに生息する、美しく可愛らしいシクリッドの仲間です。

特徴

アピストグラマは5~10センチ程度の小型のシクリッドの仲間です。魚体や鰭が、光沢のある赤、金、青などで彩られ、美しい種が多いのが特徴で、50種類以上が確認されています。水質に敏感な種もいますが、水槽内での繁殖も容易。懸命に子育てをする微笑ましい姿を見ることもできます。

分布

ブラジルやペルー、パラグアイ、コロンビアなど、中南米を中心に分布します。このためアフリカからアジアまで広く分布するシクリッドと区別し、「アメリカン・シクリッド」と称されます。アマゾン川流域のソリモス川、パラグアイ川流域などの、比較的流れの緩い止水域に多く生息しています。

寿命

アピストグラマの寿命ですが、種によって異なりますが、寿命は一般的に3年程度と言われています。種によっては12年も生きるものもいます。

流通量と相場

現地で採取されたものと、飼育下で繁殖されたものがそれぞれ流通しています。アピストグラマは古くから飼育人気が高い種なので、輸入量は安定して多いです。ポピュラーな種類は1500円から3000円程度と、お手頃な価格で売られていますが、天然採取された珍種は2万、3万円と高価です。

アピストグラマの種類・改良品種

アピストグラマの代表的な種類をご紹介します。

ドイツラム(ジャーマンラミレジィ)

アピストグラマの代表種で、非常にカラフルで派手な体色が人気の品種です。飼育も容易で、ペアで販売されているのもよく見かけます。

アピストグラマ・アガシジィ

ポピュラーで飼いやすいアピストグラマ。成魚はオスは約9センチ、メスは約6センチになります。オスは体 側に黒いラインが入り、黄色や青、オレンジなど様々なが鰭に配色された美しい魚です。性格は温和で混泳も可能です。

アピストグラマ・カカトゥオイデス

背びれや尾びれの深い切れ込みが特徴的な、華やかな姿をしています。野生種も十分に美しいですが、赤や黄色などの鮮やかな色を帯びた品種改良種も作出されています。成魚はオス約10センチ、メス約6センチになります。

アピストグラマ・ビタエニアータ

羽根のような派手な鰭と華やかな体色の美しい魚です。他種と比べるとやや長手の印象があります。ポピュラーな種類ですが、産地によって体色や体長にに大きな差がありますので、コレクションを楽しむこともできます。

アピストグラマ・ボレリー

顔の赤と青の独特の模様が特徴的な種類です。また、ヒレには黄色も乗り、とても爽やかな印象があるアピストグラマの仲間です。

アピストグラマ・ホングスロイ

やや体高があり、背びれや尾ひれの根元に赤い色彩が乗るのが特徴です。決して、アピストグラマの中では、派手な種類ではないですが、水槽のいいアクセントになってくれる種類です。

アピストグラマ・マクマステリ

コロンビアのメタ川、オコア川に生息する種類で、ヨーロッパでブリードされた個体が多く流通しています。淡い黄色の下地に黒い模様が入り、海のベラのような模様が綺麗です。

アピストグラマ・ナイスニィ

オスは淡い体色であるのに対し、メスはほっぺたと背びれの前方に黒い斑点があり、パンダ模様のように見えるのがとても可愛らしい種類です。

コバルトブルーラミレジィ

コバルトブルーが美しい改良品種です。他のアピストグラマは複数色のカラーが一般的ですが、コバルトブルーラミレジィは青が一色なので、水槽内でも他のアピストグラマとはまた一味違って目立ちます。

 

バルーンラミレジイ

体が風船(バルーン)のように寸詰まりになっていることから、このような名前が付いています。色々な品種のバルーンタイプが作出されています。

アピストグラマの飼育の基本

アピストグラマは小型魚なので、小型、中型水槽での飼育が可能です。ただし他の観賞魚と違って、水質の影響を受けやすいため、水質を保持できるかが飼育のカギとなります。環境が良ければ、産卵も比較的容易に成功します。

水温・水質

アピストグラマは様々な標高や水質環境に応じて分化してきたので、種ごとに最適な環境が異なります。水温は一般的には、23度から27度の範囲が良いとされています。

アピストグラマの飼育水槽の水質は、「軟水」とよばれる水を使うのが基本です。日本の水道水にはマグネシウムやカルシウムなどの無機物が含まれています。無機物が特に多い場合はこれらをRO膜という特殊なフィルターで除去する必要があります。水中の無機物の量は、TDSメーターと呼ばれるテスターを使って調べると便利です。PHは6.0~7.0程度の範囲に調整し、中性から弱酸性を保ちましょう。硬度、PHを保つために「マジックリーフ」というタンニンを多く含む葉を水槽に入れるのが、お手軽でおすすめです。

水槽サイズ・フィルター

アピストグラマはペアで飼育するのことが多く、2、3匹なら水槽サイズは60センチで十分です。小型魚で餌も少量で良いので、強力な濾過は必要ありません。止水を好むため、濾過の水流はなるべく弱い方が良いでしょう。
アピストグラマはいつの間にか卵を生んでいることもあります。知らないうちに生まれた稚魚たちを吸い込んでしまったりしないためにも、濾過形式はスポンジフィルターがおすすめです。水槽も濾過も小さめでOKですが、その代わりにポリタンクなどにくみ置きの水を準備しておきましょう。水が急変した際に水道水を一気に足すようなことはできません。

 

底床材

低床材(底砂など)はPHを変化させないものを選ぶことが大切です。PHを弱酸性に安定させる効果がある、土を焼成した「ソイル」や「セラミック」などがお勧めです。貝殻などのカルシウムが混じる大磯砂や珊瑚砂は水をアルカリ性にしますので、中性から弱酸性を好むアピストグラマの飼育には使えません。

アピストグラマの餌

動物性の餌が中心です。自然界ではミジンコなどのプランクトン、ボウフラなどの昆虫、小さな甲殻類などを食べているようです。なのでブラインシュリンプや冷凍アカムシな どはかなり好んで食べます。飼育下では、人工餌のフレーク、ペレットなど、口に入るサイズのものもよく食べます。

 

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アピストグラマの水槽レイアウト

アピストグラマの生息地は、ジャングルの水たまりのような、多くの枯れ葉が小枝が水底に降り積もったような環境です。素早く広範囲を泳ぎ回るような習性ではないので、隠れ家となるような流木を組み合わせ、マジックリーフを沈めるなどし、ジャングルな雰囲気を醸し出すと、鮮やかな色がいっそう映えるでしょう。

アピストグラマの混泳

温和な種類が多いアピストグラマは、流木などで隠れ家を多く作ると混泳も可能。色とりどりの種類が舞う水槽は宝石箱のようです。

同種・近縁種との混泳

アピストグラマは気に入った流木の下などを縄張りとし、一定の範囲に入るものを侵入者と見なすので、60センチ水槽程度の空間で飼育するな ら、同じ種類だけにしましょう。

90~180センチというような水槽ならば、アピストグラマの他種との混泳も可能です。流木を組み合わせていくつもの隠れ家を作れば、互いの縄張りを侵すこと無く、平和に共存します。しかし中には攻撃的な種、個体もいます。特に産卵期などになるとオス、メスともに性格が急変し、本能をむき出しにして警戒、威嚇の行為をしますので、組み合わせは慎重にしましょう。

他種との混泳

同種のペア飼育が基本です。小型魚のため、肉食魚との混泳はできません。シクリッドは好奇心が強い魚ですが、アピストグラマは温和な種類が多いため、自ら積極的に他種に危害を加えるようなことは少ないです。飼育中に産卵する可能性を考 えると、コケとり用のヤマトヌマエビの投入なども、タイミングを慎重に判断しましょう。

同じくコケ対策として入れるプレコなども、流木に産み付けた卵などを食べてしまうことがあります。産卵期で無ければコリドラス、ネオンテトラなどの小型カラシン、レインボーフィッシュなどの小型魚との混泳も可能です。

アピストグラマの繁殖

美しいアピストグラマ飼育のもう一つの楽しみは、繁殖です。産みっぱなしのではなく、卵の世話をし、稚魚を守る面倒見の良い習性を持つため、観察するだけでも楽しみになります。
産卵は水質などの条件が整っていれば自然に行われます。卵は流木の陰などに50~80粒ほど産み付けられます。

 

産卵をするためのアイ テムとして、二つ割りにしたココナツの殻なども売られています。卵は3、4日で孵化します。生まれた稚魚はヨーサックを付けていますが、すぐにブラインシュリンプを食べ始めます。稚魚は一定の大きさになるまでは親魚の周辺を離れません。

アピストグラマの病気

アピストグラマはPHの急変などのストレスがかかると体力が弱り、病気になります。白点病やチョウなどの寄生虫による病気や、エロモナス菌に感染したことによる病気などがあります。アピストグラマは水質の変化に弱いので、薬にも少し気を使いましょう。薬浴をするならば、十分な注意が必要ですので、少しでも調子が崩れたと感じたらすぐに水替えをし、数日間水温をゆっくりと30度近くまで上昇させ、様子を見ましょう。

これからも見つかる新しいアピストグラマ

アピストグラマは大河の無数の支流で独自の進化を遂げてきました。新しいアピストグラマは次々と発見されており、日本人の発見したものも多数います。これからもどんどん、新魚が見つかることでしょう。その一方で、アピストグラマの生息域は、開発などで急速に減少しています。できれば繁殖に挑戦し、何世代にもわたる飼育を目指しましょう。

アピストグラマの種類や特徴