パイロットフィッシュに適した魚の条件とおすすめ6種!

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パイロットフィッシュとは

パイロットフィッシュとは水槽に一番最初に入れる魚のことを指し、生物濾過を早期に立ち上げるために導入されます。水槽で魚を飼育すると、フンや尿などの排泄物が水槽内に放出されますが、そのまま放っておくとアンモニアなどの毒性の強い有害な物質が生じてしまいます。

 

アンモニアをさらに別のバクテリアが毒性の弱い亜硝酸や硝酸へと分解することで、水槽内のバランスがとれ長期飼育が可能となりますが、このような分解システムをつくり上げるためには、最初にアンモニアを分解するバクテリアの餌となる有機物が必要です。

 

バクテリアは水槽内に何も入れなくても徐々に定着していきますが、餌となるアンモニアがないとそのスピードは遅く水槽内の水質バランスが安定しません。そこで、パイロットフィッシュを入れることで、有機物を水槽に発生させそこからアンモニアなどの餌を作り出すのに利用します。

パイロットフィッシュを用いるメリット

パイロットフィッシュを用いるメリットをみてみましょう。

生物濾過が早く立ち上がる

パイロットフィッシュを導入する最大の目的であり、メリットでもあるのが立ち上げの迅速化です。パイロットフィッシュの排泄物などによりバクテリアが増えやすい環境を作ることができるため生物濾過が早く立ち上がります。

 

パイロットフィッシュにとっては厳しい環境かもしれませんが、その役割はとても重要です。

立ち上げ初期から水槽に華を持たせられる

パイロットフィッシュを利用せずに、自然にバクテリアが繁殖するのを待っていては水槽内ががらんと寂しいと感じると思います。パイロットフィッシュが泳いでいるだけで、特に初心者にとっては水槽無いが賑やかでアクアリウムも楽しくなると思います。

パイロットフィッシュを用いるデメリット

パイロットフィッシュを利用することで早期に水槽のろ過システムを立ち上げ、安定化を図ることができますが、パイロットフィッシュ自体の後処理に困ってしまう場合もあるので注意が必要です。最終的に混泳水槽を立ち上げたいという場合であれば、パイロットフィッシュもそのままタンクメイトにしてしまえば問題ありませんが、そうではない場合パイロットフィッシュの行き場がなくなってしまいます。

 

少しかわいそうですが、肉食魚水槽であれば餌にするなどが必要ですし、それが嫌なら別水槽に移動してあげる必要が出てきます。パイロットフィッシュとして選択する魚は、基本的にはとても丈夫な種ばかりなので、水槽立ち上げ後のことも考えておきましょう。

パイロットフィッシュとなる条件

パイロットフィッシュとしての条件はどのようなものなのでしょうか。

とにかく丈夫である

パイロットフィッシュが導入される環境は良くも悪くもなにも無いまっさらな環境です。飼育を始めた初期は特に、アンモニアなどの有害物質によりパイロットフィッシュは厳しい条件下に置かれます。そんな環境にも長期間耐えられる丈夫さを持っていることが条件となります。

性格が温和である

パイロットフィッシュがそのまま立ち上げた水槽に残る場合は、後から入れる本命の魚に危害を加える種類では元も子もありません。後から入れた魚を食べてしまったり、追いかけ回してしまうようなことがなく、性格が温和な種類がパイロットフィッシュには適しています。

価格が安価である

パイロットフィシュは高価な魚ではなく、安価であることも条件といえます。パイロットフィッシュは別の言い方をすれば、後から言える本命の魚の保険としての意味も持っていますのでできるだけ価格がやすくアクアリストの金銭的なリスクが小さいものが適しているといえます。

パイロットフィッシュにおすすめの6種類

パイロットフィッシュとしての条件を満たしたおすすめの魚たちをご紹介します。

アカヒレ

パイロットフィッシュといえばこの魚!というくらい丈夫で飼いやすいのがアカヒレです。熱帯魚として販売されていますが、中国原産で日本と同じ温帯性の地域に生息する温帯魚なので、低水温にも強いのが特徴です。性格もとてもおとなしく、そのまま混泳水槽にも馴染んでくれます。

ネオンテトラ/カージナルテトラ

ネオンテトラやカージナルテトラもパイロットフィッシュとしてして用いられることが多い魚です。導入初期には白点病にややかかりやすいという点はありますが、基本的には丈夫で価格も1匹100~150円ととても安価です。また、ネオンテトラやカージナルテトラはレッドとブルー〜グリーンの体色がとても華やかなのも魅力です。性格も大人しく、混泳にも向いています。

 

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メダカ

メダカももともとは日本の河川に棲む魚なのでとても丈夫でパイロットフィッシュとしてもおすすめです。熱帯魚のような派手さはありませんが、大きくならずおとなしいのでとても可愛いですよ。餌用のメダカは非常に安価で販売されているので、それを利用するのもいいかもしれません。

和金

金魚の中でも原種に近く、非常に丈夫で飼いやすい魚です。水槽のサイズに合わせてある程度成長速度が変わりますが、最終的には30cm近くにもなりますのでパイロットフィッシュとして導入する際は肉食魚の餌として処理するなどの必要があるかもしれません。もちろん、後から入れる魚と一緒に飼ってあげるのもいいですが、金魚は雑食性なので後から入れる魚が食べられないように注意しましょう。

ブラックモーリー

ブラックモーリーは真っ黒な体が特徴の熱帯魚です。体が真っ黒であるため、白点病などの病気にかかった際もすぐに発見できることからパイロットフィッシュとして導入するという方もいます。また、ブラックモーリーは水槽内の糸状苔を食べてくれるので、苔取り屋さんとして後々働いてくれるのも魅力です。

パイロットフィッシュを入れるタイミングは?

パイロットフィッシュは先述の通り水槽を早く立ち上げるために導入される魚なので、水槽を組み立ててレイアウトをしたら、すぐに導入してしまって構いません。ただし、しっかりとカルキ抜きと水温合わせはしてあげましょう。いくら丈夫と言われるパイロットフィッシュでも最低限の準備は必要です。パイロットフィッシュを導入する際も、病気などの異変が出ていないかもチェックしてあげましょう。

パイロットフィッシュの匹数と餌の量は?

パイロットフィッシュを入れる数ですが、目安は以下の通りです。

  • 60cm規格水槽 6~10匹
  • 45cm水槽 3~5匹程
  • 30cm水槽 3匹以下

導入する魚の種類によって体長に差があるので、入れる匹数は変わってきますが、入れすぎには気をつけてください。あまり入れすぎるとアンモニア濃度が高くなりすぎてしまいます。

 

パイロットフィッシュへの餌やりですが、1日2~3回を数分で食べきれる量与えてあげましょう。上記と同様に、与えすぎると残った餌が腐敗して必要以上に水質を悪化させてしまいます。与えすぎた際は、食べカスは取り除いてあげると良いでしょう。

パイロットフィッシュは水槽立ち上げの要

パイロットフィッシュを活用しよう

撮影:FISH PARADISE!編集部

パイロットフィッシュは水槽の立ち上げにおいてとても重要な役割を果たしています。できるだけ水槽の水質を早期に安定させることは、魚の健康維持においてとても大事です。パイロットフィッシュにされる魚は少しかわいそうと思う方もいるかもしれませんが、水槽立ち上げが成功した時は、パイロットフィッシュも後から入れる魚と一緒に可愛がって育ててあげてください。初めに飼育し苦楽を共にしたパイロットフィッシュって、なんだかとても愛情が湧きますよ。

 

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