イトウってどんな魚?釣りの最大記録は何cm?

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イトウの生態

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分類 サケ目サケ科イトウ属
和名 イトウ
学名  Hucho perryi
分布 北海道、樺太、南千島
特徴 鱗は小さく円鱗である、体の背面・側面に小黒点がある

イトウの特徴

イトウの特徴

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体長1.0~1.5mほどにまで成長する大型の淡水魚です。魚体は側偏し、細長い印象を受けるスレンダーなフォルムをしているのに対し、サケ科の中では珍しく頭部は平たくなっています。ニジマスなどと同様に背ビレと尾ビレの間には脂ビレを持ち、口は大きく、口の後端は目のそれを超えるほどです。体色は、背側が青味を帯びた褐色で腹側は銀白色をしており、腹側を除いて黒色の小さな斑点が無数に入ります。稚魚期にはヤマメのようなパーマークが7~10個見られますが、成長するにつれて消失します。

イトウは幻の魚と言われている

イトウは日本の在来淡水魚では最大の魚種で、以前は本州の北部でも見られましたが、護岸工事などの影響で本州では既に絶滅してしまいました。現在、天然の個体については国内では北海道でのみ見られ、環境省のレッドデータブックで「絶滅危惧IB類(EN)」に指定されています。幻の魚と言われるほど希少性が高くなっており保護活動も行われていますが、イトウのような食物連鎖のトップに位置する大型魚は、生息水域そのものを保全しなければなりません。さもないと、餌の不足などで世代交代が滞る結果を招くので、個体数の回復・増加は困難な状況が続いています。

イトウの伝説

イトウはその巨体から民間伝承にも登場しており、有名なものにアイヌ伝説があります。その内容としては次の通りです。

"アイヌの狩人が大熊を見つけ後を追ったところ、熊が然別湖(しかりべつこ)に飛び込み泳いで逃げてしまいました。ところが、湖の中ほどまで到達したタイミングで、沈んで見えなくなってしまったではありませんか。そこで、狩人が舟を出してみると、体長40~50mほどもあるイトウのヌシが熊を飲み込み、のどを詰まらせていた。"

というものです。その他にも鹿を丸飲みにしたという伝説もあるそうで、昔の人もイトウの大きさに特別な感情を抱いていたことを窺い知ることができます。

イトウの生態

イトウは幻の魚とも言われる

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イトウの分布域は北海道東部から千島列島、樺太、ロシア東部の沿海州にかけてです。河川や湖沼の流れが穏やかな場所を好んで生息しており、湿地帯で比較的多く見られます。

 

サケなどと同様に降海性を持ちますが、多くの個体は汽水域に留まり、完全に降海する個体は珍しいです。北海道に分布しているイトウは夏季は河川の中流域で生活し、冬季になると汽水域にまで降りてくることが分かっています。しかし、生涯に何度降海するのか、海にまで降りた個体はどのような生活史を持つのか、など未だ不明な点も多いです。

 

食性は肉食で、小さい頃は水生昆虫や小型の甲殻類を食べていますが、成長と共に魚食性を持つようになり、大型の個体は蛇やカエル、鳥の雛なども大きな口で一飲みにしてしまいます。

イトウの産卵期

産卵期は4~5月頃で、河川を遡上して上流域で産卵します。1回の産卵はオス・メスのペアで行われ、繁殖行動中に他のオスが割り込んでくることはありません。上流の流れがある砂利底に産卵床を掘り、そこで産卵・放精が行われます。産卵は5~6回に分けて行われ、場所も複数カ所に変えることが多いです。また、その間に繁殖相手を変えることも珍しくありません。

 

抱卵数は体長によって異なりますが75cm前後で約10000粒で、卵は直径6mmほどで鮮やかな朱色をしています。卵は約40日で孵化し、稚魚は大きな卵黄嚢を持った状態で誕生します。ちなみに、イトウは1回の産卵で絶命することはなく、生涯で複数回に渡って繁殖活動に参加が可能です。

イトウの成長速度はとても遅い

イトウは成長が遅いことで知られており、その特徴が希少性に拍車をかけています。誕生直後の体長は1.6mm前後で、泳ぎ出す頃になると体長2~3cm程度に成長しています。その後は淵などに移り、2年が経過した時の体長は15cm前後です。その後は、3年で約19cm、4年で約24cm、5年で30cmほどに達します。

 

オスは40cm前後、メスは50~60cmほどで性成熟し、そこまでに至る期間はオスで5~6年、メスで6~8年です。このように、イトウの成長速度は遅く、他のサケ科の種類とは異なり、体長1mを超えるまでには約15年の歳月が必要と言われています。また、それに伴って寿命も非常に長く、自然下でも15~20年は生きることが分かっています。

イトウの釣り

イトウの釣り

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イトウは国内最大級の淡水魚ということで、釣魚として人気があります。ここでは、イトウの釣りについてご紹介します。

イトウのルアー釣り

ルアー釣りの場合、ロッドはトラウトまたはシーバス用の8~10ft(約2.4~3.0m)の物がおすすめです。イトウは大型魚なので、ラインはPEラインの0.8~1.2号あるいはナイロンラインの12~16lbといった、太めの物を使用します。また、PEラインを使用する場合は、ショックリーダーとして20~30lbのナイロンラインを繋いでおきましょう。リールは中型のスピニングリールが使いやすいです。ルアーはミノーやスプーンの使用が一般的で、ミノーであれば7~13cm、スプーンは7~30gの物が適しています。

イトウのフライ釣り

フライ釣りの場合のロッドは、やはりイトウは大型であるため10番以上のダブルハンドロッドがおすすめです。ラインはインターミディエイトを基本とし、タイプII~IVを揃えておくと良いでしょう。リーダーは-1~4Xを、ショックリーダーにはフロロカーボンの6~8号を使用し、リールはロッドに対応したフライリールを用いれば問題ありません。フライはマドラーゾンカーやオリーブなどのストリーマー系がおすすめです。春から夏にかけてが釣期で、北海道東部の河川や湖沼で狙えます。仮に釣り上げられたとしても、前述の通り希少な魚なので捕獲はせずに、リリースすることが基本です。

イトウの最大記録ってどれくらい?

釣りか網かは定かではありませんが日本でのイトウの最大記録は、1937年に北海道東部を流れる十勝川で捕獲された体長2.1mの個体です。しかし、現在では生息水域の環境悪化により、ここまでの大物に出会うことは望めなくなってしまいました。それでも、体長1mを超える個体がかかることは今でも珍しくないので、釣り人にとっての憧れの存在であることは変わりません。丁寧なキャッチ&リリースを基本に、現存する個体を保護しつつ上手く付き合っていきたいものです。

イトウの料理と味は?

絶滅危惧種を食べられるのか疑問に思うかもしれませんが、現在では主に青森県で養殖されているので、一部では食用として流通しています。しかし、幻の魚と言われるイトウですが、食味については特筆すべき点はないようです。それでも、興味がある方は通販などを利用して食べてみてはいかがでしょうか。

 

レシピとしては刺身やフライ、味噌汁などが挙げられます。イトウは淡水魚ですが、管理された養殖物であれば寄生虫の心配なく生食が可能です。また、他のサケ科の魚種と同様、揚げ物とは相性が良く、サケ科に特有の風味を香ばしさが引き立ててくれて美味です。そして、良い出汁が出るため煮物にしても良く、刺身などで出たアラを味噌汁にすると無駄なく食べられます。

イトウの保全活動

イトウの保全活動

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イトウは絶滅が危惧されているため保全活動が行われています。特に、現在でも野生個体が生息している北海道では独立行政法人やNGO・NPOが活発に活動しており、「猿払イトウ保全協議会」は有名です。

 

イトウは食物連鎖の頂点に位置する大型魚なので、保全するためには生息水系そのものの保全が欠かせませんが、法令による保護体制などは遅々として進んでいません。また、水産資源として重要なサケなどの仔魚も捕食してしまうため、漁業関係者からは害魚として扱われることも多く、これらの事実が保全活動を推進しづらくしています。

 

そこで、生息水系や個体数の把握を行い、それらの具体的なデータを基にイトウ保全の必要性を説き、保護体制の確立が急務とされています。現在、既に一定の成果を上げており、北海道北部を流れる猿払川とその周辺の湖畔林が、イトウ保護のための環境保全林に設定されています。

 

この地域はもともと王子製紙の社有林だったのですがイトウの一大生息地であったため、王子製紙の協力の下で環境保護や研究などを目的とした「王子の森」として一般公開されています。

最大記録は2.1m!日本最大の淡水魚イトウ!

イトウの魅力

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イトウは最大記録が体長2.1mにもなる国内最大の淡水魚です。現在では、護岸工事など開発の影響により数を減らし、幻の魚とも呼ばれ絶滅危惧種に指定されています。サケ科に属する魚種で降海する性質を持ちますが、未だに不明な点も多く、保全活動を困難にしています。その大きさから釣魚として人気があり、釣ること自体は法令で禁止されていない場所がほとんどですが、絶滅危惧種だけに丁寧に扱い基本的にはリリースしましょう。今や希少となってしまった魚だけに保全に可能な限り協力し、イトウを後世に残すためにも上手に付き合っていきたいものです。

イトウの特徴