
分類 | スズキ目ハタ科マハタ属 |
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和名 | アオハタ |
学名 | Epinephelus awoara |
分布 | 山形県以南の日本海沿岸、千葉県以南の太平洋沿岸 |
特徴 | 体側に5本の暗色横帯がある。体長40cmほどとハタ科の中では小型種。 |
アオハタの生態

本種は温暖な海を好む海水魚で、日本近海での分布域は、山形県以南の日本海側と千葉県以南の太平洋側です。他には朝鮮半島南部から中国、台湾、フィリピンなど南シナ海に分布しています。比較的浅場を好んでおり、 水深50mまでの岩礁帯や砂泥底に多く生息しています。
幼魚はタイドプールで見られることもありますが、大きくなるにつれてより深場へと移動していきます。産卵期は夏。この時期になると産卵のために、大型の個体も浅場に上がってきます。食性に関しては、主に小魚や甲殻類を捕食する動物食性です。
アオハタの名前の由来

名前の由来は諸説あってはっきりしません。一説に、本種と似ているキジハタを関西では「アコウ」と呼んだのに対し、本種を「アオ」と呼んでいたため、それが転じてアオハタになったというものがあります。
ちなみに、学名のawoaraという部分は、命名された当時に長崎で使用されていた名称である「アオアラ」から付けられています。アオアラとは、青いアラ(アラはハタのこと)を意味します。
しかし、本種の体色は黄褐色を基調としているのに、青いとされている理由は不明です。一方、英名では「Yellow grouper」と呼ばれ、黄色の体色が強く意識された命名になっており、和名でも 「キハタ」という別名があります。
/アオハタとキジハタの見分け方

釣りでキジハタを狙っているとかかることも多いアオハタ。両者は比較的似た姿をしていますが、見分け方としては主に次に示す点が挙げられます。まず、体色と模様がポイントです。アオハタは黄褐色を基調とした色をしているのに対し、キジハタの方は赤褐色をしています。
そして、アオハタは体側に5本の暗色帯が入る横縞模様をしていますが、キジハタはあずき色~明色の斑点が全身に入ります。次に、背ビレと尾ビレの配色にも注目してください。アオハタの方は、それらのヒレが黄色く縁取られる特徴があるのですが、キジハタの方には見られません。
アオハタの市場価値

出典:VS FISH!
高級魚として知られるハタですが、アオハタはハタ類の中では小型種でまとまった量が漁獲されることも多いため、比較的安価で流通しています。
ただ、食味が良いことで知られ需要がある魚なので、内陸部の小売店に並ぶことは希です。まとめると、ハタ類の中では安価ですが、大衆魚と比較すると高価だと言えます。
/アオハタの旬と美味しい料理

アオハタは食味の良い魚で様々な調理法で美味しくいただけます。ここでは、アオハタの旬と代表的な料理をご紹介します。
旬
アオハタは年間を通して味の変化が少ない魚ですが、産卵を終えた後は食味が落ちるとされています。本種の産卵期は夏なので、晩夏から初秋にかけてのものは避けた方が良いでしょう。そのため、 旬の時期を挙げるなら晩秋から夏前までと言えます。
刺身
新鮮なものは生食にも適しているため、刺身にしても美味しく食べられます。アオハタの身はクセのない白身で、脂が乗っていながらもしつこくありません。アオハタは足が早い魚なので、生食するには活魚が理想的で、少なくとも活〆されたものが良いです。
煮付け
アオハタはアラから良い出汁が取れるため、煮物との相性も抜群です。酒・しょうゆ・砂糖などで味を整えた煮汁で煮付けにすると、甘辛い味付けがアオハタの淡泊な白身とマッチして美味です。また、アオハタも皮に旨味がある魚で、ゼラチン質の厚い皮の味わいも楽しめます。
鍋
アオハタは鍋物もおすすめです。例によって、アラから良い出汁が取れるため、それを昆布出汁と合わせて野菜やキノコ類とともにアオハタの身を煮ます。アラは、事前に軽く湯通しした後に冷水に落とすなどして、ヌメリなどを落としておくと良いです。
アオハタにつく寄生虫

アオハタの寄生虫としては、 アニサキスとヒジキムシが代表的なものとして知られています。アニサキスについては皆さんご存じと思われますが、中毒症状を引き起こすため生食する時は注意が必要です。アニサキスは加熱・冷凍することで死滅します。
ヒジキムシはイカリムシの1種で、名前の通り見た目がヒジキに似ている寄生虫です。同寄生虫は人間に対しては無害なので、あまり気にする必要はありません。
ただ、ヒジキムシはアオハタの体液を養分としており、多数のヒジキムシに寄生されているものは、脂乗りが落ちたり身が痩せるなど、食味が低下している恐れはあります。
/アオハタの釣り方

出典:VS FISH!
アオハタはマハタやマダイを狙っていると釣れることが多い魚で、専門に狙って釣ることは少ないです。しかし、前述の通り食味が良いうえに、大型の個体は強い引きも楽しめる魅力的な魚です。
アオハタの時期は夏で、この頃は産卵を意識した大型のものが深場から移動してくるので、岸からでも大物が狙えます。ポイントは、マハタやマダイと同じく潮通りの良い堤防などで、 岩だけの場所より砂地が混じる場所の方が良く釣れる傾向にあります。
アオハタは、餌に見える物なら何にでも食い付いてくるためルアーフィッシングが手軽で、タックルはアイナメなど根魚用の構成で問題ありません。ルアーも青物用のものが転用可能で、タイ釣り用のタイラバにもよく食い付きます。
外道扱いはもったいない?アオハタは手頃な高級魚!

出典:VS FISH!
アオハタは西日本の沿岸部を中心に分布している海水魚です。マハタなどを狙っているとよく釣れ、外道として扱われることも多い魚ですが、その食味はマハタにも劣らないと言われています。
市場ではまとまった数が流通しているためハタ類の中では安価ですが、それでも小売店で見かけることは希なやや高級な魚です。非常に美味しいので邪険にせず、型の良いものはぜひ食べてみてください。