ラスボラエスペイの飼育法!繁殖や混泳、気をつけたい病気など解説

ラスボラエスペイの特徴

ラスボラエスペイ

 

ラスボラエスペイは、東南アジアに分布しているコイ科の熱帯魚です。まずは、同種について特徴や生態などをご紹介します。

ラスボラエスペイの形態的特徴

体長3~4cm程度の小型魚で体形はメダカに似ており、頭部に対して大きな目と上向きの口を持ちます。

 

体色は、体の外周部は透明感のある色合いですが、中心部は鮮やかなオレンジ色に染まり、魚体の中央部付近からラムチョップのような形の黒色の模様が入ります。

 

英名では「 Lambchop rasbora(ラムチョップ・ラスボラ)」と呼ばれ、この特徴的な模様が強く意識されたネーミングがされています。

ラスボラエスペイの生態

ラスボラエスペイは、タイからカンボジアにかけて分布しており、池や湖、沼や湿地帯などに生息しています。

 

流れが穏やかで水草が生い茂っているような場所を特に好み、通常は群れを作って生活しています。食性は、水生昆虫や落下昆虫、藻類などを捕食する雑食性です。

 

産卵は水深15~20cm程度と浅い場所で行われ、水草などを産卵床として卵を産み付けます。

ラスボラエスペイの寿命

ラスボラエスペイの 寿命は2~3年ほどと言われています。しかし、飼育環境に左右されることは言うまでもなく、病気などに注意して上手に飼育できれば、より長生きさせることも可能です。

 

ラスボラエスペイは生命力が強く丈夫な熱帯魚ですが、飼育環境の管理がおざなりでストレスが多くなってしまうと、2年も経たないうちに死亡する場合もあるので注意してください。

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ラスボラエスペイとヘテロモルファとの違い

ラスボラエスペイとヘテロモルファの違い

 

両者は姿形や色合いが似ていますが、外見を注視すれば見分け可能です。

 

見分けのポイントとしては、まず体形が挙げられます。 ラスボラエスペイはヘテロモルファよりも体高が低いため、よりスレンダーなフォルムをしています。

 

次に、体色および模様もポイントです。体色は両者ともにオレンジ色を基調としていますが、 エスペイの方がより強く鮮やかに発色する特徴を有します。

 

また、模様については ヘテロモルファは三角形に近い形をしているのに対し、エスペイは前述の通り ラムチョップのような形をしており、より細いことが特徴です。

ラスボラエスペイの飼育方法

本種は丈夫な熱帯魚なので入門種としても適しています。ここからは、ラスボラエスペイの飼育法についてご紹介していきます。

水槽サイズとフィルター

ラスボラエスペイは小型魚なので、 30cmクラスの水槽から飼育が可能です。ただし、同クラスの水槽は、運用できる水量が少ない分だけ水質の管理が難しくなる傾向にあるので、入門として飼育するなら45cmクラス以上の水槽をおすすめします。

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ちなみに、安全に飼育できる個体数の目安としては、30cm規格水槽で4匹前後、45cm規格水槽だと10匹前後です。

 

フィルターについては、本種は水を汚しやすい魚種ではないため、水槽のサイズに合ったものであれば任意の種類で問題ありません。60cmクラスの水槽までであれば、オーソドックスな上部式や外掛け式などが使いやすいです。

水温と水質

本種を飼育可能な水温は22~28℃前後で、最適温度は25~26℃ほどです。よって、地域によって夏季は冷却ファン、冬季はヒーターなどを用いて水温を管理してください。

水質は中性付近を保てれば問題ありませんが、pH6.0~6.5程度の弱酸性の環境で飼育すると、発色が良くなる傾向にあります。水質を酸性側に傾けたいのであれば、流木やマジックリーフなどを入れると良いでしょう。

水温・水質ともに適正範囲から外れるとストレスを与えてしまい、病気になる危険があるので注意してください。

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照明

ラスボラエスペイの生物時計(人で言う体内時計)を整え、健康的に成育させるためにも照明は用意しておきましょう。

 

照明は、熱帯魚の飼育用に市販されている物ならば何でも構いませんが、水草と混泳させたいのなら水草用の物を導入すると良いでしょう。照明はタイマーを用いて決まった時間にON/OFFができるようにしておくと便利です。

 

タイマー機能が付属している照明も市販されていますが、付属していない物でも外付けのタイマーを用いれば同じように管理できるようになります。

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底床

底床を敷かないベアタンクでの飼育も可能ですが、敷いてあげた方がラスボラエスペイが落ち着きますし、アクアリウムとしての見栄えも良くなります。

 

導入する底床材は任意の物で構いません。大磯砂や田砂、川砂などが扱いやすいので、特に初心者にはおすすめです。水草と混泳させる場合、ソイルが適しています。

 

ソイルには水草の養分が含まれているうえに、水質を酸性側に傾ける作用もあるため、ラスボラエスペイの色揚げ効果も期待できます。

レイアウト

ラスボラエスペイの飼育では、比較的自由度の高いレイアウトを楽しめます。遊泳スペースさえ確保しておけば、流木や石などを自由に配置しても問題ありません。

 

水草との相性も良好で、水草水槽で群泳させるだけも、見栄えの良いアクアリウムに仕上がります。ただし、レイアウト用品の中には、水質に影響を与える物もあるので注意してください。

 

流木は代表的で、きちんと前処理をしておかないとアクが出て水に色が付いたり、必要以上に水質が酸性に傾く恐れもあるので、景観だけでなく水質面でもバランスを見る必要があります。

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ラスボラエスペイに適した餌

ラスボラエスペイに適した餌

 

前述の通り、もともとが雑食性であるため、餌は選り好みせず何でも食べてくれます。熱帯魚用に市販されている人工飼料だけでも問題なく飼育可能ですが、たまにアカムシなどの生餌も与えると喜びますし、栄養的にもバランスが良くなってより健康的な成育が期待できます。

 

餌を与える回数は1日に1~2回で、それぞれ3~5分以内に食べきれるだけの分量を与えるようにしてください。食べ残しが発生すると水質の悪化速度が上昇するので、基本は食べ残しが出ないように量を調節し、それでも食べ残しが出た場合は速やかに水槽から取り除いてください。

ラスボラエスペイの体色を綺麗にする色揚げ方法

オレンジ色の発色が美しい本種ですが、適切な飼育環境を提供・維持できなければ、退色してしまうことがあります。ここでは、綺麗に発色させるための色揚げ方法をご紹介します。

弱酸性の水質をキープする

先にも述べましたが、本種はpH6.0までの弱酸性の水質を好むため、その水質をキープすることで色揚げ効果が期待できます。もともと生息している場所が弱酸性の水質をしているので、飼育環境下でもその水質を再現してあげるとラスボラエスペイの調子が良くなり、綺麗に発色するようになります。

ストレスを軽減する環境を整備する

私たち人間は、ストレスを多く感じると体調を崩すことがありますが、それは熱帯魚も同様です。熱帯魚にとってストレスになる要素は、飼育環境下における水温や水質(pH)の不一致やそれらの急変、大きな音などが挙げられます。

 

ラスボラエスペイを綺麗に発色させたいのならば、ストレスになる要素を極力排除した環境を整備してあげてください。

成熟させる(飼い込む)

これは上記のストレスにも関連することなのですが、ラスボラエスペイはご自宅の水槽に到着したころには多大なストレスを抱えています。なぜなら、熱帯魚ショップなどから輸送を経て到着しているため、環境が激変しているからです。

 

ご自宅の水槽で飼い込んで環境に慣れさせ、ストレスの少ない状態にできれば体調も整い、発色も良くなるわけです。また、発色はやはり繁殖活動と密接に関係しているので、成長・成熟させる意味合いもあります。

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ラスボラエスペイの繁殖

本種は稚魚がかなり小さく、餓死させやすいため飼育下での繁殖例はほとんど報告させていません。それでも、繁殖に挑戦したい方のために、簡単にではありますが繁殖法をご紹介します。

オスメスの見分け方

ラスボラエスペイは、産卵期の前ではオスとメスで外見的な特徴はほぼ無いので、雌雄の見分けは不可能と言えます。そのため、繁殖を狙う場合はある程度の個体数を同一水槽に入れ、オスとメスが入っていることを期待するよりほかありません。

 

また、繁殖させる場合は、産卵床となる水草を入れておいてください。幅が広い水草を好む傾向にあるため、アマゾンソードやミクロソリウムなどが向いています。

産卵〜稚魚の育て方

産卵期になるとメスは抱卵して腹部が膨らみ、オスが盛んに追いかけるようになるのでオス・メスが分かります。

 

本種は粘着卵を水草に産み付けるので、確実に繁殖させるためには産卵後に採卵しておくと良いでしょう。

 

採卵後の卵はエアレーションを施した隔離容器で管理してください。孵化後の稚魚はかなり小さく、親魚用の餌はまず食べられません。

 

稚魚の餌には少なくともブラインシュリンプが必要で、それでも食べられない場合はゾウリムシといったプランクトン系の餌が必須です。

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ラスボラエスペイの混泳相性

本種は基本的には温厚で臆病な性格をしているため混泳相性は良好です。ここでは、ラスボラエスペイの混泳についてご紹介します。

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同種同士の混泳

ラスボラエスペイの混泳

 

自然下では群れを作って生活しているので、同種同士の混泳は何ら問題ありません。むしろある程度の個体数を入れて混泳させてあげないと、臆病な性格も手伝ってかえってストレスを感じてしまいます。

 

ただ、希にではありますが小競り合い程度の争いが発生することがあるので、水草やシェルターで身を隠せる場所を作ってあげると安全です。

他種との混泳

ラスボラエスペイは混泳も簡単

 

ラスボラエスペイは多くの他種との混泳も可能です。ただし、ラスボラエスペイが食べられてしまうような、サイズ差が大きい魚種とは混泳できません。

 

また、サイズ差が小さくとも、個体数に差があると少ないほうが攻撃される可能性があるので、なるべく個体数を揃えるか弱い方の種類を多く入れると良いでしょう。

 

さらに、小型種でも気性が荒いブルーテトラなどとは混泳を避けた方が無難です。エビ類との混泳も可能ですが、ミナミヌマエビなどの稚エビは捕食されてしまう可能性があります。

 

同一水槽内でエビ類を世代交代させようとしている場合は注意してください。

ラスボラエスペイの注意すべき病気・事故

本種は丈夫な種類ですが、適切に管理できなければ病気になることもあります。ここでは、ラスボラエスペイの飼育において、注意すべき病気や事故についてご紹介します。

ラスボラエスペイがかかりやすい病気

本種がかかりやすい病気としては白点病とコショウ病が挙げられます。以下に、病気の特徴や対処法を示します。

白点病

全身に白色の斑点が現れ、体を擦り付けるようにして泳ぐなどの症状が出ます。病気が進行すると衰弱死してしまうので、早期発見・早期治療が重要です。

 

病原体となるのは「ウオノカイセンチュウ(学名:Ichthyophthirius multifiliis)」と呼ばれる繊毛虫で、これに寄生させることで発病します。

 

治療は水温の調節や薬浴により行います。同寄生虫は高水温下では繁殖できなくなるため、水温を28℃程度まで上昇させたうえで、 ニューグリーンFやアグテンなどの魚病薬を用いて薬浴させてください。

 

この時、0.5%の濃度で塩水浴を並行するとより効果的です。

コショウ病

名前の通り、魚の体表に褐色や黄色を帯びた白色の斑点が現れる病気です。体を擦り付けるなどの症状が出て、進行すると衰弱死してしまいます。

 

白点病よりも斑点のサイズが小さいことが特徴です。「ウーディニウム(学名:Oodinium)」と呼ばれる鞭毛虫に寄生されることで発症し、病原体や病魚の見た目から「ウーディニウム病」・「サビ病」などとも呼ばれます。

 

治療は薬浴で行い、効果的な魚病薬としては「ヒコサンZ」や「アグテン」、「グリーンFゴールド顆粒」などが挙げられます。また、白点病と同様に塩水浴の並行も有効です。

ラスボラエスペイは飛び出しに注意!

本種は臆病な性格をしており、些細なきっかけで身を守ろうと水面から飛び出す性質があります。

 

人目がある時ならばすぐに飼育水に戻してあげられますが、外出中などに飛び出してしまうとそのまま死亡してしまうので、しっかりと固定できるフタは必ず用意してください。

 

本種は小型ゆえに狭い隙間も通り抜けてしまうことがあるため、そのような隙間もネットなどを用いてふさいでおきましょう。

ラスボラエスペイは入門にも適した小型熱帯魚

ラスボラエスペイは東南アジアに分布するコイ科の熱帯魚です。体長3cm程度の小型種で丈夫かつ温厚で混泳もさせやすいなど、飼育しやすい要素がそろっているため、アクアリウムの入門種に最適な魚種の1つです。

 

飼い込むことでオレンジ色の発色が良くなるので、本種を群泳させるだけでも見栄えの良いアクアリウムに仕上がります。ぜひ、ラスボラエスペイを飼育してみてください。

ラスボラエスペイ