ボラは意外と美味しい魚!気になる臭いの抜き方とは?

アイキャッチ画像撮影:写真AC

分類 ボラ目ボラ科ボラ属
和名 ボラ
学名  Mugil cephalus
分布 世界中の温帯・熱帯域に広く分布
特徴 背びれは2基あり、第一背びれは棘条が発達する。体側には不明瞭な細い縦縞が数本入る。

ボラってどんな魚?

ボラは世界中で見られる沿岸性魚類で、世界各地で古くから利用されてきました。まずは、ボラがどのような魚か、その生態などをご紹介します。

分類

ボラはボラ目ボラ科ボラ属に分類される海水魚です。ボラ目はボラ科のみで構成されており、同種の仲間は日本近海で15種が、全世界では70を超える種類が報告されています。ボラは世界的に見られる海水魚で、熱帯から温帯地域の海域での分布が確認されています。

生態

一般的には水深10m程度までの沿岸部や内湾などに生息しており、基本的に海水生ですが汽水域でも多く見られ、幼魚期には河川を遡上して完全淡水域に侵入してくることもあります。食性は雑食性で、藻類や多毛類、甲殻類などに加え、胃幽門部が発達しているためデトリタスも利用することが可能です。同種はよく水面からジャンプしている様子が確認されていますが、その理由は詳しくは分かっておらず、寄生虫を落としている説や、水中の酸素濃度が低い時に呼吸を行う説などが有力視されています。日本での産卵期は10月~翌2月頃で、外洋まで進出して深場で産卵します。

ボラの旬は10月~1月頃です。この時期のボラは身に脂が乗っていて美味だと言われており、旬のボラは「寒ボラ」と呼ばれ名産地である長崎県などでは重宝されています。ボラは臭みがあるイメージが先行し釣りなどでは忌避されがちですが、それは汚染地域で育ったことに起因するものであり、清浄な環境で育ったボラは臭みも少なく美味です。

瞼(まぶた)をもつ変わった魚

ボラには「脂瞼(しけん)」と呼ばれる瞼があります。読んで字のごとく脂肪で構成され、目の全体を覆い、目の保護や水の抵抗軽減に役立つと考えられています。脂瞼を持つ魚はボラの他にも、ニシンやアジ、メナダなどが知られています。メナダはボラ科の魚ですがボラほどに脂瞼は発達せず、目をすべて覆うほどではないので、ボラとの見分け方のポイントにもなります。

ボラは成長によって呼び名が変わる出世魚

ボラは出世魚で、その大きさによって名称が変化します。地域差もありますが、関東や関西での名称の変化は主に、オボコ(約10cmまで)→スバシリ(約18cmまで)→イナ(約30cmまで)→ボラ(30cm以上)→トド(超大型)の順です。これらの名称の中には、ある単語の語源になっているものがあります。それは「オボコ」・「イナ」・「トド」で、それぞれ「おぼこい」・「いなせ(鯔背)」・「とどのつまり」の語源だと言われています。

 

「おぼこい」は幼く可愛い様子を表す西日本の方言で、ボラの幼魚の呼称である「オボコ」が由来です。「いなせ」は粋でさっぱりとした様子を表す語で、江戸時代の日本橋魚河岸の若者の間で流行った髪型に由来しています。その髪型が、ボラの若魚である「イナ」の背に似ていたことから「鯔背銀杏(いなせいちょう)」と呼ばれ、そこから「いなせ」という言葉が生まれました。「とどのつまり」は、”結局”や”行きつくところ”を意味する語ですが、ボラの呼称が変化していっても、最終的には皆「トド」になることから来ています。

ボラの料理(レシピ)

ボラと言えばカラスミが有名で、珍味かつ高級食材として扱われており、水産資源として重要です。ここでは、ボラの料理についてご紹介します。

旬のボラは刺身が絶品!

新鮮な寒ボラは刺身がおすすめです。前述の通り、清浄な水域で獲れたものは臭みがなく脂が乗っており、ボラ独特の風味と旨味が楽しめます。ボラは生食に適しているため、身をそぎ切りにして流水で洗い、氷水で締めた「洗い」にしても良いでしょう。

その他にも、汁物や焼き物、揚げ物といった調理法との相性も良好です。刺身にした後のアラは、味噌汁などに利用すると良い出汁が出て無駄なく美味しく食べられますし、他の魚と同様、シンプルに塩焼きにしても良いです。また、醤油・酒・みりんを混ぜ合わせた漬けダレなどで下味を付け、片栗粉をまぶして油で揚げた唐揚げは、衣の香ばしさと食感がボラの味と相まって箸が進みます。

カラスミは高級珍味!

ボラと言えばカラスミの存在を語らないわけにはいきません。カラスミの正体は、塩漬けにしたボラの卵巣をじっくりと干し上げたもので、国産品は100gで5000円ほどの値が付く高級珍味です。その味は珍味と呼ばれるようにかなり独特で、塩気と深い旨味に加え、口内にまとわりついてくるような食感が特徴です。人によっては、チーズとウニを混ぜたような味と表されることもあります。ぜひ、一度ご賞味ください。

ボラは「へそ」も美味しい?

ボラには「へそ」と呼ばれる部位もあり味が良いので重宝されていますが、1尾から1個しか取れないため産地で消費されることがほとんどで、流通に乗ることは希です。当然ながら、卵生であるボラに哺乳類と同じようなへそはなく、この部位の正体は胃の幽門部であり、その形状から「そろばん珠」とも呼ばれています。新鮮なものは生食にも適していますし、火を通しても美味です。

ボラの臭みの抜き方

ボラの臭いがどうしても気になってしまう方は、次の方法を試してみてください。まず、1尾丸ごと手に入った場合は、速やかに下処理を行うことが大切です。釣った直後であれば活け締めをし、血抜きを行っておきます。その後、鱗と内臓を取り除き、身をよく水洗いすると臭みは抜けます。小売店などで切り身を入手した場合は、酢や昆布、塩で締めておくと臭いも消えますし、鮮度を保つことが可能です。

ボラに寄生虫はいる?

ボラに限らず天然物の場合は、多かれ少なかれ寄生虫が付いているリスクがあります。ボラに付いている可能性が高い寄生虫としては、「ボラ鱗ミクソボルス」と「有害異形吸虫」が代表的です。前者は人には寄生しませんが、後者は人にも寄生し、その数が多くなると下痢や腹痛などの症状を引き起こすことが知られています。幸い、大事には至らないことが普通ですが、ボラを生食して健康に異常が出た場合は、医療機関を受診してください。

ボラの釣り方

ボラは外道として扱われることが多いですが、いざ狙って釣ろうと思うと難しく、大物が掛かれば強い引きが楽しめる魚です。ここでは、ボラの釣り方についてご紹介します。

時期・時間帯

ボラは国内では1年中釣れる魚ですが、最盛期と言えるのは5月~11月頃までの海水温が高い時期です。ボラの場合、時間帯はあまり関係なく釣れますが、昼間よりは夜間の方が釣れやすい傾向にあるようです。

ポイント(場所)

ボラの日本での分布域は北海道以南です。そして、同種は沿岸性魚類なので内湾や汽水域に居ることが多く、堤防や磯などで狙えます。また、ボラは水面近くを遊泳しているので、多毛類などが産卵のために沖へ泳ぎ出す時、いわゆる「バチ抜け」を狙ってキャストすると食い付きやすいです。

必要な道具・エサ

竿は磯竿の1号前後かつ5m程度の物が使いやすく、リールは小型スピニングリールで十分です。仕掛けとしては、道糸にはナイロンラインの2~3号、ハリスにはフロロカーボンの1.5号を2mほど使用、ボラは口が小さいため針はチヌ針の1~3号がおすすめです。道糸とハリスはサルカンで接続し、道糸側にウキ止めとシモリ玉、棒ウキに加え、ガン玉を付けておきます。ボラは雑食性なので餌は何でも良いのですが、食い付きが良いためオキアミやアミエビの使用が一般的です。

ボラは飼育できる?

ボラは水質の悪化に強く、雑食性で何でも食べてくれるため飼育は比較的容易です。ボラは最大で80~100cmほどにまで成長する魚ですが、飼育下ではそこまで大きくなることは通常ないので、幼魚を入手した際は60~90cmクラスの水槽があれば終生飼育が可能です。

 

フィルターは上部式や外部式で問題ありません。そして、ボラは飛び出す力が強いため、しっかりとしたフタは必ず用意しておきましょう。適した水温は24℃前後であるため、温調機器もしくはエアコンで水温管理をしてください。水質については人工海水を既定の濃度で作れば良く、そのためにも比重計は必須です。餌に関しては何でも食べてくれるため、海水魚用の人工飼料をメインにすると維持管理が容易です。

寒ボラは刺身が絶品!カラスミ以外も美味しい魚!

ボラは泥臭さから忌避されがちですが、それは汚染された地域で育ったからであり、本来は臭みがない美味しい魚です。カラスミは高級珍味として知られていますし、へそも味が良いので産地では重宝されています。特に、冬季に獲れるものは寒ボラと呼ばれており、脂が乗っていて刺身が絶品です。現在では、通販を利用すれば臭みのないボラが簡単に入手できるため、ぜひご賞味ください。

ボラってどんな魚?