イワナ(岩魚)の生態や種類!飼育は難しいの?




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イワナは綺麗な渓流魚!

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イワナ(岩魚)ってどんな魚?

イワナは漢字で「岩魚」と表記し、その名の通り岩が多く水温が低い渓流を好んで生息しています。まずは、イワナの特徴や生態についてご紹介します。

イワナの特徴

イワナってどんな魚?

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イワナはサケ目サケ科に属する淡水魚です。体長は25~60cm程度と種類によって異なり、主に標高が高い渓流に生息しています。脂ビレを持ち体色は黄褐色や黒褐色で、体側には暗色の楕円形の模様(パーマーク)が入ることに加え、明色の斑点が散在しています。この斑点の入り方は個体差が大きく、斑点が崩れて縞模様に見えるものや、斑点が全く入らないものまで様々です。

イワナの食性

イワナは貪欲な肉食性

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イワナの食性は肉食性で、自然下では水生昆虫や落下してきた陸上昆虫、小魚などを捕食しています。大型の個体になるとカエルや蛇などの小動物を丸飲みにすることもあります。

イワナの生態

イワナは綺麗な渓流域に生息

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夏でも水温が13~15℃程度にまでしか上昇しない上流域を好んで生息しており、基本的には陸封型の生態を持ちますが、一部に降海型の種類も知られています。産卵期は水温が10℃前後に下がってくる9月下旬から11月上旬で、流れが緩やかな砂礫底に産卵床を作って産卵します。冬場にふ化した稚魚は、水温が上がってくる春先までは水底でじっとしており、秋には体長15~20cmほどにまで成長し、1~2年で成熟します。

イワナの種類と分布(生息地)

イワナはニッコウイワナ・ヤマトイワナ・エゾイワナ・ゴギの4系統に分けられ、そこからさらに地域個体群が派生します。ここでは、国内に生息するイワナの種類と分布についてご紹介します。

ニッコウイワナ

ニッコウイワナの自然分布域は?

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体長30~60cmほどに達する種類で、山梨県富士川ならびに鳥取県日野川より北の本州に自然分布していたと考えられています。体色は背側が黄褐色で腹側は白色、体側には目と同等の大きさの明色の斑点が入ります。ニッコウイワナは釣魚・食用として人気があるため、本来生息していなかった四国や九州にも移入され、国内外来種となっている地域もあります。

ヤマトイワナ

ヤマトイワナは貴重な種

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体長35cmほどに達するイワナの亜種の1つです。その分布域は限られており、神奈川県相模川から西の太平洋側の河川と琵琶湖に流入する河川、紀伊半島の熊野川水系でしか見られません。ニッコウイワナと比較すると体色は暗い色をしており、側線に沿う形で小さな紅色の斑点が散在し、明色の斑点はあまり入りません。近年、ニッコウイワナの放流により交雑が進み、純粋な種は絶滅が危惧されています。

エゾイワナ

エゾイワナはアメマスの陸封型

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最大で体長70cm前後に達する亜種の1つで、国内では千葉県利根川以北の太平洋側ならびに、山形県最上川以北の日本海側から北海道にかけて分布しています。体色は黄褐色で、目と同じくらいの大きさの白色の斑点が全身に散らばり、他のイワナと比較すると魚体がやや太いことが特徴です。本種には陸封型と降海型のものが知られており、前者をエゾイワナ後者をアメマスと呼んで区別しています。

ゴギ

ゴギは中国地方固有の珍しい種

作成:FISH PARADISE!編集部

体長20~30cmほどのイワナの1種で、中国地方にしか生息していない珍しい種類です。現在分布が確認されている場所は、山陰地方では島根県の斐伊川から高津川まで、山陽地方では岡山県の吉井川から山口県の佐波川までです。形態的には他のイワナ類とよく似ていますが、魚体に散在する白色の斑紋が頭部にまで及ぶことで見分けられます。

キリクチ

キリクチは紀伊半島固有の希少種

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同種はヤマトイワナの地域個体群のことで、その分布域は紀伊半島に限られており、イワナ類では最南限に生息している種類です。現在では開発による環境の悪化や、ニッコウイワナとの交雑により個体数が激減しています。そのため、環境省のレッドデータブックに「絶滅のおそれのある地域個体群(LP)」として掲載され、奈良県では天然記念物に指定されています。

オショロコマ

北方の渓流魚オショロコマは絶滅危惧種?

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体長20~30cmほどのイワナの1種で、国内では北海道の東部と北部にのみに分布しています。体色は褐色を基調に背側が暗い色合いをしており、腹側は薄い色合いで白色に近くなる個体もいます。背側には明色の斑点が、側線の上下には紅色の斑点が散在しています。本種も近年では数を減らしており、環境省のレッドデータブックでは「絶滅危惧II類」に指定されています。

ミヤベイワナ

ミヤベイワナはオショロコマの亜種!

出典:VS FISH!

本種はオショロコマの固有亜種で、北海道然別湖にのみ生息しています。数万年前の火山の噴火により、川がせき止められて然別湖が生まれ、その際に陸封されたオショロコマが独自に進化を遂げたものがミヤベイワナです。形態的にはオショロコマとよく似ていますが、本種の方が胸ビレが大きいなどの特徴があります。

交雑種や変異イワナ

カワサバ(イワメ)

虫食い模様が特徴的なカワサバ

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本種はイワナとヤマメの交雑種で、イワナとヤマメに由来する模様が合わさった結果、サバのようなまだら模様が現れることからカワサバと呼ばれています。本種は一代交雑種で繁殖力は持ちません。

ジャガートラウト

管釣りでもお馴染みのジャガートラウト

作成:FISH PARADISE!編集部

イワナとカワマスの交雑種で、養殖されたものが食用に出回っていたり、釣り堀などでレジャー目的で利用されていますが、自然下での発生は希です。本種も一代交雑種で繁殖能力は持ちません。

ムハンイワナ

ムハンイワナは模様の無い変異種

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本種はイワナの突然変異種で、イワナの特徴である斑点が全くないか、ごくわずかにしか見られないことから、ムハン(無斑)イワナと名付けられました。山形県や石川県のごく限られた水系でのみ生息が確認されており、石川県の白山市では天然記念物に指定しています。

ナガレモンイワナ

ナガレモンイワナは不思議な模様

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本種も突然変異種で、イワナ類に共通してみられるパーマークが存在せず、体側に細い不規則な模様を持つためナガレモン(流紋)イワナと呼ばれています。滋賀県の姉川や愛知川の上流域など、生息が確認された場所は非常に限られています。

チントウイワナ

チントウイワナは特徴的な顔立ち

作成:FISH PARADISE!編集部

本種は上アゴが目のすぐ前方にまで後退してしまっている変異種で、その頭が短い様子からチントウ(狆頭)イワナと名付けられました。秋田県米代川でよく確認されているイワナで、本種が生息している源流には滝が多く存在し、本流と隔離されている場所がいくつもあります。その結果、近親交配が進んで遺伝的多様性が失われ、発生した奇形個体の性質が固定されてしまったと考えられています。

イワナには陸封型と降海型がある

イワナの中には海に下る個体も

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イワナには一生を淡水域で過ごす陸封型の種類と、サケと同様に繁殖期に海から遡上してくる降海型のものがいます。ニッコウイワナやヤマトイワナなど日本に生息しているイワナはほとんどが陸封型ですが、エゾイワナやオショロコマの中には降海型のものが知られており、前者をアメマス、後者をドリーバーデンと呼んでいます。また、ミヤベイワナはオショロコマの亜種ではありますが、一生を淡水で生活できるように進化した陸封型です。

イワナとヤマメ・ニジマスとの違い(見分け方)

イワナとヤマメはどう違う?

撮影:FISH PARADISE!編集部

イワナとヤマメ・ニジマスの違いは体色や模様に大きく出ます。まず、ヤマメと比較した場合は斑点とパーマークに注目です。イワナの斑点は明色なのに対して、ヤマメの斑点は暗色です。そして、パーマークについては、ヤマメははっきりとした模様が現れるのに対して、イワナのそれはヤマメほど目立ちません。体色についてもヤマメの方が明るい色合いで、側線の付近が赤味を帯びます。

イワナとニジマスの違いとは?

撮影:FISH PARADISE!編集部

次に、ニジマスについても斑点と模様に違いが見られます。ニジマスの斑点は黒色で、体側だけでなく頭部にも散在します。また、ニジマスはエラから尾ビレにかけて、赤紫色の縦模様が入る特徴があるので、イワナとは明らかな違いがあります。生息場所も異なり、イワナとヤマメは15℃以下の水温を好むために渓流など河川の上流域に生息していますが、ニジマスは20℃程度までは普通に活動が可能なので中流域でも見られます。

イワナの釣り

イワナは言わずと知れた渓流魚の代表格で、警戒心が強くて駆け引きが楽しめるので、釣魚としても人気です。ここでは、主なイワナの釣り方についてご紹介します。

ミャク釣り

イワナをミャク釣りで狙ってみよう!

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渓流での餌釣りはウキを使用しないミャク釣りが基本です。イワナ釣りの場合、ロッドは適合ハリス0.2~0.6号の6m前後のものを用い、道糸は穂先の絡み防止に8の字チチワ結びをしておくと良いでしょう。イワナは警戒心が強いので、水中糸やハリスにはナイロン0.2~0.3号の細めのものを使い、重りにはガン玉の3~4B、ハリはヤマメ針の1~7号を使用します。餌はイクラやブドウムシ、現地調達するのであれば、ヒラタカゲロウやクロカワムシが効果的です。釣り方としては、上流から下流に餌が流れるように重りを調節して、糸の動きを見てアタリを合わせます。ミャク釣りは重りの調節が重要なので、実際に仕掛けを流して適切な重さを見極めることが大切です。

ルアー釣り

イワナをルアーで釣ろう

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渓流でのルアー釣りはあまり遠くに投げる必要がないので、ロッドは取り回しがしやすいように1.5m前後のものが使いやすいです。リールについても小型・軽量のものが良く、候補としてはシマノの1000番台が挙げられますが、それらと同等のものであれば問題ありません。ラインはナイロンの6lbが基準で、ルアーはスピナー・スプーン・ミノーをお好みで使用してください。イワナは流れがやや穏やかな場所にいることが多いので、障害物の陰などがポイントです。そのため、イワナを狙う際は、ダウンストリームで淵などにルアーを流すと良いでしょう。

フライフィッシング

イワナはフライフィッシングも楽しい

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ロッドは4番までのフライロッドを用い、長さは6~7ftのものが渓流では使いやすいです。フライリールとフライラインはロッドに対応したものを選択してください。リーダーには7~9ftの5~7Xを用い、例によってイワナは警戒心が強いのでティペットは5~8Xの細さのものを使用します。 フライのサイズは12~16番で、種類はドライ・ウェット・ニンフのいずれでも問題ありません。釣り方は基本的にはルアー釣りと同様ですが、ウェットやニンフはアタリが分かりづらいので、インジケーターを取り付けてウキ釣りのようにする方法もあります。

イワナのおすすめ料理(レシピ)

イワナは山間部では昔から食用として利用されており、淡水魚であるにもかかわらずクセがなく美味なので人気が高く、現在では養殖物も流通しています。ここでは、おすすめのイワナ料理についてご紹介します。

イワナの塩焼き

イワナは塩焼きが定番

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イワナのオーソドックスな調理法で、シンプルながらもサケ類特有の風味が深い味わいを生みます。調理法としては、腹に包丁を入れて内臓と血合いを取り除いて水で洗います。その後、余計な水分をとり、塩をふって数十分間置いてから、両面をしっかりと焼き上げましょう。そうすることで、皮の香ばしさも引き立ち大変に美味しく仕上がります。

イワナの骨酒

骨酒のレシピは特に決まりがありません。とにかく、熱燗にイワナを入れて風味を移せばよいのです。使用するイワナは鮮魚や干物、骨だけなど何でも良いのですが、塩などの調味料は使用せずに、過剰なくらいに火を通すことが美味しくするコツです。しっかりと火を通すことで、魚類に特有の生臭さが消え、イワナの風味が日本酒の味わいを引き立ててくれます。

イワナの刺身

養殖イワナであれば刺身も楽しめます。イワナを3枚におろして氷水で身を締め、盛り付ければ完成です。イワナの身は生の状態では柔らかすぎるので、氷水を使って「あらい」にすることでしっかりとした歯ごたえとイワナ本来の甘味を楽しめます。ちなみに、天然の個体には寄生虫がいることが普通なので、生食は避けてください。

イワナの飼育

アクアリウムの世界ではイワナは冷水魚に分類されています。熱帯魚とは逆に高水温を嫌うので、夏場の水温管理には注意が必要です。ここでは、イワナの飼育法についてご紹介します。

イワナの飼育環境の基本

イワナは自宅で飼育できる?

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イワナは自然下では体長60cm程度には成長します。飼育下ではそこまで大きくなることは希ですが、終生飼育するのであれば水槽は90~120cmクラスのものが必要です。水温は20℃を超えると弱ってしまうので、夏場はクーラーが必須になります。水質に関しては中性付近を保つようにすれば問題ありませんが、水質の悪化には弱いので、フィルターは上部式や外部式などの強力な形式を導入した方が良いでしょう。イワナはある程度の水流がある環境を好むので、必要に応じて水中ポンプやディフューザーを用いて水流を作ってあげてください。また、溶存酸素が少ない環境では衰弱してしまうのでエアレーションは欠かせません。

イワナは水槽で飼育もできる

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そして、イワナは警戒心が強く臆病な性格をしているので、水槽内にシェルターや石組みなどで隠れられる場所を作ると落ち着く傾向にあります。底床材は水質に影響を与えるもの以外であれば何でも良く、大磯砂や田砂などの砂・砂利が入手・取扱いともに容易です。餌は乾燥クリルや肉食魚用に配合されている人工飼料を与えると良いでしょう。釣ってきた個体などは始めは人工飼料を食べないと思いますが、餌付け次第で食べるようになります。

イワナ飼育は水温が最重要

イワナ飼育は水温が最重要

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イワナの飼育において最も警戒すべきは水温です。自然下では夏でも水温が15℃を超えない渓流に生息しているので、水温が高くなりすぎると衰弱死してしまいます。適応可能な水温の上限としては20℃前後なので、夏場は水槽用クーラーが必須です。さらに、空調も使用して水温を管理すると良いでしょう。イワナの飼育において、夏場は電気代がかかることは覚悟しておいてください。

複数飼育は小競り合いを回避するのがポイント

イワナは縄張り意識が高い魚

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イワナは縄張り意識を持つ魚なので、水槽という限られた環境で混泳させると小競り合いをしてしまいます。小競り合いを避けるためには縄張りが作れないほどの過密状態にするか、縄張りが重ならないほどの広い飼育スペースを確保する必要があります。前者は水質の管理が難しくなるうえに、力関係などのバランスが崩れると大事に至ることが普通なので、推奨しにくい方法です。よって、イワナを複数飼育したいのであれば、大きな水槽を用意することをおすすめします。混泳させる際は隠れられる場所を多めに作り、それでも小競り合いが見られるようなら、セパレーターで区切ってしまうと良いでしょう。

渓流魚の代表格イワナ!放流には要注意!

イワナは移入に注意

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イワナは釣魚ならびに食用魚として人気がある、渓流魚を代表する魚です。現在では、養殖された個体が釣り堀などでも利用されており、観光資源としても重要なポジションに位置しています。一方で、天然の個体は開発などの影響でその数を減らしており、絶滅が危惧されている地域もあります。しかしながら、安易に放流することは危険です。なぜなら、ニッコウイワナとヤマトイワナの関係から分かる通り、国内外来種化してしまうと在来のイワナを駆逐してしまう恐れがあるからです。イワナを保護したいのであれば、釣った天然の個体はリリースするなどして、人の手は加えず上手く付き合っていきましょう。