ブルーギルと天皇陛下の関係って?美味しく食べる方法や釣り方もチェック!

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分類 スズキ目サンフィッシュ科ブルーギル属
和名 ブルーギル
学名 Lepomis macrochirus
分布 北米東部原産。日本国内各地の湖沼や池、河川、水路などで繁殖。
特徴 鰓蓋後縁に濃紺色の皮弁がある。体は側扁し、体高は高い。体側に7〜10本の縞模様がある。体長20cm前後になる。

 

ブルーギルの特徴

ブルーギルは北米大陸が原産の外来生物ですが、現在では国内にすっかり定着してしまい、日本の生態系にさまざまな影響を与えています。まずは、ブルーギルがどのような魚なのか特徴を見てみましょう。

分類

スズキ目サンフィッシュ科ブルーギル

 

ブルーギルの分類は、スズキ目サンフィッシュ科ブルーギル属です。スズキ目は魚類の最大グループで、現在までに発見されている魚の約47%がスズキ目に分類されており、その種数は9000を超えます。

 

また、サンフィッシュ科には、ブルーギルと同じく国内で問題になっているオオクチバス(ブラックバス)も属しており、近縁種と言うことが可能です。それ故に、両者には生態などの点に似通っている部分も多いです。

生息域

ブルーギルの生息域は?

 

本来の分布域は北アメリカ大陸の東部で、日本国内には1960年に移入されました。それ以降、分布域を拡大し、現在では全国的に定着してしまいました。本種の生息域は広く、湖沼や河川、池や用水路など、それなりに規模がある流れが穏やかな淡水域なら生存可能です。

 

水質汚染にも強く、この適応力の高さが国内における分布域の拡大要因の1つになっています。

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名前の由来

ブルーギルの名前の由来は?

 

ブルーギルのエラブタの後端には少し突き出た部分があり、そこが濃紺色や黒色に染まる特徴を有し、それが名前の由来になっています。ちなみに、ブルーギルは英語では 「Bluegill」と表記し、そのまま「青いエラ」を意味します。

最大記録

ブルーギルの最大記録は?

 

ブルーギルの世界最大記録は体長41cm・重さ2.2kgです。国内での最大記録は、2007年10月に琵琶湖で釣り上げられた個体で、体長29cm・重さ0.81kgです。

 

ブルーギルの体長は普通、20cm以下であることを考えると、国内外の記録とも驚くべき数値と言えるでしょう。

ブルーギルの生態

ブルーギルの生態

 

ブルーギルの食性は動物食性が強い雑食性で、基本的には小魚や甲殻類、水生昆虫や落下昆虫などの小動物を好んで捕食しますが、他に水草や藻類なども口にします。

 

日本での産卵期は6~7月頃です。本種のオスは複数の繁殖形態を採ることが知られており、それぞれ 「縄張りオス」・「スニーカー」・「メス擬態オス」と呼ばれます。

 

まず、縄張りオスについては、その名の通り自身の縄張りを形成し、その水底にすり鉢状の産卵床を掘り、そこにメスを呼び込んで産卵・放精する形態です。縄張りオスは普通、体が大きく強い個体がなります。

 

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次に、スニーカーについては、体が小さいオスがこれになり、体の小ささを生かして縄張りオスの産卵床に気づかれないように侵入します。メスが産卵したタイミングを見計らって放精し、その後に退去します。スニーカー(sneaker)とは、靴の他に「コソ泥・卑怯者」などの意味も持つ英単語で、由来はこの語から来ています。

 

最後に、メス擬態オスは体が大きいにも関わらず、メスの争奪戦に負けてしまった弱いオスがこれになります。名称の通り、姿かたちをメスのように変化させ、メスのふりをして縄張りオスの産卵床に侵入し、スニーカー同様に自身の受精卵を作るオスです。

 

ブルーギルのメスは、1回の産卵で2万粒以上の卵を産み、体が大きいほどその数が増加することが知られており、体長20cmを超えてくると6万粒以上の卵を産むこともあります。

 

さらには、同一産卵期の間に複数回の産卵を行うこともあり、この繁殖力の高さも本種が問題となる一因になっています。

ブルーギルは特定外来生物

ブルーギルは特定外来生物

 

ブルーギルは特定外来生物に指定されているため、生体の取り扱いには注意が必要です。特定外来生物は、外来生物の中で生態系や人体・人命、農業に深刻な影響を及ぼす、または及ぼす可能性が高い種類が指定されます。

 

ここで、外来生物というのは、人為的に本来の分布域から国内に移動された生物を指します。つまり、渡り鳥や海流に乗って来たなど、自然にやって来た生物は含まれません。

 

特定外来生物の取り扱いは「外来生物法」によって取り決められており、違反すると刑事罰の対象になることは知っておいてください。

無許可での飼育・運搬は禁止

ブルーギルの取り扱いには注意!

 

特定外来生物に指定されている動植物は、生体の移動などが規制されており、それを知らずに運搬などをすると刑事罰の対象になってしまいます。ブルーギルもその例に漏れず、具体的には河川などから取得した生体を、他の場所に移動・運搬したり、許可なく飼育・繁殖・譲渡してはいけません。

 

その許可に関しても、研究などの目的にのみ与えられるもので、個人が愛玩用に飼育したいなどの場合、許可は基本的にはおりません。この法律は基本的には生体に適用されるため、釣り上げた個体を食べるために、その場で〆て持ち帰ることは可能です。

 

また、外来生物法では、釣ったものをその場でリリースする分には問題ありませんが、自治体の条例の方で禁止されている場所もあるので、釣りをする時は確認しておいてください。

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ブルーギルと天皇陛下の関係

ブルーギルと天皇陛下の関係とは

 

ブルーギルは1960年に国内に移入されたと前述しましたが、そのきっかけとなったのが当時の皇太子殿下、つまり令和4年現在の上皇陛下です。当時、訪米した際に贈られたブルーギルを持ち帰り、それらを水産庁が食用研究用として各地の水産試験場などに分与・放流しました。

 

その後に釣りブームが訪れ、釣り人や業界関係者などが意図的に放流を繰り返しました。放流されたブルーギルは、持ち前の適応力・繁殖力からその勢力を増し、今や全国的に定着してしまいました。

ブルーギルは食べられる?

ブルーギルは食べられる?

先に述べましたが、ブルーギルは元々、食用研究のために各地に拡散されました。そのため、当然ながら食べることが可能です。食味の方は、淡水魚なので生まれ育った水環境が大きく影響します。

 

清浄な環境で育ったブルーギルは、臭みや癖のない上質な白身をしているため、食味は良いとされています。淡水魚であることから、基本的には火を通して食べることになり、相性が良い調理法としては、フライやムニエルが挙げられます。

 

ただ、身には小骨が多く、それを気にならないように調理するのは手間がかかるため、この点が国内で食用として定着しなかった主要因とされています。

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ブルーギルの釣り方

ブルーギルは道具さえ揃えられれば簡単に釣れるので、釣り初心者の方にもおすすめの対象です。ただし、釣った後の取り扱いには注意してください。

エサ釣り

ブルーギルの餌釣り

 

エサを使う釣りでは、オーソドックスなウキ釣り仕掛けがおすすめです。ブルーギルの場合、タックルにそれほど気を使う必要はないのですが、エサ釣りの具体的な構成例をご紹介します。

 

ロッドは6ft前後のバスロッドなどが、リールは小型のスピニングリールが使いやすいです。ラインはナイロン1号程度で、ウキは玉ウキなど任意のもので構いません。針はチヌ針やマス針など、一般的なもので問題ありません。

 

ウキと針の間にはガン玉を付けますが、これも操作しやすいものなら厳密なものでなくても大丈夫です。

 

エサについても何でもよく食べてくれるため、現地でミミズなどを調達しても良いですし、 魚肉ソーセージやエビ、イカの切り身、練り餌など色々試してみるのも一興です。

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ルアー釣り

ブルーギルのルアー釣り

 

ブルーギルはルアーでも狙うことができます。ルアー釣りの場合のタックル構成例は次の通りです。ロッドはエサ釣りの時と同様、6ft前後のバスロッドなど、リールも小型スピニングリールがおすすめです。

 

ラインもナイロン1号程度で十分なのですが、ブラックバスがいたり水草が繁茂している場所では、2号ほどの太めのラインを使用した方が安全です。ブルーギルは何にでも食い付いてくるので、小型ミノーやワーム、スプーンなどがおすすめです。

手軽に楽しめるブルーギル!だけど扱いには要注意!

ブルーギルは身近な外来魚

 

ブルーギルは北米大陸産の淡水魚で、エラブタの突起部分の青色が特徴です。サンフィッシュ科に分類されており、オオクチバス(ブラックバス)とは近縁種の関係にあります。

 

生命力や繁殖力が強く、何でも食べることから在来種が駆逐されるなど、生態系への悪影響が確認されており、特定外来生物に指定されています。簡単に釣れることから釣りの対象として人気となり、全国的に放流され現在では多くの水系で定着してしまいました。

 

手軽に釣りを楽しめる魚ではありますが、在来種ともども持続的に付き合えるよう、取り扱いには注意してください。

ブルーギルについて解説!