アフリカンシクリッドの飼い方や代表39種類!混泳や繁殖のコツは?

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アフリカンシクリッドとは

まるで海水魚のようにカラフルで、水槽内を悠々と泳ぎ回るアフリカンシクリッド。その姿に魅了され、アクアリストにとても人気のある観賞魚です。そんなアフリカンシクリッドの飼育方法や種類、混泳や繁殖のコツなどについてご説明していきます。

特徴

アフリカンシクリッドの特徴

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アフリカンシクリッドとは、その名の通りアフリカの湖や河川に生息するスズキ目の熱帯魚で、別名「カワスズメ」とも呼ばれます。もっとも大きな特徴はカラフルな外見で、鮮やかな黄色や青の金属光沢を持つ種類が多く、まるで海水魚のような色彩をしています。性質はスズキ目の特徴を受け継いで気性が荒く、混泳が難しい魚として知られています。

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生息地

アフリカンシクリッドの分布

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ひと口にアフリカンシクリッドといっても、大きく中央アフリカ産と西アフリカ産に分類されることが多いです。中央アフリカ産はマラウイ湖、タンガニーカ湖などに生息しており、西アフリカ産はコンゴ川流域の熱帯雨林や、その他の沿岸域などに生息している種類を指します。なお、中央アフリカのヴィクトリア湖にもアフリカンシクリッドが生息していると見られていますが、観賞魚として日本国内にはほとんど入ってきていないようです。

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アフリカンシクリッドの仲間39種類

アフリカンシクリッドは、その種類の豊富さも大きな特徴となっています。一説によると500~600種類ほども存在するといわれています。生息場所や生態系によってサイズもまちまちで、30cmを超す大型の種類もいます。ここでは、日本国内で入手可能なアフリカンシクリッドの代表種を紹介していきます。

マラウィ湖産のアフリカンシクリッド

アーリー(スキアエノクロミス・フライエリー)

体長は最大で16cmほど。マラウィ湖産では、もっとも人気が高い種類です。体色はブルーの金属光沢を持ち、非常に美しいのですが流通量が少ないのが難点。

イエローシクリッド(ラビドクロミス・カエルレウス)

全体に美しいイエローの体色を持つ体長13cmほどの小型シクリッドです。エレクトリックイエローシクリッドという名前でも流通しています。

コバルトブルー・シクリッド

体長12cmほど。白い体色が特徴の魚で、コバルトブルーのグラデーションがとてもキレイです。こちらも流通量が豊富で、生体1匹あたり500円前後で購入可能です。

ゴールデンゼブラ・シクリッド

小型のシクリッドで体長は10cmほど。体色は鮮やかな黄色で、オスとメスで見た目が大きく違うのが特徴です。植物食性が強い魚ですが、気性は非常に荒いため、単独飼育か5匹以上の群泳にする必要があります。

オレンジゼブラ・シクリッド

鮮やかなオレンジの体色を持ち、成熟すると白いゼブラ模様が入ります。コバルトブルー・シクリッドの変異種とされており、こちらも気性は荒いです。

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カメレオン・シクリッド

比較的大型の種類で、大きな個体は体長20cmを超えるものもいます。体色を瞬時に暗褐色に変化させることができるため、その名前がついたとされています。

イエローストライプ・シクリッド

日本国内でも古くから親しまれているシクリッドで、イエローに黒いストライプの模様が特徴的な見た目をしています。飼育は容易ですが、気性が荒く、混泳は難しいです。

スノーホワイト・シクリッド

イエロー・シクリッドをアルビノに改良した品種です。純白の体に赤い目が特徴で、改良品種ですが丈夫で飼育は容易。ただ、極端に視力が弱いため、アフリカンシクリッド同士で混泳させると負けてしまいます。

レッド・ピーコックシクリッド

こちらもイエロー・シクリッドの改良品種です。ただ、すでに何代も種間交雑が行われてきたため、原種がわからないといった個体がほとんど。少数で混泳させると争いますが、群泳すれば縄張り意識が弱くなります。

ストロベリー・ピーコックシクリッド

同じくイエロー・シクリッドの改良品種です。体色が鮮やかなピンクで、水槽の中でもひときわ目を引く華やかな魚です。飼育方法は他のピーコックシクリッドとほぼ同様です。

イエロー・ピーコックシクリッド

体長は最大15cmほど。美しい黄色の体色が特徴で、非常に流通量が多く、メジャーなシクリッドです。メスが卵を口の中で育てるマウスブリーダーとしても知られています。

オトファリンクス・リトバテス

国内でも古くから親しまれているシクリッドで、深いブルーの体色が特徴です。変異種も多く、イエローラインの入る個体とホワイトラインの入る個体が人気です。

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コパディクロミス・アズレウス

体長は15cmほど。シクリッドの中では比較的温和な部類で、混泳も可能です。全身鮮やかなメタリックブルーで、頭部から背ビレに白いラインが入る美しい魚です。

コパディクロミス・ボルレイ

体長14cmほどの中型シクリッド。体色はダークパープルで、鮮やかなオレンジのヒレが特徴です。気性はおとなしく、多くの魚と混泳が可能です。

シュードトロフェウス・デマーソニー

体長7.5cmほどの小型なシクリッド。紺の体色に薄いブルーの縞が入る美しい魚です。マウスブリーダーとしても知られています。

ディミディオクロミス・コンプレシケプス

体長20cmを超す大型のシクリッド。扁平した特殊な体型を持つ魚で、他魚を捕食するフィッシュイーターです。

ティラノクロミス・ニグリベンテル

体長25~30cmの大型シクリッドで、“暴君”という名称どおり、非常に気性が荒く魚食性です。

タンガニーカ湖産のアフリカンシクリッド

ジュリドクロミス・オルナータス

最大でも8cmほどの小型シクリッド。性格は温和ですが、同種に対しては縄張りを主張します。

トロフェウス・ドゥボイシー

体色はブラックで、ブルーの小さいスポットをちりばめたようなカラーをしています。体長は成魚でも10cmほど。

ネオランプロローグス・ブリチャージ

成長するとともにヒレが伸長する特徴があります。巻き貝を住み家とするため、サザエなどの殻を入れておく必要があります。

ネオランプロローグス・レレウピィ

全身が鮮やかなイエローで、別名をレモンシクリットともいいます。成魚は頭部にメタリックブルーの模様が現れ、とても美しい魚種です。

ネオランプロローグス・シグナータス

成魚でも5cmほどの体長で、非常に小さなシクリッドです。大きな巻貝の殻に産卵するシェルブリーダーとして知られています。

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ネオランプロローグス・キリンドリクス

細身の体型で、シルバーの体色に茶褐色の縞が美しく、成熟すると背ビレにブルーが入ります。気性は荒いほうで、同種間で喧嘩をすることが多いです。

ネオランプロローグス・テトラカンサス

薄いパープルの体色と体側にもパープルの点が並ぶ美しい魚です。気性は荒く、体長は15cmほどになります。

ネオランプロローグス・メレアグリス

体長6cmほどの小さなシクリッドで、巻き貝を住み家にするシェルブリーダーです。性格は比較的温和で、多くの魚と混泳が可能。

ネオランプロローグス・オルナティピンニス

シクリッドは派手な色彩の種類が多いのですが、これといった特徴のない体色で比較的地味な種です。こちらもシェルブリーダーです。体長は8cmほど。

キフォティラピア・フロントーサ

淡いブルーの体色にブラックの縞が入る美しいシクリッドで、成魚は30cmにもなる大型シクリッドです。サイズの割に温和な性格で、口に入らないサイズの魚との混泳が可能です。

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ジュリドクロミス・ディックフェルディ

体長10cmほど。シクリッドの中では温和な性格で、臆病な面もあるため、飼育には隠れ家が必要となります。

ジュリドクロミス・トランスクリプタス

体長7cmほどの小型シクリッドで、体色は白色に不規則な黒い斑点が見られます。流通量が少なく、詳しい飼育方法などが確立されていないようです。

ジュリドクロミス・マルリエリ

体長12cmほどで、体色は黒と白のチェック模様が大きな特徴です。やや気性が荒いため、岩組みなどで隠れ家を作る必要があります。

アルトランプロローグス・コンプレシケプス

体長12cmほど。扁平した体と大きなしゃくれた口が特徴です。シェルブリーダーで、シクリッドの中では温和な性格をしています。

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アルトランプロローグス・カルバス

体長12cmほどで、大きい口と扁平した体で特徴的なフォルムをしています。こちらも巻き貝に産卵するシェルブリーダーとしても知られています。

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カロクロミス・マクロプス

カエルのような顔をしている特徴的なシクリッドで、体長は20cmほどになります。温和な性格で、メスが口の中で卵を育てるマウスブリーダーです。

カロクロミス・プレウロスピルス

別名「キゴマ レインボー」と呼ばれる大半がドイツで繁殖された個体のシクリッドです。流通量が非常に少なく、高値で取り引きされます。

キプリクロミスの一種

おもに流通量が多いのがキプリクロミス・レプトソーマというシクリッド。タンガニーカ湖原産のシクリッドには珍しく、群生タイプです。

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その他の地域のアフリカンシクリッド

ペルヴィカクロミス・プルケール

ナイジェリアおよびカメルーン原産。国内では「ペルマト」という名称で売られていることもあります。非常に美しい体色をしており、人気の高い種です。

アノマロクロミス・トーマシー

ギニア原産のシクリッドで体長は8cmほどと小型。非常に荒い性格をしており、混泳には不向きです。国内ではスネイルバスターとしても人気が高い種です。

シュードクレニアブルス・ニコルシー

コンゴ川が原産の体長7cmほどのシクリッド。別名をニコルシー・エジプシャンマウスブリーダーといい、その名の通りメスが口の中で卵を育てる魚です。

アフリカンシクリッドの飼育方法

ひと口にアフリカンシクリッドと言っても、東アフリカの湖産シクリッドと西アフリカ産の2種類がいます。ここでは、そんなアフリカンシクリッドの飼育方法について解説していきます。

水温・水質

東アフリカのマウライ湖、ヴィクトリア湖、タンガニイカ湖に生息するシクリッドは「リフトレイク群」と呼ばれ、中性(pH7.0)~弱アルカリ性(pH7.8~8.0)の水質を好みます。一方、コンゴ川流域などに生息する西アフリカ産シクリッドは、弱酸性(pH5.5~6.5)~中性(pH7.0)の水質が基本となります。なお、どちらもアフリカ原産の熱帯魚なので水温を22~27℃程度にキープするようにしてください。基本的にシクリッドは非常に丈夫な種なので、水質に神経質にならなくても大丈夫ですが、急激な水質・水温変化には敏感なので注意するようにしましょう。

水槽サイズ・フィルター

アフリカンシクリッドには小型(ドワーフ種)から大型までさまざまな種類があります。ドワーフ種(10cm以下)なら30~45cm水槽でも問題ありませんが、最大20cmを超える種なら90cm水槽がマストになります。フィルターは魚のサイズが大きい場合は、ろ過能力が高いものが必要となります。アフリカンシクリッドには遊泳力が高い種が多いので、水流を作り出せる外部式フィルターないしは上部式フィルターがよいでしょう。

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底砂材

アフリカンシクリッドの飼育に関しては、基本的にソイル以外なら何でもかまいません。ただし、弱アルカリ性を好むリフトレイク群に関しては、サンゴを砕いたサンゴ砂を使うことで水質をアルカリ性に持っていくことができますのでおすすめです。

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レイアウト

アフリカンシクリッドは多くの種が水草などをレイアウトすると食べてしまいますし、アルカリを好む種類と水草の相性はよくありません。そのため、基本は底砂と石組みのみのレイアウトをおすすめします。ただし、遊泳力が高く、複数飼いをすると縄張りを主張するので石組みを多くするとぶつかって体を傷つけてしまう可能性もあるので注意が必要です。

アフリカンシクリッドの餌

アフリカンシクリッドは何でもよく食べ、人工飼料にもすぐに慣れるので、あまり気を使わなくて問題ありません。シクリッド向けの人工飼料や冷凍アカムシなどがおすすめです。植物質を好むので、そうした物が含まれている飼料を選ぶとよいでしょう。

アフリカンシクリッドの混泳

アフリカンシクリッドは気性の荒い魚と言われていますが、実際のところ混泳は不可能なのでしょうか。

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同種・近縁種との混泳

アフリカンシクリッドの混泳

出典:写真AC

アフリカンシクリッドは同種・近縁種との混泳に注意が必要な熱帯魚の一種です。それは縄張り意識が非常に強い魚だからで、混泳させるのであれば岩やサンゴなどを効果的にレイアウトして、隠れ家を作ってやる必要があります。また、水槽内に多めに飼育することで、縄張りが作れないようにしてやれば混泳することができます。ただし、アフリカンシクリッドは水を汚しやすいので、匹数が増やすなら水換えの頻度を多めにしましょう。

他種との混泳

アフリカンシクリッドの他種との相性

撮影:FISH PARADISE!編集部

基本的にアフリカンシクリッドは気性が荒いため、混泳の難しい魚で有名です。しかもリフトレイク群は弱アルカリ性の水質を好むため、より混泳が難しくなってきます。どうしても他種と混泳させたいのであれば、生活スペースが異なる底生のプレコやローチなどを選びましょう。

アフリカンシクリッドの繁殖

繁殖が容易なアフリカンシクリッドには、どのような種類がいるのでしょうか。おもに繁殖させやすいタイプの種類についてご紹介していきます。

オスメスの見分け方

アフリカンシクリッドには多くの種類があり、しかもリフトレイク群と西アフリカ産と分かれており、一概にオスメスの見分け方のルールがあるというわけではありません。飼育を考えているアフリカンシクリッドについて、インターネットなどで情報を仕入れて、オスメスの見分け方を覚えておくようにします。そのうえで、観賞魚ショップなどでペアで購入するとよいでしょう。

ペアリング

アフリカンシクリッドは、ベタなどのようにオスとメスでの相性合わせが必要になるわけではなく、成熟したオスとメスがいれば自然に繁殖するタイプが多いです。なお、飼育する匹数が多いほどペアリングが容易になるため、繁殖を考えるならなるべく多くのアフリカンシクリッドを同じ水槽に入れるようにしましょう。

繁殖環境

水温が上がったら産卵するといった、環境が変化するきっかけで繁殖するというわけでもないので、環境に関しても気を使う必要はありません。ただ、アフリカンシクリッドの適した水温が22~27℃くらいなので、繁殖行動が見られたらなるべく水温を一定に保つようにしてください。

産卵〜稚魚の育成

アフリカンシクリッドの繁殖で大きな特徴なのが、マウスブリーディングです。これはメスの口の中で卵を孵化させ、稚魚がある程度の大きさになるまで口の中で育てるという珍しい繁殖方法です。ほかの魚に卵を食べられる恐れはありませんが、メスは3週間ほど餌を食べません。そのままでは栄養失調で死んでしまう恐れもあるため、可能であれば強制的に稚魚を吐き出させるという方法もあります。

また、大きな巻き貝の中で繁殖を行うシェルブリーダーという種もいます。そういったアフリカンシクリッドを繁殖させるためには、サザエの殻を入れていくようにしましょう。

アフリカンシクリッドの気をつけたい病気

アフリカンシクリッドの病気

出典:写真AC

アフリカンシクリッドの中でも、リフトレイク群が好む水質は弱アルカリ性なので、寄生虫が発生することはほぼありません。しかも比較的丈夫な魚種なので、病気に関してあまり心配する必要はありません。ただし、水換えを怠って水質が悪化してしまうとエロモナス病にかかりやすいので注意が必要です。また、アフリカンシクリッドはかなり大食なので、つい餌をやりすぎてしまうことがあります。こうした状態が続くと、腹水病にかかる可能性が高くなるため気をつけるようにしてください。

珍しいマウスブリーディングを楽しむなら繁殖を狙おう!

アフリカンシクリッドは非常に種類が多く、しかもカラフルで美しい熱帯魚です。自分だけのお気に入りのアフリカンシクリッドを見つけて鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。また、アフリカンシクリッドの中にはマウスブリーダーの種類もいます。観賞魚でもとりわけ珍しい繁殖方法なので、ペアで購入して繁殖させてみるのも楽しいはず。ぜひチャレンジしてみてください!