シマアジは刺身が絶品な高級魚!美味しい旬の時期や値段は?

シマアジは大型になるアジの仲間で、特に天然物は高級魚として扱われています。まずは、シマアジの生態や特徴をご紹介します。

分類スズキ目アジ科シマアジ属
和名シマアジ
学名Pseudocaranx dentex
分布岩手県以南の太平洋沿岸、新潟県以南の日本海沿岸、琉球列島、台湾
特徴体高は高く側扁する。体側に1本の黄色縦帯がある。体長1mほどに成長する。

シマアジの特徴

生態

シマアジは太平洋東部を除く、世界中の亜熱帯から温帯域の暖かい海に分布しています。国内では、新潟県以南の日本海側でも見られますが、東北地方以南の太平洋側に多いです。水深200m程度までの沿岸から外洋に面した場所に生息し、中層から下層を群れで生活しています。

食性は動物食性で、多毛類や甲殻類、小魚などを周囲の海水や砂ごと吸い込むようにして捕食します。日本近海での産卵期は晩秋から冬。分離浮遊卵を産み、孵化後の稚魚は群れを形成し、時に群れの規模は1000匹以上になることもあります。しかし、成長するにしたがってその規模は縮小し、大きい個体になると単独行動するものも見られます。

名前の由来

シマアジは漢字で「縞鯵」・「島鯵」と表記しますが、それぞれに由来があります。まず、「縞鯵」についてですが、これは本種の模様に由来しています。本種は、生きている間や鮮度が良い時には体の中央に1本の黄色の縦縞が見られるため、「縞鯵」の名が付けられたというものです。ちなみに、英名の1つに「Striped jack」というものがあり(Stripeは縞の意)、英語圏でも模様が意識された命名になっています。次に、「島鯵」の方ですが、こちらは漁獲される場所に由来します。天然のシマアジは伊豆諸島などの島々でよく獲れることから、「島の鯵」という名になったというものです。

シマアジの値段

シマアジの値段は天然物と養殖物で大きく異なります。現在は養殖物が安定供給されているため、それらはスーパーなどの小売店に並ぶこともありますが、天然物は漁獲量が少なく高級魚として扱われており、小売店で見ることは稀です。相場としては、養殖物が1kgあたり2千円前後なのに対し、天然物は同じく5千~1万円ほどの値が付くこともあります。シマアジはその大きさから2~3kgの個体は中型に分類されるのですが、それでも1~2万円の値が付くこともあり非常に高価な食材と言えます。

シマアジは出世魚?

シマアジも例に漏れずたくさんの地方名・別名を持っています。代表的なものに「ヒラアジ(熊本)」・「コセアジ(高知)」などがありますが、伊豆諸島の呼び名に「オオカミ」というものがあります。伊豆諸島は伝統的な天然シマアジの産地で、特に大型の個体に使われる名称です。ただ、あくまで地域的なもので、他では同名称は浸透していないため、シマアジは一般的には出世魚とはされていません。

シマアジの最大体長

シマアジはアジの仲間の中でも大型になる種類として知られており、記録に残っている最大のものは、体長122cm・体重18.1kgです。当然、ここまで成長することは珍しく、通常で見られる個体は大きな天然物でも1mほどで、養殖物はさらに小さく40cmほどで出荷されます。

シマアジと他のアジ類の違い

シマアジは大きさ以外にも形態面での特徴を有します。ここでは、シマアジと他のアジの仲間との違いをご紹介します。

マアジ

マアジとの違いは、体長・体形・模様などに現れます。まず、体長についてですが、マアジは最大でも40cmほどなのに対し、シマアジは前述のとおり1m以上になることもある大型種です。次に、体形はマアジは細長い紡錘形をしているのに対し、シマアジは体高が高く側面から見て魚体の中央付近で最も高くなるため、ラグビーボールのようなシルエットになります。最後に、模様に関しては、シマアジの特徴である黄色の縞模様は、マアジには見られません。

カイワリ

カイワリとの違いについても、体長・体形・体色・模様などがチェックポイントです。まず、カイワリの体長は最大で約40cmと、やはりシマアジより小型です。次に、体形については、カイワリはシマアジよりもさらに体高が高く、マダイをはじめとするタイ類に見られるようなフォルムをしています。体色・模様に関しては、カイワリは全体的に銀色をしており、シマアジに見られるような模様は入りません。また、ヒレの色とエラブタも見分けのポイントに挙げられます。シマアジは胸ビレや尾ビレなどが黄色を帯びるのに対し、カイワリにはそのような特徴は見られません。エラブタについては、シマアジには明瞭な黒色斑が確認できますが、カイワリには入りません。

ギンガメアジ

ギンガメアジとの差異は、目の大きさ・模様・ヒレの形と色などに現れます。まず、目についてはギンガメアジの方が大きく口吻に近いことが特徴です。次に、模様に関しては、やはりシマアジに見られる黄色の縞模様はギンガメアジには見られません。最後の、ヒレの形と色ですが、ギンガメアジの第2背ビレと尻ビレの前端は鎌状に伸び、これはシマアジには見られない特徴です。また、ヒレの色はシマアジが黄色を呈するのに対し、ギンガメアジは黒色~暗灰色をしています。

シマアジの旬はいつ?

先に述べたとおり、現在では養殖物が安定して供給されているため、年中手に入る魚ではありますが、旬の時期は夏から秋です。シマアジの産卵期は主に冬なので、そこに向けて栄養を蓄え身が充実する時期に当たるためです。ちなみに、小型のものは一般的に養殖物なので、味の変化が少なく通年で美味しく食べられます。

新鮮なシマアジは刺身が絶品!

新鮮なシマアジ

シマアジはマアジなどと比較すると脂の乗りが段違いに良く、その身質はブリに似ていると言われています。そのため、新鮮なものは生食にも適しており、特に刺身は絶品です。味に関しては、天然物と養殖物では評価が異なります。前者は、程よく脂が乗り上品な旨味を味わえると絶賛されていますが、後者は栄養過多になりがちなためか、脂がしつこいと感じる方も居るようです。ただ、それも好みの問題の範疇と言えるため、養殖物であっても需要は絶えません。

その他美味しいシマアジのレシピ(食べ方)

シマアジは刺身の他にもいろいろな調理法で美味しくいただけます。ここでは、シマアジの代表的な料理をご紹介します。

あら汁

シマアジはアラからも良い出汁が取れるので、刺身などで出たアラは捨ててしまわず、アラ汁にして無駄なく消費することをおすすめします。アラは利用する前に軽く湯通しした後、冷水に落としヌメリや鱗を取り除いてください。そうすることで臭みなどもなくなり、より美味しいアラ汁に仕上がります。

寿司

刺身が美味しいことから、握り寿司にしても大変美味しくいただけます。特に、天然シマアジの握りは絶品で天然物の希少性と合わせて高級寿司ネタとなっており、一般的な店舗では取り扱いすらないことも多いです。養殖物はやや敷居が下がりますが、それでも高級なネタです。味はやはり、天然物と比較すると脂がしつこいという評価になりがちですが、その濃厚な味を評価する方も居るようです。

カルパッチョ

新鮮なシマアジは生食に適しているため、カルパッチョにしても美味しいです。もともと、強い旨味を持っているためか、トマトなどの野菜や香草との相性も良く、互いの味を引き立ててくれます。また、養殖物はその強い脂のせいで好き嫌いが分かれますが、柑橘系を効かせたカルパッチョにするとサッパリとするため、刺身などよりも美味しいという声もあります。

塩焼き

魚料理の定番の塩焼きですが、シマアジとの相性も抜群です。シマアジの身は火を通しても硬く締まらず、ふっくらとした仕上がりになり美味です。特に、養殖物の強い脂が苦手な方は、焼くことである程度脂を落とした方が食べやすくなります。焼く前に振り塩をしてある程度の時間寝かせ、出てきた水分をしっかりと切っておくことが美味しく仕上げるコツです。

シマアジの釣り方

シマアジは通年で釣れる魚ですが、季節によって釣れやすい場所は変わってきます。夏から秋にかけては、産卵に備えて積極的にエサを取るため、潮通りの良い磯や堤防の先などにも回遊して来るので岸からでも狙えます。逆に、冬から春は沖にいることが多いため船から狙うことが多いです。

いずれの場合も、コマセを撒いてシマアジを呼び込んで釣る方法が一般的で、船釣りの場合はプラビシを使ったウィリー仕掛け、岸からの場合はテンビンを使ったカゴ釣りがポピュラーです。船釣りの基本的な構成は、シャクリ専用竿と中型両軸リールにラインはPEの4~5号、仕掛けは前述のとおりプラビシの60~80号を使ったウィリー仕掛けです。

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カゴ釣りの方は同じく、遠投仕様の磯竿と中型スピニングリール、ラインはナイロン5~6号相当、仕掛けは遠投用テンビンカゴを使います。エサはコマセも付けエサもオキアミやアミエビが基本です。シマアジは口元が弱く口切れによるバラシが多いため、アタリはゆっくりと合わせ十分にドラグを活用することがコツです。

天然物は驚きの高級魚!魅力あふれる大型魚シマアジ!

シマアジはアジの仲間では大型になる種類で、最大で約1.2m、通常でも1m前後にまで成長します。暖かい海を好むため国内では太平洋側に多く、主に伊豆諸島など南日本で漁獲されます。シマアジは大変に食味の良い魚と知られており、天然物はキロ1万円の値が付くこともある高級魚です。特に、刺身は絶品なので、ぜひ一度ご賞味ください。

シマアジは刺身