ゴンズイを知ろう!毒針の危険性・刺された際の対処、料理法など

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ゴンズイとは

ナマズ目ゴンズイ科ゴンズイ属に分類される海水魚です。分類からも分かる通り、海に住むナマズの仲間で、沿岸に生息しているため目にする機会も多いです。まずは、ゴンズイの特徴や生態などをご紹介します。

日本にはゴンズイが2種類存在する

ゴンズイの特徴

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日本には、ゴンズイとその近縁種であるミナミゴンズイの2種類が分布していますが、両者は同一の存在として考えられてきました。

 

しかし、鰓耙(さいは:エラに存在する櫛状の部分)の数や、背側の尾ビレの付け根と尻ビレのそれとの位置関係に差異があることから、2008年にミナミゴンズイが新種として登録された経緯があります。

ゴンズイの特徴

ナマズ目に分類されているナマズの仲間で、体形もナマズに似ています。つまり、頭部は平たいのですが、体の後半部は側扁する形です。全体的に見ると魚体は細長く、口にはヒゲを8本持ちます。

 

体の後半部を取り巻くように付いている尾ビレが特徴的で、これは第2背ビレと尻ビレが尾ビレと一体になったものです。対して、第1背ビレと腹ビレは小さくあまり目立ちません。ナマズの仲間よろしく鱗は持たずに体表は粘液で覆われ、体色は褐色や暗褐色で黄色い2本のラインが入ります。

ゴンズイの生息域・分布域

ゴンズイは毒針に注意!

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ゴンズイは国内では本州中部以南、具体的には房総半島や能登半島から九州にかけて分布していますが、日本海側には少ないです。ちなみに、ミナミゴンズイは琉球諸島以南に分布しており、西太平洋~インド洋と幅広く分布しています。

 

ゴンズイは浅場の岩礁帯や内湾に生息しており、普通は群れで生活しています。そのため、防波堤などからの釣りでもよく見かける魚です。

ゴンズイの生態

ゴンズイは昼間は物陰に潜んでじっとしている夜行性で、食性は甲殻類や多毛類、頭足類などを捕食する肉食性です。産卵期は5~8月頃で、性成熟したオスとメスがペアを形成し、海底に円形の浅い産卵床を作って産卵します。

 

卵は沈性卵で、サイズは直径約3mm。それを1度に200~600粒ほど産み落とします。産卵後はオスが孵化まで卵を保護し、孵化後の稚魚も続けて面倒を見る習性を持ちます。

 

本種は、胸ビレにある棘と骨をこすり合わせることで、「ギィギィ」や「グゥグゥ」などと聞こえる音を出すことが可能です。このことから、「ギギ」や「ググ」などと呼ぶ地方もあります。

ゴンズイ玉って何?

ゴンズイ玉が凄い!

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ゴンズイは捕食者から身を守るために、同じくらいのサイズの個体が集まって群れを成す習性があります。その様子が、正にゴンズイで形成された球体であることから、「ゴンズイ玉」と呼ばれています。

 

幼魚期はウニの1種であるガンガゼの棘の間で、ゴンズイ玉を作っている姿も確認されています。この習性から、釣りなどで1匹が掛かると、次々にゴンズイが上がることも珍しくありません。

 

ゴンズイは毒針に注意!

ゴンズイの毒性は?

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ゴンズイの第1背ビレと胸ビレには毒棘があり、刺さると激痛に見舞われるため注意が必要です。ここでは、ゴンズイの毒性や毒棘が刺さってしまった時の対処法などをご紹介します。

ゴンズイの毒性

ゴンズイが持つ毒は強力で、毒棘が刺さると重い火傷を負った時のような、激しい痛みに襲われます。場合によっては水膨れなどの症状が出て、2回目以降だった時は人によってはアナフィラキシーショックにより命の危険に晒されるケースもあります。

 

この毒は、カサゴ目の魚種に見られる毒性タンパク質と同等の物で、ゴンズイが死後も毒自体は残存するため、取り扱いには細心の注意が必要です。

ゴンズイが釣れてしまった時の対処法

意に反して釣れてしまった時は、絶対に素手では触らないようにしましょう。リリースしたい場合は、濡らしたハンドタオルなどをゴンズイに被せて、その上からメゴチバサミなどで暴れないようにしっかりと固定し、針を外してから放してやると良いでしょう。

 

食材として利用する、などの理由で持って帰りたいのであれば、やはり毒棘が危険なので釣れたら素手では触らないようにして、ハサミやニッパーなどで第1背ビレと両の胸ビレを切除してから持ち帰りましょう。さらに、可能ならば釣った直後に捌き、内臓を取り除いておければ理想的です。

ゴンズイに刺された時の対処法

ゴンズイの毒はタンパク質に由来する物なので、対処法もハオコゼなどカサゴ目の毒魚に刺された場合と共通しています。

 

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まず、毒棘が患部に残っている時は、毛抜きなどでつまんで取り除きます。次に、ポイズンリムーバーを用い、毒を少しでも多く吸い出しておきましょう。

 

その後は、患部を50℃前後のお湯に浸けます。これは、毒がタンパク質に由来しているので、加温することで変質して失活するためです。高温ほど効果が上がりますが、火傷を負わないよう注意してください。

 

ここまでの処置をすれば痛みはだいぶ和らぐと思いますが、あくまでも応急処置なので改めて医療機関を受診してください。

あえてゴンズイを狙いたい!ゴンズイの釣り方とは

外道として嫌われがちなゴンズイですが、毒棘にさえ気を付ければ美味しく食べることも可能です。釣り自体も比較的簡単なので、あえてゴンズイを狙ってみてはいかがでしょうか。

ゴンズイのポイント(釣り場)

ゴンズイの釣り方

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ゴンズイは沿岸部に生息しているので、防波堤や堤防などから狙えます。シーズンとしては産卵期にあたる5~8月頃で、この時期はより浅い場所に移動してくるため掛かりやすいです。

 

本種は夜行性なので夜釣りが基本ですが、曇天時や海が濁っている時など、海中が薄暗い時は昼間でも釣れます。ちなみに、食材として利用するのであれば、潮通りの良い場所で釣った方が食味の良いゴンズイが手に入ります。

ゴンズイ釣りのタックル・仕掛け

ゴンズイを狙う場合、堤防や防波堤からの投げ釣りやミャク釣り(落とし込み釣り)が手軽で釣果も上がります。

投げ釣り

ゴンズイは夜になると、餌を探しに広範囲を群れで回遊するので、夜釣りの場合は投げ釣りがおすすめです。タックルとしては、ロッドは3〜4m前後の投げ竿を使用し、リールは小型〜中型スピニングリールで十分です。

 

ラインは道糸にPE1号程度を用い、先端には10mほど力糸を結んでおきましょう。仕掛けは投げ釣り用の天秤仕掛けが一般的で、天秤に発光剤を付けておけば夜釣りに便利です。

 

針については注意を払った方が良く、流線などの軸が長いタイプを使用した方が、釣り上げた後に外しやすくなるのでおすすめです。

 

餌はアオイソメが基本ですが、オキアミや魚の切り身など何にでも食い付いてきます。

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2024年2月29日

ミャク釣り(落とし込み釣り)

足元に水深がある場所ならミャク釣りもおすすめです。タックルとしては、ロッドは磯竿やルアーロッド、万能竿などを用い、リールは小型のスピニングリールがあれば問題ありません。

 

ラインはPEの1~1.5号に相当する物を使用します。仕掛けは胴突き仕掛けが一般的ですが、針は1本にしておくことを推奨します。

 

なぜなら、本種は基本的に群れで行動しているため、針を複数セットしておくとその全てに掛かることも珍しくなく、すると1匹に対処しているうちに他個体の毒棘に刺される恐れがあるからです。

 

例によって、針も軸が長い物がおすすめで、餌は投げ釣りに準拠します。

ゴンズイの釣り方のコツ

ゴンズイ釣りは特別に難しい要素はありません。仕掛けもシンプルな物で良く、一般的な釣り餌なら何でも食い付いてきます。

 

ゴンズイ釣りでコツが必要な要素があるとすれば、釣り上げた後のことを考えた行動です。毒棘の存在が何より厄介なので、アワセは速めに入れると良いでしょう。

 

そうすることで、口に針が掛かった状態で釣れるので、針を外しやすくなります。

 

アワセが遅く飲み込まれてしまうと、針を外す作業が非常に危険なものになるため、素直にハリスを切ってしまった方が良いです。

 

ゴンズイを食べる!おすすめ料理とは

先に少し述べましたが、ゴンズイは意外と美味しい魚で、その味を求めてゴンズイ釣りに出かける釣り人が少なからず居ます。ここでは、ゴンズイの食味とおすすめの調理法をご紹介します。

ゴンズイの味

ゴンズイの身は淡白でクセのない白身で、特に冬季は身に脂が乗っており、大変に美味だと評価されています。ただし、岸辺近くの潮通しが悪い場所で取れた個体はその限りではありません。

 

また、ゴンズイの特徴として鮮度が低下すると、直ぐに内臓からの臭みが身に移ってしまう点に注意してください。

料理その① ゴンズイの天ぷら・フライ

ゴンズイを使用すれば、美味しい白身魚の天ぷら・フライが作れます。毒棘を除去して捌いたゴンズイの身は、塩水でよく洗って粘液を落として水気をよく切っておきましょう。

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その身に塩・コショウなどで下味を付け、天ぷらの場合は水に溶いた天ぷら粉を、フライは水・溶き卵・小麦粉を混ぜた物に潜らせてからパン粉をまぶして油で揚げます。

 

いずれもふっくらとしたゴンズイの身と、衣の香ばしさがマッチして美味です。

料理その② ゴンズイの刺身

冬季に獲れたゴンズイは、ぜひ刺身でご賞味ください。上質な白身に脂が乗っており、旨味が豊富ながらもしつこくなく箸が進みます。調理する際は最優先で毒棘を取り除き、他の魚と同じ要領で3枚に下ろします。

 

ゴンズイの粘液には弱い毒があるので、塩水でよく洗うなどしてしっかりとヌメリを落としておきましょう。

料理その③ ゴンズイの味噌汁

シンプルに味噌汁の具にしてしまっても、よい出汁が出るため美味です。例によって、下処理をしたゴンズイの身を食べやすいサイズに切り分け、野菜などと一緒に煮込んで味噌汁にします。

 

味噌汁の他にも、刺身などにしたアラを汁物にすると無駄なく美味しく食べられます。

意外に美味しいゴンズイ、毒棘には要注意!

ゴンズイは意外に美味しい

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ゴンズイは海に住むナマズの仲間で、「ゴンズイ玉」と呼ばれる群れの状態で沿岸部を回遊しています。

 

外道としてよく釣れるうえに、毒棘の存在が厄介なので嫌われがちですが、クセのない白身が美味しい魚で、本種を熱心に狙う釣り人も少なからず存在します。

 

もし、釣り上げる機会があったなら、毒棘の取り扱いには十分に注意したうえで、調理してみてはいかがでしょうか。

ゴンズイの特徴