水槽にエアーポンプは必要?選び方とおすすめ16選!

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エアーポンプでのエアレーションの必要性

観賞魚飼育ではエアーポンプでのエアレーションが基本ですが、そもそもなぜエアレーションが必要なのでしょうか。

酸欠防止

エアーポンプで酸欠を防止

出典:GEX

エアレーションを行って常に空気を飼育水中に送り込むことで、観賞魚などの酸欠を防止することが可能です。

 

酸欠防止措置は特に、水温が上昇する夏場に重要になります。なぜなら、水温が上昇すると水中に溶け込める気体の量が減少し、それに伴って溶存酸素量も減少してしまうからです。そこで、エアレーションを行って空気を送り込んでおけば、常に酸素が供給されて酸欠防止になるわけです。

 

また、水草水槽においてもエアレーションは重要です。光合成によって酸素を作り出せる水草水槽では酸素が供給されるためエアレーションが入らないのでは?と疑問を持つ方もいるかもしれません。

 

水草水槽でもエアレーションが必要な理由は、水草は光が当たっている時は光合成をしていますが、消灯時間になって光が当たらなくなると呼吸を行い酸素を消費するため、夜間の酸欠のリスクがあるためです。

 

外部タイマーなどを用いて、消灯と連動してエアレーションを行えるようにしておけば、手間もかからないのでおすすめです。

好気性バクテリアの活性化

エアーポンプのメリット

出典:写真AC

水槽内に存在する好気性バクテリアの活性は、飼育環境の維持に大きく関係してくる要素です。水質の浄化のために導入するフィルターは、物理ろ過や生物ろ過を行うための装置ですが、特に生物ろ過はエアレーションと深い関わりがあります。

 

生物ろ過はフィルター内のろ材にバクテリアを住まわせて飼育水を通し、水中の有毒物質を毒性の低い物質に変換してもらうことで、飼育水を綺麗にするろ過方法です。

 

水槽内にも色々なバクテリアが定着します。水槽内で働くバクテリアは、大別すると好気性のものと嫌気性のものに分けられます。前者は酸素が豊富に存在する環境を好むのに対し、後者は酸素が乏しい環境を好みます。

 

生物ろ過を行ってくれるバクテリアは、好気性のグループに分類される者たちです。よって、エアレーションを施して酸素が不足しない環境にすることは、好気性バクテリアの活性上昇につながり、ひいては水質の悪化を抑制することになるのです。

 

逆に、酸素が不足すると、嫌気性バクテリアが勢力を伸ばしてしまう恐れがあります。嫌気性バクテリアも水槽飼育において役割を担っているのですが、硫化水素などの猛毒を産出する種類も存在し、これは水槽内という狭い環境では非常に厄介です。この点からも、基本的にはエアレーションを行って嫌気的な環境にしないことが重要です。

 

ただし、嫌気性バクテリアをあえて有効活用するろ過システムもあります。

油膜対策

エアーポンプは油膜対策にもなる

出典:写真AC

エアレーションは油膜対策としても効果的です。

 

油膜の原因となるのは飼育水中で発生した微細な有機物で、それが水面に溜まると油膜となって目に見える形で現れます。エアレーションを行うと、気泡が水面に上る動きに連動して、飼育水に対流が生まれます。その結果、水面に有機物が留まりづらくなるため、油膜解消につながります。

 

ところで、油膜の原因となる有機物ですが、その由来となるのは、バクテリアの死骸やトリミングされた水草の汁、餌から溶出した物など様々です。しかし、これらの有機物はバクテリアが十分に増殖し、活動できていれば分解してくれます。

 

水槽立ち上げ直後に油膜ができやすいのは、バクテリアの数が足りないことと、環境が出来上がっていないが故にバクテリアの大量死が起こることがあるためです。エアレーションを行っておけば、バクテリアが活性化して増殖もスムーズに進行します。

 

すると、水質の早期安定化につながるとともに、油膜の原因となる有機物の分解も促進されるため、効果的な油膜対策になります。

エアーポンプの選び方

エアーポンプを選ぶ際にチェックしておきたいポイントをご紹介します。

吐出量

エアーポンプは商品によって、それぞれ空気を送り出せる量が決まっています。水量に対して吐出量が小さすぎると、エアレーションの恩恵を受けにくくなるので注意が必要です。

 

また、エアーストーンを用いる場合、種類によっては吐出量が小さいと綺麗にエアーが出ないという問題も発生しますので、エアーストーンにあった十分な吐出量のエアーポンプを選びましょう。

 

吐出量(流量)を調整できるものも発売されており、水量やエアーストーンに合わせて使えるのでおすすめです。

吐出口数

エアーポンプの吐出口

撮影:FISH PARADISE!編集部

分岐コックを使用すれば、エアレーションの数を増やすことができますが、本体側の吐出口の数もチェックしておきましょう。水槽の数が複数あるのであれば、本体の吐出口の数も2個以上のものが使い勝手がよくおすすめです。

静音設計かどうか

エアーポンプを選択する際は、静音設計かどうかも注意しておきましょう。静かな環境が好ましい場所に設置している水槽では、エアーポンプの音が気になってしょうがないという問題も起こり得ます。

 

例えば、寝室の場合はエアーポンプの音が大きいと、睡眠に支障を来たす恐れがあります。駆動音を抑えた商品は、静音設計を売りにしていることがほとんどなので、パッケージなどを読んで静音設計かどうかを確認しておくと良いでしょう。

使用場所(屋内・屋外)

エアーポンプを使用する場所が屋内か屋外かで選ぶべきエアーポンプも違ってきます。基本的には、水槽用のエアーポンプは屋内専用で、コードなどに雨水用の防水加工はなされていません。

 

屋外で屋内用のエアーポンプを使用すると漏電や火災の原因になりかねませんので、使用場所にあった専用品を選びましょう。

使用用途(淡水・海水両用かどうか)

エアーポンプにも、淡水専用の物と淡水・海水両用のタイプがあるので、自分の飼育水槽によって選ぶべきエアーポンプが変わってきます。淡水専用の物を海水水槽で使用すると故障の原因になるため、海水水槽では必ず淡水・海水両用のエアーポンプを選択してください。

 

淡水専用のエアーポンプを海水水槽で使用して故障した場合、保証期間内であってもその対象外となることがあるので注意してください。

おすすめの水槽用エアーポンプ16選

様々なサイズ・用途にあったエアーポンプを、ピックアップしてご紹介します。静音設計タイプや強力な吐出量を持つタイプなど、使用環境にあったエアーポンプを選んでみました。

ニチドウ ノンノイズ W-300

30~60cmクラスの水槽での使用に適したエアーポンプです。サイレントボックスが内蔵されており、駆動音の静音性が高い設計になっています。流量調節ダイヤルが付いているため、エアーの吐出量の調節も容易です。コンパクトなボディで置き場に困らず、部品の交換も簡単にできるので長持ちさせられます。

水作 水心 SSPP-3S

静音性において特に高い評価を得ているのが水心シリーズです。SSPP-3Sは振動吸収脚ゴムが採用されており、周辺に振動が伝わりにくくなっているため静音性が強化されています。また、本体にリングが付いており、フックに引っ掛けて吊るすことで、さらなる静音性の向上が見込めます。

 

適合水槽は30~60cmで、ダイヤル機構によりエアーの量も自由に調節可能です。

ジェックス e-AIR 2000SB

ポンプ内部で発生したノイズを漏らさない特殊密閉構造「サイレントルーム」と、振動を吸収する防振脚ゴムが採用されています。これらにより、同社従来商品と比較して約11%、駆動音の低減に成功しています。

 

また、本体には交換可能なエアーフィルターが付いているため、綺麗な空気を供給可能です。120cmまでの水槽に適しており、エアー量の調節機能も付いています。

ニッソー サイレント β-60

密閉式二重構造(特殊ハウジング機構)の採用により、駆動音を大幅に低減しています。内部パーツはユニット式になっているため、摩耗したパーツの交換も簡単です。

 

30~60cmまでの水槽に適合しており、パワフルかつシンプルで使いやすいエアーポンプです。

水作 Air-Max 12000 C-4

最大12000cc/minの大吐出量を実現した大型エアーポンプです。120cmまでの水槽を対象としており、防音パッキンが付いているため静音性も考慮されています。

 

吐出口が4つあるうえに、ダイヤルを回してエアーの量を調節できるので、これ1つで複数の水槽に空気を供給する使い方も可能です。

ジェックス エアーポンプ e-AIR 9000FB

120cmまでの水槽に適合したエアーポンプで、吐出口が4つあるため大型水槽のほか、複数の中型以下の水槽へのエアレーションもこれ1つで可能です。側面のパッキンが音漏れを防止することに加え、防振脚ゴムが接地面への振動の伝搬を抑制するので、静音性にも優れます。

 

エアーフィルターによって清浄な空気の供給ができ、エアー調節機能も付いているため使いやすいモデルです。

ジェックス サイレントフォース 2000S

2つのダイヤフラム駆動によって振動を打ち消しあう設計になっているため、同社従来品と比較して約70%も振動を抑制できています。

 

また、形状を円筒状にして通気距離を伸長したことでさらなる静音化に成功しており、従来品と比較すると約20%ノイズが抑制されています。60cm以下の水槽に対応しており、静音・低振動とハイパワーが両立されたモデルです。

コトブキ サイレントエア SA-4000W

厚さ4mmの本体ボディと、振動を抑えるサイレントカートリッジの採用により、静音性と低振動性が強化されています。無駄な空間を省いた流線型のボディに加え、吐出口が目立たないよう本体下部に設置されているのでデザイン性も高いです。

 

吐出口は可動式になっていてホースの折れを防いでくれます。

キョーリン ハイブロー C-8000

90~180cmの大型水槽での使用に適した高性能なエアーポンプです。複数の小型~中型水槽での分岐使用にも向いており、30cmクラスの水槽なら12本ものエアレーションをこれ1つで賄えます。本体にHighスイッチとLowスイッチが付いていて、切り替えることでエアーの量を調節可能です。

 

柔軟性に優れるゴム素材を採用しているため、60HzでのHighスイッチ運転でも、30dBAの静音性を実現しています。

安永 エアーポンプ AP-30P

浄化槽や工業、養殖業などでも使用されている、強力な電磁式エアーポンプです。アクアリウムにおいては、120cmを超えるような大型水槽や、ブリーディングのために沢山の小型水槽に分岐使用する場合などに適しています。

 

強力ながらも省エネで、新型駆動部を搭載したことにより、従来品よりも電力消費量が約40%削減されています。ある程度の防水性も付与されているため、屋外での使用も可能です。

カミハタ リオ Rio+1400

流量調節が可能な水中ポンプです。長辺が11cmとコンパクトな設計ながら最大流量が24L/minとパワフル、それでいて運転音は静かです。付属のキスゴムを使用することで壁面への固定も可能で、水流発生用のパワーヘッドの他、フィルターと接続するなど様々な使い方が可能です。

 

チューブを使ってエアーポンプと接続することもできるので、水槽内への酸素供給にも役立ちます。

エーハイム コンパクトオン1000

長辺が7.9cmのコンパクトな水中ポンプです。排水口が16/22mm・19/27mm両方のホースに対応しているため、色々な周辺機材と接続して使用することが可能です。流量調節機能も付いているため、非常に使い勝手の良い水中ポンプに仕上がっています。

 

シャワーパイプやディフューザーと接続すればエアレーションも行えます。

カミハタ オーシャンランナー プロ

水陸両用の揚水ポンプです。ホースバンドが付属しており、ホースとの接続が容易に行えるため、非常に使いやすいモデルになっています。最大流量が45L/minと強力なので、オーバーフロー水槽での揚水やプロテインスキマーおよびUV殺菌灯と接続しての使用など、パワーが求められる場面で活躍してくれます。

 

もちろん、水中ポンプとして使用してシャワーパイプやディフューザーと接続すれば、エアレーションも可能になります。

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ゼンスイ RLP-40

浄化槽に設置する浄化水用エアーポンプとしても使用できる強力なポンプです。そのパワーから、大型水槽や池、プラ舟などでの使用に向いています。無注油仕様なので、エアーが綺麗でにおいも気になりません。

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また、本体カバーとゴム足により低騒音・低振動を実現しており、構造がシンプルであるため耐久性が高く、長期に渡る使用にも堪えます。

ハピソン 乾電池式エアーポンプ エアー708B

単1型乾電池2個で動く、乾電池式のエアーポンプです。エアー量の強弱の切り替えが可能で、本体サイズは長辺が150mmとコンパクト。モーターの寿命も同社従来商品の5倍の約1000時間と長持ちします。防滴機能もあるので、主に釣りの場で釣魚や餌となる活魚を生かすために使用されています。

 

アクアリウムの場においても、停電時にエアレーションを絶やすことなく行えるため、備えに持っておけば大いに役立ってくれます。

ソーラーエアーポンプ エアポン太

ソーラーパネルとエアーポンプが一体となった商品です。ソーラーパネル部分は折り畳みが可能なので、持ち運びも容易です。チューブやストーンなどが同梱されており、配線が必要ないため設置も簡単です。

 

使用の際は、USBケーブルで充電池をつないでフル充電してから使う必要がありますが、その後はソーラーパネルで発電するので、ある程度は長期間の連続運転も可能です。日中に停電した時などは活躍が期待できます。

落下などのリスクを考えて吊るしたくない場合は、単純にスポンジや布などをエアーポンプと設置場所の間に敷くと良いでしょう。スポンジなどが振動を吸収してくるので、やはり接地面との接触で生じるノイズを大幅に減少させることが可能です。

 

ただし、この方法を採る時は、エアーポンプを包み込んだりはしないようにしてください。エアーポンプをスポンジなどで覆ってしまうと、放熱が間に合わずに蓄熱して発火、火災にまで発展してしまう恐れがあるからです。

 

そこまでに至らなくとも、高温下での運転で部品の劣化が早くなることが考えられるので避けてください。

部品交換・買い替え

購入直後は静かだったのに数年たった現在ではうるさくなった、という場合は部品の劣化によって、本体に問題が生じていることが考えられます。そのようなケースでは、部品を交換すると良いでしょう。現在では、メーカーのサイトなどで交換用部品を取り寄せることができるので、部品の入手は容易です。

 

ただ、足ゴムレベルであれば素人目にも劣化が分かりやすいのですが、どの内部部品を交換すればよいのか判断が難しい場合もあります。その時は、思い切って買い替えるのも手です。当然ながら、後に発売された商品の方が、静音性にも優れていることが多いです。

エアーポンプのメンテナンス方法と寿命

エアレーションを行っていて、最近になってエアー量が落ちてきたと感じた場合は、次に示す点をチェックしてみてください。

 

まずは、ストーンの状態を確認してみましょう。 ストーンに汚れが付着するなどして、目詰まりを起こしている恐れがあるからです。ストーンを洗浄・交換するなどして、エアー量が回復するか確認してみると良いでしょう。

 

次に、エアーポンプ本体についてですが、主にチェックすべき点としては、 エアーフィルターとダイヤフラムの2点が挙げられます。

 

エアーフィルターが細かなゴミやホコリで目詰まりを起こしていると、エアーの出が悪くなるので汚れていた時は交換が必要です。ダイヤフラムは内部部品の1つで、空気を吸い込んで送り出す役割を担う重要な物です。ただ、ゴム製であることが多く、劣化しやすい部品の1つとして知られています。ダイヤフラムが劣化もしくは破損してしまうと、エアーを送り出せなくなるため、やはり交換が必要です。

 

エアーポンプの寿命は、主にダイヤフラムや弁といった、消耗品の耐久性に左右されると言われています。劣化の程度は商品や使用環境にもよりますが、1年ごとの交換を推奨しているメーカーが多いです。これらの部品を定期的にチェックして適宜交換すれば、エアーポンプを長持ちさせることが可能です。

エアーポンプで魚も元気いっぱい!

エアーポンプで酸素供給

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エアーポンプは水中の溶存酸素を増やし、水質悪化を防いでくれる優れものです。以前は、作動音も大きくてうるさい商品もありましたが、最近は静音性もますます良くなっています。

 

昔のモデルを何年も使っている方は、この機会に新たに最新のエアーポンプに買い換えてみるのもいいかもしれません。高機能なエアーポンプで魚を元気いっぱい飼育しましょう!

 

エアーポンプで魚を元気に