ブラックアロワナは90cm水槽でも飼育可能?餌や飼い方のコツは?

アイキャッチ画像出典:熱帯魚のMISHIMA高岡店

ブラックアロワナってどんな魚?

ブラックアロワナは南米に分布しているアロワナの1種です。幼魚期の体色は黒色なのですが、成魚になるといぶし銀のような色合いになり、この変化も本種の飼育における醍醐味と言えます。まずは、ブラックアロワナについて特徴や価格相場などをご紹介します。

特徴

魚体は強く側扁しており細長く、口は上向きについており、下アゴの先端には1対2本のヒゲがあります。背ビレと尻ビレの基底は、魚体の半分を覆うほどに長いのと対照的に、尾ビレは小さいです。体長は自然下では90cmほどに達し、大型の個体では1mを超えるものもいます。体色は幼魚期については黒色の体に黄色い模様が入りますが、成魚になるといぶし銀のような色合いになります。成長速度は飼育環境に大きく依存しますが、体長6~7cmほどの幼魚が1年で20~40cmほどに達し、3~4年も経過すれば70cm以上にまで成長します。

分布

ブラックアロワナは南米のネグロ川に生息している

出典:写真AC

ブラックアロワナは主に南アメリカ大陸を流れるアマゾン川水系に分布しています。アマゾン川の支流の1つであるネグロ川や、ネグロ川の支流であるブランコ川に加えて、ガイアナを流れるエセキボ川の上流域などに生息しています。

流通量と価格相場

ブラックアロワナは定期的な入荷があるので、アロワナ類の中では流通量が多い種類です。価格相場としては、体長10cmに満たないほどの幼魚が3000~7000円前後で販売されており、アロワナの仲間ではシルバーアロワナに次いで安価に入手できます。

寿命

ブラックアロワナの寿命は平均10年程度と言われています。飼育環境に大きく左右されることは言うまでもなく、上手に飼育できた場合は15年以上も生きる個体もいるようです。いずれにしても、その大きさから引っ越しなど移動が困難なので、飼い切れるかどうかよく考えてから飼育してください。

ブラックアロワナとシルバー・アジアアロワナとの違いは?

ブラックアロワナとシルバーアロワナの違いは?

出典:写真AC

ブラックアロワナと他の種類のアロワナとの違いは、主に体長と体色、ヒレの形に現れます。まず、シルバーアロワナについては、ヒレにはあまり違いが見られませんが、体色はより明るい銀色をしており、アロワナの中では最大の種類なので体長も大きくなります。次に、アジアアロワナについては体長は同程度ですが、体色は品種によって赤色や青色~緑色を帯びるものなど様々です。また、背ビレが魚体のかなり後方に付いており、基底も短い違いがあります。

ブラックアロワナの飼育方法

ブラックアロワナは神経質な種類で、特に幼魚期は水質に敏感なので注意してください。ここからは、ブラックアロワナの飼育方法をご紹介します。

ブラックアロワナに適した水槽サイズとフィルター

ブラックアロワナは体長90cmほどにまで達する大型魚ですが、飼育下では体長60~70cm程度で成長が止まります。それでも、大型であることには変わりないので、水槽は120~150cmクラスのものが必要です。ただし、幼魚期にいきなり成魚用の大型水槽に入れてしまうと、餌を上手く取れずに衰弱する恐れがあるので、体長に応じて水槽サイズをアップグレードすることが一般的です。複数の水槽を用意できないのであれば、セパレーターで段階的に区切って飼育すると良いでしょう。フィルターはなるべく強力な形式が望ましく、候補としては上部式や外部式です。さらに、投げ込み式などを、補助フィルターとして導入すると良いでしょう。予算や住環境が許すのならばオーバーフロー水槽も視野に入ります。

90cm水槽でブラックアロワナは飼育できる?

ブラックアロワナを含む観賞魚は、水槽のサイズに影響を受けて最大体長が小さくなることがあります。それでも、ブラックアロワナの場合は60cm程度までには成長するので、長期に維持しようと思うと最低でも120cmクラスの水槽が必要です。水槽のリセット時など、一時的に入れておく分には90cmクラスの水槽でも問題ありませんが、同サイズの水槽での飼育はブラックアロワナに多大なストレスを与えてしまうので、できれば避けてください。

ブラックアロワナに適した水温と水質

ブラックアロワナの飼育に適した水温は25~30℃前後です。高温には比較的強いのですが、低温には弱いので冬場はヒーターを用意して加温してください。水質に関しては中性からpH6.0程度までの弱酸性での飼育が適しています。ブラックアロワナはアロワナ類の中ではデリケートで、特に幼魚期は水質に対して神経質です。そのため、水槽導入時の水合わせはしっかりと行い、適した水質を維持できるよう飼育環境には注意してください。

ブラックアロワナの底砂

ブラックアロワナは餌をたくさん必要とする熱帯魚で、その分だけ排せつ物の量も多くなるので、小まめなメンテナンスが要求されます。そのため、メンテナンス性を向上させるために、底には何も敷かないベアタンクでの管理が基本です。

ブラックアロワナの水槽レイアウト

前述したように、ブラックアロワナの飼育においては小まめなメンテナンスが欠かせません。よって、水槽レイアウトも何も入れないか、可能な限りシンプルにまとめることをおすすめします。何かアクセサリを入れるにしても、アロワナの遊泳域を確保するために、上層は空けるように配置してください。

ブラックアロワナの餌

ブラックアロワナは肉食魚なので、基本的には生餌を好みます。しかし、生餌は水を汚しやすいうえに価格が高く、長期の維持管理が難しいので、人工飼料をメインにした方が飼育が楽です。ここでは、ブラックアロワナの主な餌の種類をご紹介します。

ひかりクレスト カーニバル

ブラックアロワナの飼育において基本になる人工飼料です。肉食魚用に配合されているので、餌付け次第で食べるようになり、人工飼料を食べてくれると水質の維持がだいぶ楽になります。

クリル

クリルとはオキアミのことで、熱帯魚用の餌として冷凍されたものや、乾燥させたものが流通しています。扱いやすいのは乾燥クリルで、ブラックアロワナの食い付きも良い生餌です。

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餌魚(金魚・メダカ)

金魚やメダカも大型肉食魚の餌として流通しており、金魚は小赤という名称で販売されています。栄養価が高くて食い付きも良いのですが、高価で長期の維持は煩雑なのが難点です。

虫餌(コオロギ・ミルワーム)

虫類は自然下でもよく食べいる餌です。コオロギやミルワームの他にデュビアなども代表的で、繁殖させて自家生産している愛好家もいます。ミルワームなどは脂肪分が多いので与えすぎに注意してください。

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ブラックアロワナの拒食について

拒食の原因については主に以下の事由が考えられます。

  • 同じ餌ばかり与えた
  • 飼育環境にストレスを感じている
  • 何らかの病気にかかっている

ブラックアロワナは自然下では色々な小動物を口にしているので、同じ餌ばかりを与えていると飽きてしまって、突然食べなくなることがあります。また、基本的に人工飼料よりも生餌の方が嗜好性が高いので、よく食べるからと生餌を頻度高く与えていると、人工飼料の方だけ食べなくなる恐れがあるので注意してください。

 

それから、水質の悪化や水槽の変更などの理由で、環境にストレスを感じていると餌を食べなくなることもあります。前者の場合は水換えなどのメンテナンスが必要で、後者は新しい環境に慣れれば食べるようになるので、あまり干渉せずに見守りましょう。

 

最後に、病気にかかってしまうと食欲がなくなることがあります。様子をよく観察して健康上の問題を抱えていないか確認し、必要に応じて治療を行ってください。

ブラックアロワナの混泳相性

ブラックアロワナは魚食性を持つ大型魚なので、混泳相性は悪いです。混泳できる相手はかなり限られてくるので注意してください。

同種・近縁種との混泳相性

ブラックアロワナの混泳は難しい?

出典:写真AC

同種・近縁種とは縄張りを主張し合って喧嘩するので、幼魚期を除いて基本的に混泳はできません。縄張りが重ならないほど広い飼育環境を用意できれば混泳は可能ですが、その巨体から一般的なご家庭では現実的ではありません。また、縄張りが作れないほどの過密状態にすることでも混泳できる場合がありますが、水質の管理が余計に煩雑になるうえに、力関係などのバランスが崩れると悲惨な結果を招くのでおすすめはしません。

他種との混泳相性

ブラックアロワナとの混泳相手にはポリプテスルがおすすめ

出典:写真AC

混泳できる他種としては、ブラックアロワナに食べられないくらいの大きさで遊泳層が重ならず、ブラックアロワナを攻撃してこないものに限られます。そのような魚種としては、ポリプテルス類や中型以上のプレコなどが挙げられます。しかし、大型魚の混泳は最終的に個体同士の相性によるところが大きいので、いつでも隔離できる準備を整えてから挑戦してください。

ブラックアロワナの気をつけたい病気・事故

ブラックアロワナを飼育していく上で、覚えておきたい病気や起こりうる事故について確認しておきましょう。

飛び出し

ブラックアロワナは水から飛び出す力が強く、水槽からの飛び出しによる死亡事故が散見されます。そのため、水槽にフタは必須で、ブラックアロワナがぶつかっても外れないように、重しをするなどしてしっかりと固定しておきましょう。

目垂れ

目垂れはブラックアロワナの目が、下を向いたまま固定されてしまう病気です。原因としては諸説ありますが、底に沈んだ餌や底からの照り返し、混泳魚など下に注意が向くことで発症すると言われています。発症しても命にかかわるものではありませんが、観賞価値が低下するとされているので嫌われています。防止するためには、下に注意が向かないように4面ブラック水槽で飼育したり、上からしか照明が当たらないようにすると良いでしょう。

エロモナス病

エロモナス病はエロモナス菌に感染することで発症する病気群のことを指します。代表的なものに、鱗が逆立って松ぼっくりのようになる「松かさ病」や、眼球が飛び出してしまう「ポップアイ」、鱗が脱落する「穴あき病」があります。悪化した水質で飼育し続けると発症リスクが上昇するので、飼育環境の管理は怠らないようにしてください。発症した場合は薬浴による治療を行いますが、ブラックアロワナは薬物耐性が低いので、規定量よりも薄い濃度で様子を注視しながら行ってください。

ブラックアロワナは通販でも販売されている

ブラックアロワナは流通量が多いアロワナの種類ではありますが、過去に観賞魚として人気が出た影響で個体数を減らした経験があり、現在では輸出規制がかけられているので、店頭では見かけないこともあります。そのような時は通販を利用すると良いでしょう。ブラックアロワナはポピュラーな熱帯魚なので、熱帯魚専門店であれば取り扱っている所が多いです。

渋さが魅力のブラックアロワナ!

ブラックアロワナにはシルバーアロワナのような丈夫さや、アジアアロワナのような煌びやかさはありません。しかし、その重厚感のある色合いや、成長にともなう体色の変化などはブラックアロワナに特有の魅力と言えます。アロワナ類の中ではデリケートな種類で、飼育環境の維持管理には注意が必要ですが、飼い込むほどに良さが出てくる種類なので、ぜひ飼育に挑戦してみてください。

ブラックアロワナの飼い方