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メダカの飼育に水草は必要?

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メダカの飼育を始めるにあたって、必要なものはいくつかあります。水槽や睡蓮鉢といったメダカにとっての「家」は言うまでもありませんが、その次に重要なのが「水草」です。水草は酸素を作るという重要な役割を持っているだけでなく、水槽内を浄化するためにも必要なのです。また、水草はメダカにとって産卵床という重要な役割もあります。さらに孵化した稚魚が隠れる場所としても水草が便利です。このように、メダカが生息するためには水草は様々な面で重要となります。
メダカと相性の良い水草
メダカにとって水草は必須ですが、どんな水草でも相性がいいというわけではありません。ここでは、屋内飼育と屋外飼育に分け、それぞれ相性のいい水草を紹介します。
屋内飼育
メダカを屋内の水槽で飼育する場合、相性のいい水草は丈夫で環境に適応する能力が高いものとなります。水草によっては日光に長時間当てなければならないものや、二酸化炭素を必要とするものなど、飼育に少し手間がかかるものがあります。熱帯魚水槽の環境に適した水草や、水槽内に二酸化炭素を発生させなければならない種類の水草は適していないと言えるでしょう。
マツモ

日本全国に分布していて、世界中どこでも生息している多年生の水草で、別名を「金魚藻」といいます。日本産淡水魚と相性がよく、池や沼などに生息する沈水性の浮遊植物で、水槽環境でも育てやすいという特徴があります。
カボンバ

観賞魚飼育では古くから利用される水草のひとつです。水質への順応性が高く、酸性から弱酸性であれば15~28℃という幅広い水温で飼育できる丈夫な水草です。浮遊性ではなく、底床に根を張るタイプの水草になります。
アナカリス

別名をオオカナダモといい、観賞魚水槽に入れる水草としては定番です。南米が原産ですが、日本のあらゆる河川や池などにも自生しており、目にする機会が多いでしょう。松本同様に浮遊性で、育成が簡単という特徴があります。
アヌビアス・ナナ

アフリカ原産で、おもに熱帯魚水槽で育成されることの多い水草です。あまり日光を必要とせず、流木や石などに活着させられるのでビギナーでも育成が容易です。メダカの産卵床としても適しており、定番の水草といえます。
屋外飼育
睡蓮鉢など屋外でメダカを飼育する場合、四季のある日本の気候に順応できる水草を選ぶ必要があります。夏の強い日光にも、冬の寒さにも耐える強い水草でなければなりません。また、メダカの屋外飼育は上から鑑賞することが多いため、水面に浮かべるタイプの水草が適していると言われています。
ホテイアオイ

水面に浮かべるタイプで、日本ではなんと明治時代から観賞用として愛されてきた定番中の定番という水草です。育てやすく、水中への酸素供給やメダカの産卵床として、非常に優秀で相性抜群の水草です。
フロッグピット

睡蓮鉢やビオトープなど、屋外でメダカを飼育する場合によく使われる浮き草です。円形でスポンジ状の葉が水面に浮いている姿は、観賞用としても人気が高いです。日光をたくさん必要するので、屋外での育成に適しています。
ウィローモス

屋内の水槽飼育でよく使われる、おもに流木や石などに巻き付けて活着させるタイプの水草です。非常に丈夫なのでアクアリウム初心者でも簡単に育成でき、屋外飼育の場合でも凍結さえしなければ、ほっておいても増やすことができます。
メダカの水草水槽に必要な設備
メダカと水草を飼育するための水槽などでは、どのような設備が必要となるでしょうか。屋内・屋外飼育それぞれについて紹介します。
水槽
比較的メダカや水草は水質の悪化に強く、しかも生息できる水温が幅広いため、20cm以下の小型水槽などでも飼育できます。ただ、アクアリウム初心者には水質を維持することが困難なので、ある程度の生体数で30~60cmの水槽で飼育することをおすすめします。また屋外でのメダカ飼育については睡蓮鉢やプラケース、プラ舟などが向いています。また、見た目や耐久性に難はありますが、発泡スチロールが保温性にも優れており、飼育容器としておすすめです。
フィルター
屋内でのメダカの水草水槽には濾過用のフィルターがあったほうがよいでしょう。メダカは小さな魚ですが、非常に食欲が旺盛で、ひっきりなしに餌を求めてついばんでいます。餌をよく食べるので、フンなどで水が汚れやすいためです。ただし、メダカは水流を嫌いますので、上部フィルターや外掛け式フィルターはNGです。投げ込み式フィルターであれば、水流を発生させずに濾過できて、エアレーションの役割もするためおすすめです。なお、屋外飼育の場合は水草のみでフィルターが不要と思われがちですが、ビオトープの知識がないと水質維持が難しいため、初心者はフィルターを使用したほうがよいでしょう。
照明
屋外の水草水槽でメダカを飼育する場合は、照明器具は必要ありません。しかし屋内の水草水槽でメダカを飼育するなら照明器具は必須となります。特にガラス水槽では直射日光が当たる場所に設置すると、コケや藻が発生してしまいます。そのため直射日光を避け、代わりに照明器具を使いましょう。照明を設置することで水草の育成も可能となり、メダカの色揚げにも効果が見込めます。最近では熱が発生しないLEDライトがランニングコストも安く、おすすめです。
その他必要な道具
メダカは日本の自然環境で生息している魚です。野生下では冬になると冬眠します。屋外で飼育する場合は、低温のままで一定の環境となりますが、屋内飼育の場合は暖房などで水温が大きく変化してしまいます。そのため、水温が下がってきたらヒーターなどを入れて水温を一定にする必要があります。また水草水槽ということで考えると、種類によっては底床に植え込む必要があります。メダカ専用の黒玉土などを底床に敷くのが一般的で、ビオトープとしても優秀なのでおすすめです。
メダカ水槽への水草の導入方法

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メダカ水槽に水草を導入する場合、底床に植えるタイプなら底砂を敷いておく必要があります。深さは最低でも4~5cmほどの量が必要になります。ただし、浮遊性の水草の場合は底砂は必要ありません。また、水草の種類によってはポットに植えて育成できるものもあります。この場合も底砂は必ずしも必要というわけではありません。
次に購入する水草を選ぶわけですが、初心者なら前述したようなマツモやアナカリスといった育成が簡単な水草を選ぶとよいでしょう。購入の際に注意したいのが水草の状態です。基本的に傷みがない水草を選ぶようにしましょう。そしてメダカ水槽に水草を入れる際、必ず消毒・洗浄を忘れずに。寄生虫やスネイルをメダカ水槽に持ち込まないためです。水道水でやさしく洗ってあげるようにしてください。
メダカの水草水槽で混泳できる生体
メダカの水草水槽で混泳可能な観賞魚はどのような種類がいるでしょうか。基本的にはメダカは温和な性格なので、相性のいい他魚なら混泳は可能です。
ミナミヌマエビ・ヤマトヌマエビ

ミナミヌマエビやヤマトヌマエビといったシュリンプ類はメダカとの混泳は問題ありません。メダカの食べ残した餌を食べてくれるため、水槽内の浄化にも貢献してくれるだけでなく、コケの付きやすい水草を綺麗に保ってくれる役割も担ってくれます。
石巻貝

石巻貝は水槽のガラス面に付いたコケを食べてくれる「おそうじ屋」として有名です。メダカとの相性ですが、お互いに攻撃したりしない温和な性質で、しかも飼育可能な環境がとてもよく似ているため、混泳は可能です。
コリドラス

コリドラスは底生のため、中~上層域を泳ぐメダカとは遊泳域が重ならないため、混泳は問題なく可能です。しかも、お互いに他魚には無関心な性質なので、ケンカなどは起こりません。しかもコリドラスは底に沈んだメダカの食べ残した餌を食べてくれます。
メダカは水草を食べる?
基本的にメダカは雑食性で、なんでもついばんで食べる食欲旺盛さがあります。ただ、メダカには水草の葉を食いちぎるほどの力はありません。それにメダカの口はとても小さく、しかも上向きについているため、ここでご紹介したような水草を食べることはありません。ただ、メダカの口に入るほどの水草であれば、餌として有用性があるということになります。それが「ミジンコウキクサ」という浮き草です。ミジンコウキクサはビタミンやミネラルが豊富で、しかも天然の生き餌となるため、数日外出するときなど便利です。しかも、カロチノイドが含まれているので、メダカの色揚げにも役に立つのでおすすめの水草なのです。
メダカ飼育と人工水草について
本物の水草に似せて作られた人工水草は、最近では精巧になっており、ほとんど本物と見分けがつかないクオリティの商品も売られています。メリットは管理するのが楽だということ。本物の水草は枯れてしまったり、伸びすぎたり増えすぎたりしますが、人工水草はそんなことはありません。常に青々として、水槽の見た目が綺麗に保たれます。また、メダカの隠れ場としても有効です。
デメリットとしては、クオリティが上がったとはいえ、やはり本物の水草に比べると美しさという点で劣ってしまうということ。また、人工水草は光合成をしないため、酸素を水槽内に供給する役割がないということです。そして、メダカは水草を産卵床としますが、人工水草で繁殖させるのはなかなか難しい面があります。本物の水草のように柔らかい素材の人工水草であれば産卵しますが、種類があまりなく、比較的高価になってしまうことが多いようです。
メダカに必須の水草水槽で繁殖を目指そう!

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メダカはとても水草と相性がいい日本産淡水魚の観賞魚です。水草水槽はレイアウトの楽しみも多く、見た目にも美しくて鑑賞の楽しみを実感できます。そしてメダカは水草があれば産卵して増やすことができます。初心者にも飼育しやすいメダカと水草からアクアリウムを始めてみましょう。