イソギンチャクってどんな生物?種類や飼育方法、餌は?

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イソギンチャクってどんな生き物?

イソギンチャクってどんな生物?

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海中できれいな触手をゆらゆら揺らせる姿は咲いている草花のように見えますが、イソギンチャクはプランクトンなどを食べている無脊椎動物です。そんな綺麗なイソギンチャクを自宅の水槽で飼育するための方法をご紹介いたします。

イソギンチャクの特徴

触手に刺胞を持つイソギンチャクは、刺胞動物に分類されています。まん丸い体で、身体の中央には口があり、口の周りには触手があります。触手には刺胞があり、そこには敵やエサをしびれさせる毒を持っています。また、イソギンチャクは動かずその場でじっと生きているイメージがありますが実は歩くことができます。足盤という張り付くことのできる足を使って岩に張り付いているだけで、1時間に数cm程度ですが移動できます。

イソギンチャクの生態

イソギンチャクは岩の上で生活しています。通常、イソギンチャクの触手には毒があるため、魚が触手に触れるとその毒に侵されイソギンチャクに捕食されてしまいますが、クマノミの仲間だけはその毒に耐性があるため、イソギンチャクを住処として共生しています。しかし、多くのイソギンチャクは魚や甲殻類を食するのではなく、海中のプランクトンを食べていることが多いです。

イソギンチャクの繁殖方法

イソギンチャクも他の動物と同じく有性生殖を行います。多くのものは雌雄異体で、それぞれ精子と卵を発達させます。しかし、中には雌雄同体の種類もあります。有性生殖以外に、無性生殖を行う種類もあり、無性生殖にも方法がいくつもあります。

イソギンチャクの寿命

イソギンチャクの寿命については、まだ不明な点が多く確かなことははっきりわかっていません。ですが、イギリスで飼育されていたイソギンチャクが、70年以上生きたという記録があります。驚くほど長寿なのかもしれません。

イソギンチャクは毒を持っている!?

前述したように、イソギンチャクは触手に毒をもち、この毒を使い、獲物である小魚などを麻痺させ食します。このイソギンチャクの毒に人が間違って刺されてしまうと皮膚の痛みや腫脹、発赤が起き、発熱したりめまいを引き起こす恐れがあります。毒は刺胞と呼ばれる小さな器官により出されます。刺胞の大きさや形はイソギンチャクの種類により異なります。

マリンアクアリウムにおすすめのイソギンチャクの種類

ここで、水槽飼育におすすめのイソギンチャクをいくつかご紹介いたします。

サンゴイソギンチャク

サンゴイソギンチャクは先端が膨らむ触手を持ち、最も丈夫な部類に入る飼いやすい種類のイソギンチャクです。あとで登場するタマイタダキイソギンチャクと見た目が似ています。カラーは、蛍光グリーンや美しい赤になる個体もあります。ネット販売、アクアリウムショップで購入することができます。安価で丈夫な種類のため初心者にもおすすめできます。

イボハタゴイソギンチャク

イボハタゴイソギンチャクはハタゴイソギンチャクに見た目が似ています。このイソギンチャクは毒性が非常に強く、他の毒性の弱いイソギンチャクと接触すると弱い方は死んでしまうことがあります。また人間の皮膚にもその毒が影響しますので、移動させる際などビニール手袋を着用してください。触手は粘着性が高く、素手で触るとくっついてしまい無理やり剥がすとちぎれるので注意が必要です。飼育難易度は比較的容易で、水質や水温にも耐性のあるイソギンチャクです。パープルやグリーン、ホワイトなどさまざまな色が存在します。

タマイタダキイソギンチャク

タマイタダキイソギンチャクは丸い触手を持つイソギンチャクで、丈夫な部類に入る飼いやすいイソギンチャクです。サンゴイソギンチャクに似ています。触手の先端が乳首状の形で、、ピンク色のものをサンゴイソギンチャク、丸いものをタマイタダキイソギンチャクと区別しています。カラーバリエーションも多く、いろいろな色の個体が数多く出回っています。

シライトイソギンチャク

シライトイソギンチャクは入荷量が非常に多いポピュラーな種類のイソギンチャクです。ですが、飼育難易度はすこし高めです。長期飼育ともなると意外と難しい種類として有名です。1年未満で死んでしまうことが多くみられ、飼育に手慣れた方でもすぐに死んでしまうことがあります。ですので、初心者の方はまずサンゴイソギンチャクなどの飼育が比較的容易な種から始め、イソギンチャクの飼育に慣れてからシライトイソギンチャクの飼育に挑戦することをお勧めします。カラーバリエーションは比較的多く、ホワイト系やグリーン系、イエロー系などの美しい体色のものも存在します。

ハタゴイソギンチャク

ハタゴイソギンチャクはカクレクマノミと非常に相性がいいです。共生している姿は非常に幻想的ですが、このハタゴイソギンチャクは毒性が非常に強く、毒性の弱いイソギンチャクが接触してしまうと死んでしまうことがあります。また私たち人の皮膚にもその毒が影響してしまうことがあり、移動させる際などビニール手袋などを使用して触る必要があります。色は多彩で、紫系や緑系、茶色系などさまざまな色の個体が存在しています。

センジュイソギンチャク

センジュイソギンチャクもクマノミとの相性が良いイソギンチャクで、クマノミとの共生を見て楽しみたいのであればセンジュイソギンチャクはおすすめです。丈夫な種で、飼育環境を整えられれば初心者の方でも飼育することができます。細く長い触手がたくさん生えているイソギンチャクで、丈夫な部類に入る飼いやすい種類です。非常に人気の高いイソギンチャクです。

ロングテンタクルアネモネ

ロングテンタクルアネモネは触手が長く細いのが特徴で、触手はすこし少なめですので、触手の根元がよく見えます。あまり移動しないタイプで、移動によってほかのイソギンチャクや生物に影響を与えることが少ないです。丈夫なイソギンチャクですが、好みの水流や光が少し難しいため、すこし飼育難易度は高めです。流通量も非常に多いです。ショップを回ってお気に入りの個体を探しましょう。

イソギンチャクの飼育方法

イソギンチャクの飼育方法

撮影:FISH PARADISE!編集部

海底に咲く花のような存在のイソギンチャクは、デリケートな生き物ですのでここでしっかり飼育の基礎を押さえておきましょう。

水温・水質

海水魚と同様に23度~27度程度が目安です。気を付けなければならないのは、高水温に対する耐性がほとんど無いため、27度を超えてしまうと弱ります。いったん弱ると回復が難しいので、23度~26度で管理することをお勧めします。水質は、海水魚が少なめであれば、外部フィルターでも飼育可能ですが、硝酸塩のが蓄積しないように気をつけなければけません。2週間に1回は水換えをするようにし、水質管理に務めましょう。飼育にはプロテインスキマーが必要になります。

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水流

イソギンチャクを飼育する上で、水質の次に大切な事が水流です。自然界ではゆらゆら揺られながら生きています。水槽内でも海の中同様にゆらゆらできるように、自然界をできるだけ忠実に再現する必要があります。しかし水槽内で自然界の水流を表現することはなかなか難しいです。さらに、イソギンチャクの種類によって好む水流の強さも違います。また、直接ポンプからの水流をぶつけるのはよくありません。水槽内の海水が全体的に流れるような流れを作ることが重要です。流れはランダムにしたほうがより自然の海に近づきますので、首振り機能付きのポンプを使用することをお勧めします。

照明

イソギンチャクの飼育には青色LEDが最適です。イソギンチャクは共生する褐虫藻という生物の光合成から養分を得ています。褐虫藻の光合成には青色波長 400-500nmと赤色600-700nm程度の光が必要です。自然の海の水深5m以上では青色の光が多く届いているので、イソギンチャクの褐虫藻が光合成を行うためには、青色を発光できる青色LEDが適しているということになります。消費電力や寿命が長いのもLEDの利点です。

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定着場所

移動しやすいイソギンチャクはライブロックや底砂の上を動き回るだけではなく、ガラス面も移動することが多いです。もしもガラス水槽の前面を気に入ってしまって、イソギンチャクが張り付いてしまうと景観が台無しになってしまいます。それを防ぐためにも好みそうな場所をあらかじめ予想して準備しておくことをおすすめします。お気に入りの場所が見つかるまでイソギンチャクは移動し、さまよい続けますので、あまり大きく移動されないようにイソギンチャクの好みそうな場所付近に初めから置いてあげる工夫をしたほうが無難です。

イソギンチャクの餌

イソギンチャクには光が重要

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イソギンチャクは体に光合成をする褐虫藻をもっており、その褐虫藻が光合成で得るエネルギーを用いて生きています。ですので、適切な強さの光があれば餌は与える必要はありません。触手が縮んで戻らないなど、元気がない様子がみられたならば、栄養が足りていないことが原因の大半ですので、光を強くするなどしてみましょう。それでもまだ元気がなさそうな時はエビやアサリのむき身を細かく刻んで与えるようにすると改善がみられるかもしれません。

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健康的なイソギンチャクの見分け方は?

健康的なイソギンチャクの見分け方は?

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触手をしっかり伸ばしていて、口を開いていないものを選ぶようにお勧めします。それに加え身体が比較的硬いイソギンチャクが健康的なイソギンチャクです。反対に、触手がだらしない、口がぶよぶよして開いている、体に傷があるものは健康的でないイソギンチャクです。また、薬品や貴金属にとても敏感なので、以前に薬などを使用したことがある水槽では注意が必要です。

イソギンチャクと一緒に飼育したい海水魚

イソギンチャクにはやっぱりクマノミ!

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自然界ではクマノミ類はイソギンチャクと共生して持ちつ持たれつの関係で生きています。そのため、イソギンチャクに身を隠したり潜ったりする愛らしい姿を水槽内でも見ることができるクマノミは非常に相性が良いです。

 

しかし、クマノミ以外の海水魚はイソギンチャクに触れるとイソギンチャクの毒で死んでしまいますので混泳する魚を選ぶには注意が必要です。基本的にはヤッコ類やハギ類は混泳可能ですが、チョウチョウウオや大型のヤッコ類は毒性が強いイソギンチャクに対してもある程度慣れてくるとついばんでしまうことがあるため、混泳は避けることをおすすめします。

 

小型のヤッコやハギ類、ハゼ類は逆にイソギンチャクに食べられてしまうことがあるので注意しましょう。スカンクシュリンプやホワイトソックスなどのエビは悪い影響を与えることがないので大丈夫です。

クマノミはイソギンチャクがいないと飼えないの?

イソギンチャクが居なくても、水槽内飼育に限り飼育することが可能です。海の中では外敵がいるため、共生する必要がありますが水槽内では外敵がいないため必ずイソギンチャクが必要ということはありません。なので、初めてマリンアクアリウムを始められる方はまず、クマノミの飼育に慣れてから後でイソギンチャクを入れることも可能です。

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海底に草花のように咲いている人気の高いイソギンチャクは海水魚たちの遊び場として、また水槽を神秘的に見せる彩りとしてなくてはならない存在です。しかし、イソギンチャクはデリケートな生き物のため、初めてマリンアクアリウムをされる方には少し飼育が難しく感じるかもしれません。この記事が少しでも貴方のお役に立てれば嬉しいです。

イソギンチャクについてどこまで知ってる?