トビハゼがかわいい!飼育法や気になる生態、繁殖方法まで!




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トビハゼとは

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トビハゼは「マッドスキッパー」とも呼ばれ、トビハゼ属は国内外で15種類が確認されています。また、熱帯魚店などでは近縁種のオオトビハゼ属も、同じくトビハゼとして扱われています。

分布域・生息域

トビハゼは国内においては「トビハゼ」と「ミナミトビハゼ」が生息しており、トビハゼは千葉県から沖縄県にかけての太平洋側、ミナミトビハゼは奄美大島以南に分布しています。生息している場所は、河口付近などの汽水域にある泥が多い干潟です。

生態

魚体は側扁しており細長いです。体色は褐色や灰褐色で暗色の斑点模様が入ります。目が体の上部に突き出ており両目の間隔は狭く、干潟を見渡すのに適した形態をしています。目の付け根にはくぼみがあり、泥に潜る時などは収納できます。干潮時には干潟を飛び跳ねるように移動し、食性は多毛類や甲殻類を捕食する肉食性です。トビハゼはエラ呼吸の他に皮膚呼吸が可能なので、陸上でも長時間の活動ができます。

寿命

トビハゼの寿命は1~3年ほどです。しかし、飼育環境に左右されることは言うまでもありません。水質などに注意して上手に管理できた場合は、4年以上生きる個体もいるようです。いずれにしても、観賞魚として見ても寿命が長い方ではなく、お別れが早い点は留意してください。

トビハゼは環境省のレッドリストに載っている

日本生息しているトビハゼは、過去には地域によって食用にされるほどの個体数が居ました。しかし、近年の護岸工事などの影響で干潟が減少した結果として個体数も激減し、現在では環境省の準絶滅危惧(NT)としてレッドリストに掲載されています。これを受けて、各地方自治体もトビハゼ保護のための取り組みを行っています。

トビハゼとムツゴロウの違いは?

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両者は同じハゼ科に属する魚なのでよく似ていますが、トビハゼは最大でも体長10cm程度なのに対し、ムツゴロウは体長15~20cmほどに達します。また、ムツゴロウはトビハゼよりも背びれが長く伸長します。よって、魚体の大きさや背びれに注目すれば判別は可能です。さらに、ムツゴロウは、国内では九州の有明海と八代海にのみ生息しているので、生息域でも区別ができます。

トビハゼはなぜ陸上で生活できる?

トビハゼはなぜ陸上生活できるの?

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前述したようにトビハゼはエラ呼吸だけでなく皮膚呼吸も可能なので、陸上でも長時間に渡り活動が可能です。トビハゼは生存に必要な酸素の76%を、皮膚呼吸により得ているという報告もあります。また、通常の魚類は代謝によって生じた有害なアンモニアを、エラから放出することで蓄積を避けていますが、トビハゼは体内でアンモニアをアミノ酸に変換させる能力が備わっています。これらのことから、トビハゼは少しの汽水があれば、陸上でも生活できるのです。

トビハゼの飼育方法

トビハゼの飼育は少量の汽水で行う必要があるので、水質の管理には特に注意が必要です。

水温・水質

トビハゼの飼育に適した水温は24~26℃前後です。高温には比較的に強いですが、低温には弱いので冬はヒーターを用意して加温してください。トビハゼは完全な海水や淡水では生活できません。人工海水を20~25%の濃度に希釈した汽水を用意してください。適したpHの範囲は7.5~8.0の弱アルカリ性です。

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水槽サイズ・フィルター

水槽のサイズは最低で30cmクラスのものがあれば飼育できますが、大きければ大きいほど飼育しやすくなりますので、60cm水槽くらいまでは視野に入れておくといいでしょう。というのは、トビハゼの飼育においては水深を体長と同程度にしたうえで、陸地を作るのが通常です。そのため、一般的な観賞魚の飼育法と比べて水量が少なくなるため、水温や水質が不安定になりやすいのです。幅と奥行きが大きい水槽であれば、低い水深でも水量が確保しやすいので、幾分かは水温や水質が安定しやすくなります。

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フィルターに関してはトビハゼの場合、水の汚れは水替えで対応するので、使用しないことが一般的です。しかし、止水が生じると水質の悪化が早くなるので、水を動かす目的で投げ込み式のフィルターなどを導入することは有効です。この時、強い水流が生じるとトビハゼのストレスになるので、配置に注意してください。

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レイアウト

先に少し触れましたが、トビハゼは水中よりも陸上での生活に適応した魚なので、水深は体長と同程度にし、上陸できる場所を作ってあげてください。陸地に用いるのは表面が滑らかで、トビハゼが登りやすいものを用いてください。水に浮いてしまうものは、トビハゼが乗ると動いてしまい上手く登れないので不可です。例としては陶器や流木ですが、トビハゼは陸地を飛び跳ねたり這って移動するので、尖ったものは避けてください。

トビハゼの餌

トビハゼは肉食性なので動物質のものを好んで食べますが、肉食魚用の人工飼料も餌付けによっては食べてくれます。人工飼料を食べるようならそれを中心にアカムシやクリルなどの生餌を与えると良いでしょう。餌付かない場合は生餌を中心に与える他にありませんが、いずれの場合も同じものばかりを与えていると飽きて食べなくなる傾向にあるので、複数種類の餌を用意してください。

トビハゼの混泳

トビハゼの混泳は一般的には難しいです。なぜなら、水深が浅い汽水で飼育できる魚種がかなり限られることに加え、縄張り意識が強いからです。縄張りが重ならないほどに大きな水槽を用意できれば、同種や近縁種とは混泳ができます。しかし、他種となると浅い水深でも飼育できる小型魚は、トビハゼの捕食対象になってしまうので、一般的なサイズの水槽では非常に困難です。

トビハゼの気をつけたい病気・事故

トビハゼの飼育で気を付けたい病気は、水温上昇による溶存酸素量の低下に起因する酸欠です。トビハゼは皮膚呼吸ができるとはいえ、エラ呼吸を全くせずとも生きられるわけではありません。適した飼育環境を整えると水量が少なくなりがちなので、水温の管理に注意してください。

 

また、飼育水が蒸発して塩分濃度が上がると、トビハゼにとって不適切な環境になってしまうので、小まめに真水を継ぎ足す必要があります。さらに、トビハゼは跳躍力が高いので、水槽からの飛び出し事故も多く聞かれます。飼育の際には、水槽にしっかりとフタをすることを忘れないでください。

トビハゼの繁殖

トビハゼの繁殖

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トビハゼは繁殖方法もユニークです。ここでは日本に生息しているトビハゼの例をご紹介します。

雌雄の見分け方

トビハゼの雌雄は生殖突起と呼ばれる器官で見分けられます。オスの場合は生殖突起が細長く、メスは太く短い形状をしています。また、繁殖期になるとオスは体色が橙色の婚姻色へと変化する、産卵のための巣穴を掘る、メスの前でジャンプをして求愛する、などの特徴が現れます。メスの場合は、産卵前に腹部が膨張するなどの変化があるので、これらのことから判別が可能です。

また、「クリソスピー」や「ベトナムマッドスキッパー」などの一部のトビハゼ類は、背びれの大きさや形状が雌雄で異なるので容易に見分けられます。

繁殖環境

繁殖期になるとオスは干潟の泥地に巣穴を掘ります。口に泥を含んで何往復もして巣穴を掘り、その穴の深さは20~30cm前後に達します。巣穴の底部から上方にさらに10cmほど掘り進み、そこが産卵室となります。オスは巣穴が完成した後に、求愛行動を取りメスを巣穴に誘導。メスは巣穴に潜り、産卵室で卵を産み落とします。

産卵から稚魚の育成まで

稚魚がふ化するまではオスが卵の面倒を見ます。口に空気を含んで産卵室に新鮮な酸素を供給し続け、卵が酸欠になることを防ぎます。ふ化が近くなると、今度は逆に産卵室の空気を口に含んで、外に放出し始めます。卵が海水に浸かる刺激によってふ化が始まるためです。ふ化した稚魚は水中での浮遊生活を送り、体長1.5cmほどに成長すると干潟に上陸してきます。

 

飼育下で繁殖環境を整えることはかなりハードルが高いですが、水族館では繁殖が成功しています。トビハゼが好きなアクアリストの方も、環境を整えて繁殖にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

トビハゼはユニークな生態を持つ可愛い熱帯魚!

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トビハゼは水中よりも陸上での生活に適応したユニークな魚種です。飼育は少量の汽水で行う必要があるので、通常の熱帯魚の飼育と比較すると水質や水温の維持は難しいです。しかし、それを補って余りある魅力をトビハゼは持っており、特に陸上を飛び跳ねて移動する様子は可愛らしく、他にはない面白さがあります。一般的な熱帯魚に物足りなさを感じ始めた方は、トビハゼの飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。