水質で重要な11項目と水質悪化の対策法!魚を健康に飼育!

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水槽でチェックすべき水質の11項目

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水質に関与する化学物質はいろいろな種類があり、それとともに水質の良し悪しを測る指標も様々なものがあります。ここでは水槽での生体の飼育において、チェックすべき主な指標をご紹介します。

ペーハー(ph)

pHは水素イオン濃度を示す指標で、数値が小さいほど水素イオン濃度が高い(=酸性が強い)ことを表します。適正値は生体が野生下で暮らしていた環境により異なりますが、ほとんどの生体はpH7の中性付近を保てば問題なく飼育可能です。生体の代謝によって生じる有害物質の蓄積により酸性に傾くので、pHを測定することは水槽内の環境が適切かどうかの大きな判断材料になります。

炭酸塩硬度(KH)

KHは水中の炭酸塩の濃度を表しており、高いほどアルカリ性になりやすく、pHの低下が緩やかな水質であると言えます。適正値は淡水水槽で3~10°dH(ドイツ硬度)、海水水槽で8~10°dHとされています。KHが低すぎると水槽水の急激な酸性化を招きやすいので注意が必要です。また、KHが高い方がpHの低下を緩和できて有利だと思われるかもしれませんが、生体によっては高いKHを嫌う種類もいますので、適正値を超えていた場合は調整剤を用いて下げてください。

塩素(Cl)

水道水には浄水の工程で消毒を目的に塩素が添加されています。塩素の濃度が高すぎると生体に対して毒性を発揮し、水質の維持に不可欠である有益なバクテリアまで死滅させてしまいます。適正値は0.02mg/L未満で、この数値以上の濃度だった場合は中和剤を用いて濃度を下げてください。

総硬度(GH)

GHは水中のカルシウム塩やマグネシウム塩の濃度を表す指標で、濃度が高い水を硬水、低い水を軟水と表現します。適正値は観賞魚の場合6~16°dHで、適正範囲から外れると生体にとってストレスになるので、必要に応じて調整してください。KHとの違いですが、KHは炭酸塩を全てカルシウム塩に換算した数値で、GHはカルシウム塩やマグネシウム塩など硬度を決める物質をそのまま総計した数値です。

アンモニア(NH3/NH4)

アンモニアは排泄物や枯れた水草などから発生する毒性の強い物質で、水を目視しただけではどれだけ存在しているか分かりません。一見すると綺麗な水でもアンモニア濃度が高いと生体が死んでしまうので、定期的に測定することをおすすめします。適正値は0.5mg/L未満で、濃度が高い時は水替えやろ過装置の見直しなどの対応が必要です。

亜硝酸(NO2)

排泄物や残した餌などから発生したアンモニアは、バクテリアの働きにより亜硝酸へと変換されます。亜硝酸も毒性が強い物質なので、濃度が高いと生体が死んでしまう場合もあります。適正値は0.8mg/L以下で、この数値を超えないように飼育することが重要です。

硝酸(NO3)

硝酸は亜硝酸がバクテリアの働きにより分解されて生じる物質です。通常は硝酸塩として水槽水に存在し、これが蓄積してくるとpHが酸性に傾いていきます。また、硝酸は水槽水の富栄養化を招きコケが発生しやすくなるので、コケに悩まされている方は一度測定してみることをおすすめします。適正値は20mg/L未満で、50mg/Lを超えると生体が弱り、コケが大量に発生するなどの弊害が生じます。

リン酸(PO4)

リン酸は排泄物や食べ残した餌、水草の肥料などから発生します。リン酸の濃度が高くなると硝酸と同様に水槽水の富栄養化を招き、コケが大量に発生するなどの弊害が生じます。水中にはリン酸塩の形で存在し、リン酸塩濃度の適正値は淡水水槽で1.0mg/L以下、海水水槽で0.1mg/L以下です。適正値を超えていた場合は水替えの頻度を高くしたり、生体と水草に与える餌や肥料の見直しなどの対応が必要です。

鉄(Fe)

鉄は水草の育成において欠かせない栄養素の1つで、水草水槽においては一定の濃度が必要です。しかし、鉄の濃度が高すぎると水草を含む生体にとって毒となるので、適正濃度の範囲に収める必要があります。鉄濃度の適正値としては0.5~1.0mg/Lです。適正値より低い場合は施肥を、高い場合は水替えを行う必要があります。

酸素(O2)

言うまでもありませんが、地球上に存在する生物の大部分は酸素がなければ生存できません。水中の溶存酸素量が少ない場合、水棲生物も窒息死してしまいます。水槽の場合は過密水槽やエアレーション不足で低酸素状態になりやすいので、定期的に測定しておくと良いでしょう。適正値は4.0mg/L以上で、この数値より低い場合はエアレーションを強化する必要があります。

二酸化炭素(CO2)

CO2は主に水草水槽で重要になる指標です。水草の成長にCO2は欠かせないので、溶存CO2の量が少ない場合は添加剤などを用いて増やす必要があります。ただし、魚などと混泳させる場合は、CO2濃度が高すぎると中毒や酸欠を引き起こすので注意が必要です。適正値は5~15mg/Lで、高い場合はエアレーションを強化して水中からCO2を追い出してください。

水質のチェックには検査キットがおすすめ

検査キットは手軽に水質を調べられる製品で、調査に必要な試薬や試験管などがセットになって販売されています。検査をするにあたり科学的な知識なども求められないので、誰でも簡単に結果を得ることが可能です。ここではおすすめの検査キットをご紹介します。

テトラ テスト 6 in 1 試験紙

淡水用の水質検査試験紙です。pH・KH・GH・亜硝酸塩・硝酸塩・塩素の6つの項目を一度の試験で同時に測定できます。試験方法も簡単で試験紙を水槽水に浸けるだけです。

テトラテスト 5 in 1 マリン試験紙

海水用の水質検査試験紙です。試験紙を水槽水に浸けるだけの簡単な検査で、pH・KH・カルシウム・亜硝酸塩・硝酸塩の5つの項目を同時に素早く測定できます。

テトラ テスト 亜硝酸試薬

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飼育水の亜硝酸濃度の測定ができるキットです。試験管と試薬、比色表が同梱されており、飼育水に試薬を滴下して色の変化で濃度を測定します。

テトラ テスト 炭酸塩硬度試薬 KH

水槽水のKHを測定できる検査キットです。試薬と試験管がセットになっており、試験管に水槽水を入れ、そこに試薬を滴下するだけで簡単にKHを測定できます。

テトラ テスト 試験紙 アンモニア

アンモニア測定用の試験紙です。試験紙を水槽水に浸けると色が変化するので、比色表と見比べることですぐにアンモニア濃度を測定することが可能です。

テトラ テスト 試験紙PH

飼育水のpHを簡単かつ速やかにチェックできる試験紙です。飼育水に試験紙を浸けるだけで、すぐに結果が得られます。

水質悪化の対策方法

水質の悪化を防ぐ

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生体を飼育しているとどうしても水質は悪化していきます。ここでは水質の悪化に対する主な対処法をご紹介します。

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水換え頻度を増やす

水質の悪化対策に最も効果的なのが水替えです。ビオトープなどの特殊な状況を除けば水槽という限られた状況では、どんなにろ過を効かせても有害物質の蓄積は免れません。よって水槽の水を交換する作業は必ず必要になり、水替えの頻度を増やすことは場合によってはろ過機能を改善するよりも水質維持に効果的です。手間と労力さえ惜しまなければ最も効果的で確実な方法と言えるでしょう。

ろ過機能を改善する

導入しているフィルターを見直し、ろ過機能を強化することも有効です。フィルターにも種類があり、それぞれろ過能力も異なります。そのため、フィルターにも生体によって向き不向きがあるので、水を汚しやすい生体の飼育には強力なフィルターを導入しましょう。また、ディスカスなど特に水を汚しやすい生体の飼育には、複数のフィルターを併用することも一般的です。

プロテインスキマーを導入する

海水水槽の場合はプロテインスキマーを導入することも効果的です。プロテインスキマーは、海水と空気を効率よく接触させることで、微細な気泡を発生させます。泡には有機物を吸着する性質があるので、分解されて有害物質が生じる前に除去することが可能です。ちなみに、淡水では上手く発泡しないので、淡水水槽に導入しても十分な効果は得られません。

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2024年1月6日

 

水槽立ち上げの際の水質安定化のコツ

水質安定化のコツ

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新規に立ち上げた水槽内の水質は、「生物ろ過」を行うバクテリアの数が不足しているので、不安定になりやすいです。生物ろ過を行うバクテリアは、水槽内に発生する有害物質を養分としており、代謝の結果としてより無害な物質へと変換してくれます。つまり、水質の安定化のためには水量に対して十分な数の、生物ろ過を行ってくれるバクテリアが必要なのです。

 

以上のことから、新規立ち上げ水槽の水質安定化のコツとしては次のことが挙げられます。まずは既に立ち上がっている水槽から、ろ材や飼育水の一部を持ってくることです。水質が安定している水槽のろ材や飼育水などにはバクテリアが定着しているので、持ってくることができれば速やかに水質を安定させることができます。

 

ろ材などを他から導入できない場合は、本命を飼育する前に安価で丈夫な魚種を飼育して、バクテリアの増殖を待つと良いでしょう。このような飼育のされ方をする魚をパイロットフィッシュと言い、新規立ち上げ水槽における水質安定化の基本的なテクニックとして知られています。

検査キットで水質をチェックし、生体にとって最適な環境を維持しましょう!

水質はとても大事

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水槽で飼育される生体にとっては水槽内の環境が全てです。私たち人間が汚染された空気の下では深刻な健康被害を被るように、水棲生物にとって水質の悪化は命を左右するほどの重大な要素になります。現在ではだれでも手軽に水質をチェックできる便利な検査キットも多数が市販されているので、定期的に水質をチェックして生体にとって最適な環境を維持してあげてください。