フレームエンゼルの飼育法(餌・混泳・病気など)!燃えるような赤が目を惹くヤッコ!

フレームエンゼルってどんな魚?

フレームエンゼルの特徴

フレームエンゼルはヤッコの1種で、マリンアクアリウムにおいて古くから親しまれてきた魚です。まずは、フレームエンゼルの特徴や生態についてご紹介します。

フレームエンゼルの特徴

マリンアクアリウムや水族館などでは定番の魚で、観賞用の海水魚を取り扱うショップでも普通に取り扱われている種類です。最大で10cmほどに達するヤッコの1種で、赤色を基調とした体色に黒色の横縞模様が入る姿が印象的です。

 

強く側扁した魚体を持ち、背ビレの基底は長く頭部の後方から尾柄部にかけて伸びます。名前の「フレーム」は炎を意味する英語単語の「Flame」から来ており、本種の鮮やかな赤色の体色が意識されたネーミングになっています。

 

体色や模様の入り方は個体差が大きく、産地によっても傾向があり、コレクション性が高いことも本種の魅力です。そのコレクション性から値段は体色や模様で変化し、 赤色が濃く鮮やかな個体や模様が不規則に入るものなどは人気が高く、より高値で取引されています。

フレームエンゼルの生態

熱帯地域の水深60m程度までの比較的浅いサンゴ礁帯に生息しており、警戒心が強くサンゴの間や岩陰などに身を潜めていることが多いです。食性は植物食性が強い雑食性で、藻類や海綿類、小型甲殻類などを捕食しています。

 

繁殖の際は本種も他のヤッコ類と同様に、 ノズリングを行うことが知られています。ノズリングとは、繁殖期を迎えたオスがメスの腹部を下から上につつく求愛行動で、水槽によく慣れたオスとメスが居れば、水槽内でもその様子を観察可能です。

 

また、本種は1匹のオスに対して、複数のメスで構成される群れ「ハーレム」を形成します。水槽でも再現可能ですが本種の混泳は難しいため、挑戦するのであればより大きな水槽が必要になります。

フレームエンゼルの分布

フレームエンゼルの分布域は、太平洋の西部から中部にかけてです。具体的には、国内では沖縄県や小笠原諸島など、国外では台湾・オーストラリア北部・ミクロネシア連邦・ハワイなど、太平洋の暖かい場所で幅広く確認されています。

 

国内で流通しているものは、中部太平洋に位置するマーシャル諸島共和国やインドネシア・ジャワ島南部に位置するクリスマス島で採集された個体が多いです。

 

以前はハワイ産のものも体の赤色が強く重宝されていましたが、現在ハワイでは観賞魚の商用採捕が禁止されているので、入手できなくなってしまいました。

フレームエンゼルの価格

フレームエンゼルの価格は個体差が大きく、前述のように体色と模様で変化します。まず、体色に関しては赤みが強い方が人気が高く、特にクリスマス島産のものは赤色が鮮やかに出る傾向があり価格は高価になりがちです。

 

逆に、マーシャル諸島産のものは黄色を帯び、朱色と呼べる色合いをしている個体が多いため安価で取引される傾向にあります。次に、模様に関しては、規則的なものより不規則に入るものの方が希少性が高いため人気で、価格も高くなります。

 

具体的な値段としては、安価なものでも5000円前後、 高価なものだと1~2万円ほどで販売されています。

フレームエンゼルの寿命

フレームエンゼルの寿命は5年前後になることが多いようです。このような表現になるのは、流通しているものはワイルド個体であるのが普通なので、採集された時点での正確な年齢は分からないためです。

 

とはいえ、飼育環境に左右されることは間違いなく、上手に飼育できた場合は 8年以上生きた例も報告されているので、長く付き合うことが可能です。

フレームエンゼルの飼育方法

フレームエンゼルの飼育方法

 

フレームエンゼルは環境への適応力がそれほど高くないので、水環境を適切に維持することが大切です。ここでは、フレームエンゼルの飼育方法をご紹介します。

水温・水質

適した水温は熱帯性海水魚として一般的な 25℃前後です。そのため、海水魚の飼育では普通ですがクーラーとヒーターは必須で、必ず水槽サイズに対応したものを用意してください。水質は人工海水の素を使って、規定の濃度で海水を作成すれば問題ありません。

 

その際は、必ず比重計を用いて濃度が適切かどうかチェックしておきましょう。塩分が高すぎても低すぎても、フレームエンゼルは調子を崩してしまいます。また、マリンアクアリウムでは真水の蒸発による塩類濃度の上昇を防ぐために、適宜に 「足し水」を行ってください。

 

特に、夏場は真水の蒸発が早いので注意が必要です。足し水のタイミングをいち早く察知するには、セッティングした際の水位に印をつけておく方法がおすすめです。そうしておけば、いちいち比重計で飼育水を調べなくても、真水の蒸発による塩分の濃縮に気づくことが可能です。

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水槽サイズ・フィルター

フレームエンゼルは最大でも体長10cm程度と小型ですが、海水水槽は淡水水槽よりも水質の維持が難しいので、 最低でも45cmクラスの水槽での飼育をおすすめします。また、このサイズは単独飼育の場合で、他の生体と混泳させたい時は、さらに大きな水槽で飼育した方が安全です。

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フィルターはなるべくろ過能力が高い種類が望ましく、候補としては上部式フィルターや外部式フィルターが挙げられます。

 

上部式フィルターは、メンテナンスがしやすく安価でろ過バクテリアに酸素を供給しやすい反面、水槽上部を圧迫するうえに、外部式フィルターと比較するとろ材の運用能力が低い特徴があります。

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外部式フィルターは、水槽周辺を圧迫せず、ろ材の運用能力に優れる一方で、メンテナンスがし辛くやや高価でバクテリアへの酸素供給に難があります。どちらも一長一短があるので、ご自身のスタイルに合った方を選択してください。

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予算や設置スペースに余裕があるのならば、 オーバーフロー水槽の導入が理想的です。

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プロテインスキマー・殺菌灯

これらは必須ではありませんが、 フレームエンゼルは病気に弱い面もあるため、導入した方がより安全と言えます。プロテインスキマーは、硝酸塩の発生原因となる有機物を除去するためのろ過装置で、導入すれば水質維持に大いに貢献してくれます。

 

水質の悪化は、そのままフレームエンゼルの病気につながるため、なるべく水を綺麗に維持することは重要です。本種を単独飼育する場合は簡易的なものでも良いのですが、サンゴなどと混泳させたい時はしっかりしたものの導入を推奨します。

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殺菌灯は、紫外線を当てて飼育水中の病原菌を殺菌する機材です。加えて、コケの胞子を不活性化する効果もあるので、コケの抑止効果も期待できます。殺菌灯も併せて導入しておけば、より安全な水環境での飼育が可能です。

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レイアウト

フレームエンゼルはサンゴ礁帯に生息する底魚なので、底砂は入れてあげましょう。また、ライブロックの周辺に縄張りを形成する性質があるためそれも必要です。単独飼育の場合はシンプルな構成でも構いませんが、本種は警戒心が強く臆病な性格をしているので、身を隠せる場所は用意してください。

 

また、本種は縄張り意識が強いので混泳させたい時は、いくつかのライブロックを組み合わせて、隠れ家となる場所を多めに作ってあげると良いでしょう。その際、ライブロックの間隔を意識して、縄張りとなるであろう場所が重ならないようにするとより良いでしょう。

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フレームエンゼルは人工飼料だけでも飼育可能です。ただし、人工飼料に慣れていないと食べない場合もあるので、購入前にショップではどのような餌でキープしていたのか確認しておくと良いでしょう。

 

本種は自然環境下では藻類もよく口にする魚種なので、 植物質が強化配合されているものがおすすめです。それをメインに、たまに冷凍イサザアミのような生餌を与えると喜んで食べてくれますし、栄養バランス的にも健康的な成育が望めます。

 

与え方は1日に2~3回に分けて、それぞれ食べきれるだけの分量を与えてください。飼育水が汚れる原因の多くは餌から出た有機物にあり、特に生餌は水を汚しやすいため食べ残しには注意が必要です。分量に注意していても食べ残しが出てしまった時は、直ぐに水槽内から取り除いておくと良いでしょう。

フレームエンゼルの混泳相性

たびたび言及していますが、本種は縄張り意識が強い魚種なので混泳相性は良くないです。ここでは、フレームエンゼルの混泳についてご紹介します。

同種・近縁種との混泳相性

フレームエンゼルの混泳

 

フレームエンゼルは、同種・近縁種とも縄張り争いが発生するため、混泳相性は悪いです。それでも混泳させたい場合は、大きい水槽で縄張りになるライブロックや隠れ家を十分な数用意し、それらの間隔を空けて配置すると良いでしょう。

 

同種の場合は先の措置をしたうえで、オスとメスのペアなら混泳が成功する例が多いです。それでも、個体同士の相性に依存する部分が大きいので、挑戦する場合はいつでも隔離できる準備は怠らないでください。

他種との混泳相性

フレームエンゼルは気が強い?

 

他種に対しては無関心なことが多いため、同種や近縁種と比較すると混泳が成立しやすいです。ただし、気性の荒さは個体差が大きく、縄張りに接近する魚を攻撃する個体も居るので、やはり混泳させたい時は大きな水槽を用意した方が安全です。

 

また、サイズ差があるとフレームエンゼルの方が攻撃されるケースもあるため、タンクメイト候補は同じくらいのサイズの魚に限られます。混泳が成立しやすい他種の例としては、 クマノミやスズメダイ、ハゼ類などが挙げられます。

サンゴとの混泳相性

フレームエンゼルとサンゴとの相性

 

フレームエンゼルはあまりサンゴをつつかないと言われており、サンゴとの相性はヤッコ類の中では良好です。ただし、これについても個体差があり、中には積極的にサンゴをつつきに行く個体も居るので注意してください。

 

特に、スコリミアやオオバナサンゴ、コハナガタサンゴなどのLPSは食害を受ける傾向が強いです。また、餌が不足することでもサンゴの食害を誘発してしまうので、日常のお世話を欠かさないとともによく観察することが重要です。

フレームエンゼルの気をつけたい病気と治療法

フレームエンゼルの代表的な病気

 

ヤッコ類は病気に弱い傾向にありますが、本種もその例に漏れません。ここでは、フレームエンゼルの飼育において気を付ける病気とその治療法についてご紹介します。

白点病

白点病は海水魚においてもメジャーな病気で、フレームエンゼルの飼育において最も注意すべき病気の1つでもあります。淡水魚にも同名の病気がありますが病原体は異なり、海水魚の方は「クリプトカリオン・イリタンス」と呼ばれる繊毛虫が原因です。

 

淡水魚の病気と区別するために「クリプトカリオン症」と呼ぶこともあります。発症すると、魚の全身に白色の斑点が現れ、体を擦り付けるようにして泳いだり、衰弱するなどの症状が現れやがて死に至ります。

 

治療法はいくつかあるのですが、安全な方法としては病魚を隔離したうえでの換水が挙げられます。本病原体もシスト期を持ちその間は魚から離れるため、換水を繰り返すことで物理的に病原体を減少させて治癒を図る方法です。

 

薬剤を使用するよりも安全かつ確実に病原体を除去可能で、実際に換水だけで治癒したという報告もたくさんあります。

トリコジナ病

トリコディナ病とも呼ばれており、繊毛中の1種の「トリコディナ」に寄生されることで発症する病気です。トリコディナは海水中に普遍的に存在しており、フレームエンゼルの免疫力が正常なら発症しません。しかし、海水が汚れていたり、それに伴い魚の免疫力が低下すると発病のリスクが上昇します。

 

症状としては、体表に白濁した粘液が出現し、体全体を覆うようになってしまいます。病状が進行すると、エラを塞いで呼吸困難に陥ったり、鱗がはがれるなどして死に至るため早期の治療が重要です。

 

 

本病気の治療法としては 淡水浴がよく採られます。これは海水魚を淡水に短時間浸けることで、海水と淡水の浸透圧差を利用して病原体だけを殺虫・殺菌する手法です。もちろん、時間を間違えると魚まで死んでしまうので注意してください。

 

具体的な手順としては、まず淡水浴用の容器を用意し、そこにカルキ抜きをして飼育水と水温を合わせた真水を入れます。その容器に病魚を入れ、2分ほど真水に浸けたのち、患部を軽く擦って粘液を取り除きます。

 

そうしたら、淡水浴用容器に戻し、再び2分程度の淡水浴を行ってください。最後に、容器に海水を徐々に入れて、水合わせをしたのちに飼育水槽に戻します。これを1日に1回、病状が回復するまで繰り返してください。 淡水浴は他の病気に対しても有効なので覚えておくと良いでしょう。

炎のような赤色が印象的!小型ヤッコの人気者フレームエンゼル!

フレームエンゼルは綺麗

 

フレームエンゼルはヤッコの1種で、燃えるような赤色が印象的な魚です。その鑑賞性の高さから、水族館やマリンアクアリウムにおいては古くから親しまれてきました。個体によって体色と模様に差があり、コレクション性が高い点も魅力的です。

 

ただ、ヤッコの仲間だけあって気性が荒く混泳に注意が必要であったり、病気に弱い面もあるため飼育は簡単とは言い難いです。それでも、本種が居る水槽の見応えは抜群なので、クマノミなどの飼育を経てステップアップをお考えの方は、フレームエンゼルの飼育を検討されてはいかがでしょうか。


フレームエンゼルの代表的な病気