ハリセンボンの針って実際何本?釣りや飼育、料理など徹底解説!

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分類 フグ目ハリセンボン科ハリセンボン属
和名 ハリセンボン
学名 Diodon holocanthus
分布 世界中の熱帯・温帯域。国内では津軽海峡〜琉球列島の各地沿岸。
特徴 典型的なフグ体型で、体中に鱗が変化した細長い棘を備える。上下の顎にはくちばし状の歯がある。

ハリセンボンの特徴

ハリセンボンってどんな魚?

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ハリセンボンと言えば、威嚇する際に全身の棘を逆立てた姿が印象的かつ有名です。まずは、ハリセンボンの形態的な特徴や生態などをご紹介します。

ハリセンボンの名前の由来・学名・英名

ハリセンボンは漢字では「針千本」と表記し、由来は読んで字のごとく、体に多くの棘を持つことから来ています。学名は「Diodon holocanthus」、英名は「Porcupinefish」で、英名のPorcupineはげっ歯類のヤマアラシを意味する言葉なので、やはり全身の棘が強く意識された命名になっています。

ハリセンボンの針の数って実際は何本?

さて、体に多数の針を持つことからハリセンボンと命名されていますが、実際に同種は体に千本もの針があるのでしょうか。その答えはNoです。実際に数えたところ、同種が保有する針の数は約370~400本であることが分かっています。千本は言い過ぎですが、それでも十分に驚異的な数であると言えるでしょう。

ハリセンボンには毒がある?

ハリセンボンはフグ目に属するフグの仲間です。フグと言えば「テトロドトキシン」に代表される、いわゆるフグ毒が有名ですが、本種は筋肉をはじめ皮や精巣などに毒を保有していません。そのため、沖縄県などでは普通に食用として利用されています。

ハリセンボンの形態的特徴

魚体は縦扁も側扁もしない、丸みを帯びたフグに典型的な形をしています。口吻は突き出し、口には融合して1つになった歯が上下に1つずつ生えており、腹ビレはありません。体表には沢山の棘がありますが、これは鱗が変化したもので、危険を察知すると他のフグ類と同様に水や空気を吸い込んで体を膨らませ、その際に棘が立つ仕組みになっています。

ハリセンボンが魔除けに使われる!?

西日本の一部地域では、ハリセンボンを魔除けとして使用する風習が残っています。魔除けになると考えられた理由は、やはりその独特な姿でしょう。棘に覆われた異質な姿が、悪いものを寄せ付けない力を持つと信じられ、フグ提灯に加工して玄関先などに飾ります。現在でも縁起物として扱われており、土産物店などで入手が可能です。

ハリセンボンの分類(類似種との見分け方)

ハリセンボンはハリセンボン科に分類されていますが、同科には近縁種がいくつか存在しています。ここでは、ハリセンボンと類似種の見分け方についてご紹介します。

ハリセンボンとヒトヅラハリセンボンの見分け方

両者の見分けのポイントとしては、大きさと模様、棘の長さが挙げられます。まず、大きさですがハリセンボンは体長40~50cmほどなのに対し、ヒトヅラハリセンボンは体長50~60cm程度にまで大きくなります。次に、模様に関しては斑模様が入る点は共通ですが、後者は白色や淡黄色で縁取られる特徴があります。最後に、棘の長さは前者の方が長く、後者は短いです。

ハリセンボンとネズミフグの見分け方

ネズミフグとの見分けのポイントは大きさと模様です。ネズミフグは体長70cmを超える個体も居る、ハリセンボンの仲間では最大の種類です。また、模様についてはハリセンボンの場合、ヒレにまで斑点が入る個体は希ですが、ネズミフグは各ヒレにしっかりと斑点模様が入ります。

ハリセンボンとイシガキフグとの見分け方

イシガキフグとの見分けは体形と模様、棘の状態がポイントです。イシガキフグはハリセンボンと比較すると細長く、痩せている印象を受けます。また、模様は斑状ではなくバンド状に入り、各ヒレには斑点が見られます。さらに、イシガキフグは体表の棘を動かせないので、体を膨らませてもイガグリのようにはなりません。

ハリセンボンの生息域・分布

ハリセンボンの分布域は、国内においては青森県以南の全国です。本種は世界中の暖かい海で見られ、おおよそ北緯37度から南緯39度の範囲で分布が確認されています。通常では、水深40mほどの浅いサンゴ礁帯や岩礁帯を好んで生息していますが、希に水深100~200mの範囲でも見られます。

ハリセンボンの生態

ハリセンボンの生態は?

撮影:FISH PARADISE!編集部

幼魚期は群れを作ることもありますが、成魚は単独で生活していることが普通で、自然下での寿命は3~5年程度です。泳ぎはあまり得意ではなく、潮に流された結果、寒流に会って凍死したり、海が荒れた際は波打ち際に打ち上げられてしまう個体も居ます。産卵については詳細が分かっていませんが、日本近海の個体は南西諸島や台湾の付近で分離浮性卵を産み、孵化した稚魚は黒潮や対馬海流に乗って日本列島沿岸に到達します。

ハリセンボンの食性

食性は動物食性で、主として貝類やウニ、甲殻類を捕食し、大きな成魚は小魚も食べます。ハリセンボンは口が小さいのですが、その丈夫な歯で貝殻や甲殻類の外殻も噛み砕いてしまいます。それだけのパワーがあるため、当然ながら人が噛まれると危険なので、取り扱いには注意が必要です。

ハリセンボンの釣り方

ハリセンボンは水温が高い時期になると、海面近くを回遊していることが多いので、サイトフィッシングで狙います。釣法はミャク釣りが基本で、タックルとしては次の通りです。

 

まず、ロッドは2m程度までの短竿が使いやすく、種類は万能竿やルアー竿で問題ありません。次に、リールは小型のスピニングリールで十分で、ラインはナイロンの1~2号に相当する物を用います。仕掛けはシンプルで、ラインの先端にガン玉3Bほどの重りを付けて、ハリスを小型サルカンで接続するだけです。餌はアオイソメやオキアミが一般的です。

 

釣り方としては、ハリセンボンの姿を確認したら、その眼前に餌を落として食い付くのを待ちます。食い込んだら速やかにアタリを入れましょう。

ハリセンボンの飼育方法

ハリセンボンの飼育法とは?

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ハリセンボンは人馴れすることもあり、マリンアクアリウムで飼育されることもあります。ここでは、ハリセンボンの飼育方法をご紹介します。

水槽・フィルター

ハリセンボンは40cm程度にまで成長しますが、飼育下ではそこまで大きくなることは通常ありません。そのため、水槽のサイズは60~90cmクラスあれば飼育可能です。フィルターは食性や食べ方のせいで水を汚しやすいので、少なくとも上部式クラスの能力は要求されます。予算や場所が許すなら、オーバーフロー水槽の導入が理想的です。

水質・水温

ハリセンボンは暖かい海を好むため、水温は海水魚飼育としてはやや高めの25℃前後で保ってください。水質に関しては、本種は海水魚なので言うまでもなく飼育には海水が必要です。人工海水の素を用意し、塩分が既定の濃度になるように真水に溶かして作成してください。

本種は基本的には動物食性なので、餌も生餌を好みます。具体的には魚やイカの切り身、エビ、貝のむき身などが挙げられ、餌付け次第では人工飼料も食べるようになります。人工飼料は動物食性が強い海水魚用の物が適しており、これを食べてくれると維持管理が容易になるため、餌付けは行っておきましょう。

レイアウト

本種は餌を噛み千切って散らかすようにして食べるので、メンテナンス性を考慮したレイアウトにすることをおすすめします。底砂は水質維持のためにサンゴ砂を薄く敷いて、レイアウト用品も掃除がしやすいようシンプルにまとめた方が良いでしょう。

混泳

ハリセンボンは動物食性であるため単独飼育が基本です。ウニや貝、甲殻類などは好物なので食べてしまいます。魚についても不向きで、気が強い面を持っているため、自分より小さい個体は食べてしまいますし、同じくらいのサイズ感でも攻撃を仕掛けることが多いです。全く不可能とまでは言いませんが、より大きな水槽を用意するなどの工夫が不可欠になります。

ハリセンボンって食べられる?おすすめ料理方法は?

ハリセンボンって食べられる?

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ハリセンボンは無毒で食味も良いので、地域によっては普通に食用として利用されています。ここでは、ハリセンボンを使った料理についてご紹介します。

ハリセンボンは沖縄では馴染み深い食用魚

ハリセンボンは暖かい海を好むので、沖縄県の周辺では普通に漁獲が可能です。そのため、昔から食用として利用されており、現在でも一般的な家庭料理の食材として定着しています。沖縄県では本種のことを「アバサー」と呼び、これを具材にした味噌汁である「アバサー汁」は伝統的かつ定番の料理です。

ハリセンボンの味

ハリセンボンを食べる時は棘が付いた皮を剥ぐのですが、そうすると存外、利用できる身の部分は少なくなってしまいます。その身は淡白な白身で甘味があり、火を通すと締まって鶏肉のような歯ごたえになります。肝は風味豊かで味わい深いため、捨てずに利用するのが普通です。また、アラからは良い出汁が取れます。

鮮度の良いハリセンボンの選び方

沖縄県ではハリセンボンが普通に魚屋などで売られています。鮮度が良いものの特徴としては、体表の粘液が透明で粘り気がない、模様が明瞭、目が澄んでいて濁っていない、などが挙げられます。本種は棘があるため捌き辛いですが、下処理が完了した状態でも販売されているので、それを購入すると手軽に利用できます。

ハリセンボンにつく寄生虫

ハリセンボンに付く寄生虫はいくつか知られていますが、特に有名なのが「フグノエ」と呼ばれる種類です。この寄生虫は「ウオノエ科」に属する1種で、近縁種にダンゴムシやダイオウグソクムシなどがおり、フグノエもそのような姿をしています。口内に寄生していることが多く、体長は2cmほどに達するので発見は容易です。ちなみに、人間に対しては無毒どころか食べることも可能で、エビのような味がするそうです。

ハリセンボンのおすすめ料理

ハリセンボンの唐揚げ

皮を剥いだハリセンボンの身に、塩・コショウなどで下味を付け、小麦粉または片栗粉をまぶして油で揚げます。弾力のある身と衣の歯ごたえの対比が面白く、身の甘味と衣の香ばしさがマッチして美味です。

アバサー汁

前述したハリセンボンの味噌汁です。皮を剥いだハリセンボンをブツ切りにし、水から煮出して味噌を溶きます。お好みで肝を溶かし入れると、また違った味わいが楽しめます。身は少ないのですが、アラからは非常に良い出汁が取れるので美味です。

ハリセンボンのフグ提灯を作ってみよう

ハリセンボンのフグ提灯を作ってみよう

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作業の前に、加工するハリセンボンは塩でよく洗い、粘液や臭いを落としておきましょう。提灯を作るには、なるべく皮を傷つけないようにして剥ぐ必要があります。その方法は主に2通りあり、口の周りに切れ込みを入れ、そこを起点に皮を脱がせるように剥いでいく方法と、肛門から腹にかけて切れ込みを入れて剥ぐ手法が挙げられます。皮を剥いだら、その中におがくずなどを入れて形を整えつつ膨らませ、完全に乾燥させます。口から切った場合は、乾燥させた後に接着剤で口を付けておきましょう。

膨らんだ姿はまるでイガグリ!意外にも美味しいハリセンボン!

ハリセンボンはその名が示す通り、全身が多数の棘に覆われたフグの仲間です。膨らんでイガグリのようになった姿が有名ですが、これは危険を察知した時の行動で、普段から膨らんでいるわけではありません。無毒なので地域によっては一般的な食材になっており、沖縄県では本種の味噌汁であるアバサー汁が代表的な家庭料理として親しまれています。飼育も可能で膨らんだ姿も見られますが、膨らむということはストレスを感じているので、その行動をとらない環境を整えてあげてください。

ハリセンボンってどんな魚?