イシダイ(石鯛)の生態や美味しい食べ方!別名サンバソウの由来とは?

アイキャッチ画像撮影:写真AC

分類 スズキ目イシダイ科イシダイ属
和名 イシダイ
学名  Oplegnathus fasciatus
分布 北海道〜九州の各地沿岸、琉球列島。
特徴 体に7本の縞模様があり、成長とともに薄くなる。口はくちばし状で、硬い甲殻類や貝類を砕いて食べる。

イシダイの生態

イシダイは全国的に見られる沿岸性魚類ですが、暖かい海を好むので日本海側には少ないです。浅い岩礁帯に生息し、主に海底付近で生活している根魚です。食性は動物食性で、甲殻類や多毛類に加えて、貝類やウニなども硬い歯でかみ砕いて捕食します。産卵期は4~7月頃で、直径1mmほどの分離浮性卵を生みます。ふ化した稚魚は流れ藻などとともに表層を遊泳し、プランクトンや小型甲殻類を捕食して成長。体長8~10cm程度に成長すると底生生活へと移行します。

イシダイは好奇心旺盛で頭の良い魚!

若魚期は特に好奇心が強く、ダイバーなど普段は見かけないものを見付けると、寄ってきてつついたりする習性が知られています。また、学習能力が高く人馴れすることから、水族館などでは旗引きや輪くぐりなどの芸を教え込み、ショーを行っていることもあります。これは、条件反射を利用したもので、本種は特に学習能力が高いため主役を務めることも多いです。

イシダイの釣り方

イシダイの釣り方

出典:写真AC

イシダイは「磯の王者」と呼ばれる人気の釣魚です。釣法は投げ釣りが基本で、タックルに関しては次の通りです。ロッドは5mほどのイシダイ竿を、リールは大型の両軸受けリールを使用。ラインにはナイロンの18~22号または、PEの12~15号を用います。

 

仕掛けは、根がかりを意識した「捨てオモリ仕掛け」が一般的です。これは、オモリをあえて細い糸で結ぶことで引っかかったときに切れやすくし、仕掛け全体の喪失を防ぐものです。オモリを接続する糸以外は、イシダイの強靭な歯に対抗できるようにワイヤーを使用し、三又コークスクリューでハリスと接続する形式がよく使われています。

 

餌は、サザエ・トコブシ・ヤドカリ・カニなど、貝類や甲殻類によく食い付きます。

イシダイの飼育法

イシダイは大型の海水魚なので飼育難易度は高いです。飼育下では野生個体ほど大きくなることは希ですが、それでも推奨される水槽サイズは90cmクラス以上です。フィルターについては、上部式や外部式など強力な形式が必須で、オーバーフロー水槽を導入できれば理想的です。飼育にあたっては当然ながら海水が必要なので、人工海水の素と塩分濃度の確認のために比重計も用意してください。

 

適した水温は20~25℃程度で、高すぎても低すぎても調子を崩してしまいます。そのため、クーラーやヒーターを用いて保温するか、エアコンで室温ごと管理するなどの措置が必要です。餌に関しては、本種の場合は餌付け次第で、動物食性が強い海水魚用の人工飼料であれば食べるようになります。人工飼料をメインに、たまにエビなどの生餌も与えると良いでしょう。

イシダイの旬はいつ?

イシダイの旬は、冬季から産卵期前の初夏にかけてと言われています。ただ、年間を通して漁獲があり、小型のものや産卵しないオスは味の変化が少ないです。1尾丸ごと購入する際は、エラにしっかりとした赤味が残っていて、体に張りがありつつ、ふっくらとしているものを選ぶと良いでしょう。エラが退色して白っぽくなっていたり、魚体に張りがなくなっているものは、鮮度の低下が懸念されます。

イシダイのおすすめ料理(レシピ)

イシダイの美味しい食べ方は?

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イシダイの食味は良いのですが、まとまった漁獲は少ないので高級魚として扱われています。ここでは、イシダイのおすすめ料理をご紹介します。

刺身

冬に獲れたものは、特に脂が乗っているので刺身が美味しいです。捌く時は、腹ビレの付け根あたりから包丁を入れ、内臓を傷付けないよう気を付けながら頭の方まで切り背骨を切断。反対側も頭から腹ビレの切れ込みまで切っていき、その後に腹から肛門まで切り開くと、頭部と内臓を奇麗に切除できます。

 

イシダイの身は白身ながらも脂が豊富で、タイ科に特有の風味と旨味が強く感じられて美味です。本種は鮮度が低下すると、磯臭さが鼻につくようになるので注意してください。

塩焼き

小型のものは飾り切りを入れて1尾丸ごと焼いても良いですが、大物は切り身にしてから焼いた方が火の通りを均一にしやすいです。他の魚と同じ要領で鱗や内臓、ヌメリなどをしっかりと除去し、塩を振ってしばらく寝かせてから焼きます。イシダイは焼くと身が締まって鶏肉のような食感になりますが、風味と旨味が豊富でしっかりとした歯ごたえとともに楽しめます。

 

鮮度が良すぎると、焼いた際に硬くなりすぎたり、身が反ってしまうことがあるので、焼き物にしたい場合、しばらく寝かせて熟成させると良いでしょう。

煮付け

煮付けにする際は頭部はそのままで、鱗と内臓に加えてヌメリをしっかりと除去します。本種は皮が丈夫で味が馴染みにくいため、飾り包丁を入れておきましょう。後は、酒・醤油・みりんを基本にお好みで砂糖を加えた煮汁を作り、そこにイシダイの身としょうがを入れ、落し蓋をして火にかけます。

 

煮た場合は身があまり締まらず、ふっくらとした身の旨味を甘辛い味付けが引き立ててくれて美味です。しょうがを効かせることで磯臭さが消えるので、多少鮮度が低下したものでも美味しく食べられます。

イシダイの別名について

イシダイは成長とともに模様が変化することから、その特徴に由来する別名をいくつか持っています。ここでは、イシダイの代表的な別名とその由来についてご紹介します。

クチグロ

これはイシダイの老成魚に付けられた名前です。本種は成長とともに、体に入る縞模様が不鮮明になり、体色も全体的にいぶし銀のような色合いになる特徴があります。そのうえで、口先だけが黒色に染まるので、「クチグロ」と呼ばれるようになりました。ちなみに、クチグロはほぼ全てがオスで、メスは老成すると縞模様が不鮮明になる特徴は共通していますが、口先が黒くなる変化は見られません。

シマダイ

この呼称はイシダイの若魚にあてられたもので、若魚の頃は7本の縞模様がより鮮明に確認できることに由来します。大きさとしては、20cm前後の頃合いを指すことが多いようです。ちなみに、イシダイはこのサイズでも食用に適しています。逆に、クチグロのレベルになると、シガテラ毒を保有している恐れがあるので、食べる時は内臓を傷付けないように注意が必要です。

サンバソウ

この呼び名も若魚を指すもので、漢字では「三番叟」と表記します。三番叟とは、能楽の演目やその演者のことを指し、由来はイシダイの若魚の縞模様が、その演者が着る衣装に似ていることから来ています。

イシダイの模様は縦縞?横縞?

突然ですが、皆さんはイシダイの模様は縦縞か横縞かどちらだと思いますか。一見すると縦縞に思えますが、実は横縞なのです。というのは、魚類学の分野では、魚の頭を上に向けた状態(背骨を縦にした状態)で、模様の向きを評価するからです。そのため、口やエラから尾ビレにかけて入る縞模様は縦縞になり、背ビレから腹ビレや尻ビレにかけて入るそれは横縞になるのです。

 

水族館やマリンアクアリウムで人気の「タテジマキンチャクダイ」も、この定義に従って命名されています。

横縞模様がチャームポイント、磯の王者イシダイ!

イシダイは全国の沿岸部に生息する海水魚で、堤防などからでも釣れる強い引きが楽しめる大型魚であるため、磯の王者と呼ばれる人気の釣魚です。食味が良く、需要があるのにもかかわらず漁獲量が少なく、成長が遅いがゆえに養殖もそれほど盛んでないので、高級魚として扱われています。釣り上げた後に美味しく食べる楽しみ方もできるため、ぜひ娯楽と食の両面でイシダイを味わってみてください。

イシダイの生態や別名