淡水フグ10種類と飼育法!混泳難易度や飼育のコツは?

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淡水に生息するフグがいるって知ってた!?

淡水フグの特徴

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フグと聞くと海水魚のイメージが強いと思いますが、フグの中には淡水に生息しているものも居ます。現在では、色々な種類が知られており、分布域も南米や東南アジア、インドなど幅広いです。

 

小型の種類も多く、完全淡水で長期維持できる種類が存在することに加え、その丸みを帯びた体で水槽内をチョコチョコと泳ぎ回る様子が可愛らしく、観賞魚として一定の人気を博しています。

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淡水フグの代表10種類

近年、淡水フグの人気が上昇しており、それに伴って様々な種類が流通するようになりました。ここでは、淡水フグの代表的な種類を10種ご紹介します。

アベニーパファー

インドやスリランカに分布している体長3cm程度の淡水フグです。体色は産地や飼育環境による差異が大きく、黄色や緑色を帯びたりと様々ですが、暗色のまだら模様が入る点は共通しています。

 

流通量は多いため入手は難しくなく、1匹あたり300~500円ほどで取り扱われていることが多いです。

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南米淡水フグ

その名の通り南米に分布しており、主な原産国はブラジルやベネズエラです。最大体長7~8cmほどの淡水フグで、黄色をベースに5本のバンドが入ることが特徴です。

 

本種は純淡水での長期飼育が可能ですが、弱アルカリ性の水質を好むため、サンゴ砂などを入れると良いでしょう。本種の相場は、1500~3000円程度です。

8の字フグ

インドネシアなどの東南アジアに分布している、体長10cm程度のフグです。名前が示す通り、上から見ると魚体に数字の8のような模様が入ることが特徴です。

 

本種は汽水域に生息しているため、純淡水では長生きさせられません。価格としては、300~500円ほどで販売されていることが多いです。

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インドシナレオパードパファー

インドネシアやマレーシアに分布しているフグです。体長は15~20cmほど、体色は産地によって差が大きく、黄色や褐色、灰色などが基調で、そこにヒョウ柄が入ります。

 

本種は純淡水で長期飼育が可能で、水質は弱酸性を好みます。価格としては、2000円前後で取り扱われていることが多いです。

レッドテールアカメフグ

インドネシアのスマトラ島とボルネオ島に分布している、体長3~5cm程度の淡水フグです。その名の通り、成熟すると目と尾ビレが赤く染まることが特徴です。

 

純淡水で長期飼育が可能で、淡水フグの中では大人しいので混泳させやすい種類です。価格は1500~2000円程度で販売されていることが多いです。

テトラオドン・ムブ

アフリカ大陸に位置するタンガニーカ湖などに生息しており、体長は80cm以上にまで達する世界最大級の淡水フグです。灰色や褐色の体色を基調に、細かく不規則な模様が入ります。

 

飼育水は純淡水で構いませんが、弱アルカリ性の環境を保つことが長期飼育のコツです。1万~3万円程度が相場です。

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テトラオドン・ファハカ

北アフリカ~西アフリカに分布しており、ナイル川やニジェール川などに生息しています。体長は40cm程度に達し、体色は成熟すると黄色のベースに縞模様が入る美しい種類です。

 

飼育水は完全淡水で問題なく、水質は酸性側を好みます。相場としては、1500円前後で販売されていることが多いです。

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インドマミズフグ

インドやスリランカに分布している、体長20cmほどのフグです。幼魚期は8の字フグに似ていますが、成長するにつれて橙色が強くなっていき、体に入るスポットも細かくなります。

 

”マミズフグ”と命名されていますが、本来は汽水域に生息しているため、長期維持には汽水が必要です。価格は1000~2500円程度です。

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ミドリフグ

中国からタイなどの東南アジアにかけて分布しているフグで、体長は15cm程度に達します。背側は黄緑色、腹側は白色をしており、黒色のスポットが背側に無数に入ることが特徴です。

 

本種も汽水域に生息しているので、長生きさせるには汽水で管理する必要があります。相場は300~400円程度です。

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ブロンズパファー

東南アジアに分布している淡水フグで、独特なフォルムとメタリックな光沢のある体が特徴です。体長は10~15cmほどに成長し、純淡水で長期飼育が可能です。

 

比較的温厚なので、混泳させやすい種類でもあります。価格としては、500~700円ほどで取り扱われていることが多いです。

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淡水フグの飼育法

淡水フグの代表種はアベニーパファー

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淡水フグの飼育では、水を汚しやすく気性が荒い点に注意が必要です。ここでは、代表的な淡水フグとして知られるアベニーパファーを例に、飼育法をご紹介します。

 

水槽サイズ

水槽は種類ごとに適したサイズを用意する必要があります。アベニーパファーの場合は、最大3cm程度にまでしか成長しないので、30cmクラスの水槽があれば飼育が可能です。

 

ただし、水槽が小さいと確保できる水量が少なくなり、それに伴い水温や水質が変動しやすくなって維持管理が難しくなる点には注意してください。

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フィルター

一般的に淡水フグは肉食性で水を汚しやすいため、フィルターは強力な形式が推奨されます。アベニーパファーもその例に漏れず、具体的には上部式や外部式が候補として挙げられます。

 

上部式は価格やメンテナンス性に、外部式は鑑賞性や静音性に優れるなど、それぞれに特徴があるので、ご自身の飼育環境に適した形式を選んでください。

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水温・水質

適した水温は22~25℃程度であるため、夏場と冬場はそれぞれクーラーや冷却ファン、ヒーターなどを使用して保温する必要があります。

 

水質に関しては、弱酸性から弱アルカリ性、つまり中性付近を保つようにすれば問題ありません。淡水フグは水質の悪化が速いので、小まめな水換えが要求されます。

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レイアウト

淡水フグは強力な歯で色々な物をかじる性質があります。そのため、チューブや配線などがかじられないよう注意してください。必要に応じてカバーなどで保護すると良いでしょう。

 

基本的に肉食性なので水草との相性は良好ですが、個体によっては水草もかじることがある点は留意してください。底床材の有無は任意で構いませんが、有った方が落ち着きやすく水質管理の面でも有利です。ただし、厚く敷くと掃除が煩雑になるので、薄く敷くことを推奨します。

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淡水フグの餌

淡水フグの餌について

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淡水フグの場合、人工飼料にはほとんど餌付かないので、冷凍アカムシや同イトメ(イトミミズ)といった冷凍餌を用意しておきましょう。乾燥クリルについては餌付け次第で食べるようになるため、食べるようでしたら管理が簡単になるのでおすすめです。

 

ただし、クリルばかりを与えていると栄養が偏ってしまうため、必ず他の餌と併用するようにしてください。

 

与え方は1日に1~2回、食べ切れるだけの量を与えてください。特に、動物質の餌は水を汚しやすいため与えすぎには注意し、食べ残しが生じた時は速やかに取り除いてください。

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淡水フグの混泳相性

淡水フグは基本的に混泳相性が悪い魚種です。そのため、混泳は不可能ではありませんが、細心の注意を払う必要があります。

同種・近縁種との混泳相性

淡水フグの混泳

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淡水フグは縄張り意識が強い魚種なので、同種や近縁種とは激しく争います。よって、基本的には単独飼育が望ましいです。例外的に、アベニーパファーなどは比較的性格が温和で混泳向きの淡水フグと言えます。

 

混泳させたい場合は、大きな水槽を用意したうえでシェルターや水草などを多めに配置し、縄張りが重ならないようにすると良いでしょう。詳しくは後述しますが、繁殖させたい時も相性が悪いと命の危険を伴うほどに争うため、十分な隠れ家が必要です。

 

それでも絶対に混泳や繁殖が成功するとは限らないので、いつでも隔離できる準備は整えておいてください。

多種との混泳相性

淡水フグはえびが大好き

 

淡水フグの縄張り意識は他の魚種でも関係なく発揮されます。丈夫な歯で噛みついて攻撃を仕掛け、泳ぎが上手くない魚種はヒレなどをボロボロにされることが多いので注意してください。

 

そのため、多種ともやはり混泳には適さないのですが、淡水フグよりも俊敏でヒレが短い魚種であれば不可能ではありません。その場合、隠れ家となる物をたくさん入れておくと良いでしょう。

 

ちなみに、エビ類や貝類は淡水フグの格好の獲物です。硬い外殻や貝殻も、その丈夫な歯で砕いて食べてしまうため、これらの種類との混泳は不可です。

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淡水フグの病気・怪我

淡水フグは神経質な種類も多いので、特に水槽導入時の水質・水温の変化に注意が必要です。また、本種ならではの性質によって、不調に陥ることもあるためしっかりと管理する必要があります。

淡水フグの気をつけたい病気

白点病や尾ぐされ病など、基本的には他の熱帯魚と同一です。ただし、淡水フグは水槽導入時に、特に白点病にかかりやすい傾向にあるので注意してください。

 

白点病とは、水中に常在している「ウオノカイセンチュウ(Ichthyophthirius multifiliis)」と呼ばれる繊毛虫に寄生される病気です。発病すると魚体に白点が現れ、体を擦り付けるようにして泳ぐ、衰弱するなどの症状が出ます。

 

治療法としては、「アグテン」や「グリーンFリキッド」といった魚病薬を用いた薬浴が挙げられます。その際、0.5%濃度での塩浴を併用することも効果的です。予防のためにはしっかりと水合わせをすることが重要なので、他の魚種よりも時間をかけて行ってあげてください。

淡水フグは歯の伸びすぎに注意!?

淡水フグは生きている間、歯が伸び続ける性質があります。歯が伸びすぎてしまうと、摂食行動にも支障を来すようになってしまうので注意してください。それを防ぐためには、殻が付いたままの巻貝など、日頃から硬い物を餌として与えると良いでしょう。

 

それでも、伸びすぎてしまった時は切除するよりほかありません。その際は、飼育水をしみこませたガーゼなどでフグを包み、その上からフグを掴んでしっかりと固定し、ニッパーなどを使用して伸びすぎた部分を切除してください。

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淡水フグの繁殖

淡水フグの繁殖

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淡水フグの中には、水槽での繁殖が比較的容易な種類もおり、アベニーパファーもその1種です。淡水フグは縄張り意識が強いため、繁殖を狙う際は大きな水槽が必要です。

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繁殖用の水槽には産卵床となる水草や流木などを設置し、オス・メスのペアを入れます。アベニーパファーの雌雄の見分けは、オスは成熟すると体にラインが目立つようになる、メスは小さなスポット模様が入るなどの特徴から可能です。後は、ペアが成立して産卵するまで待ちましょう。

 

同種は水草の根元や流木の基部にバラまくように産卵するので、卵を確認したら採卵して別の容器に移してください。保護した卵は酸欠と水カビ防止のためにエアレーションを施して管理し、稚魚が孵化したらブラインシュリンプを与えると良いでしょう。

淡水フグはやや神経質!飼育するなら事前の調査が大切!

淡水フグは総じて神経質な傾向にあり、水質・水温の変化に敏感なので水合わせはしっかりと行うことが重要です。

 

また、餌は基本的に生餌が必要で、その食性のために小まめなメンテナンスが求められるなど、やや維持管理が煩雑な種類と言えます。

 

それでも、フグ類に共通する丸っこい体形で水槽を泳ぎ回る可愛らしさなど、他の熱帯魚にはない魅力がある魚種です。一風変わった熱帯魚を飼育したいとお考えの方は、淡水フグを飼育してはいかがでしょうか。

淡水フグの特徴