エイみたいなのにサメ!?以外と知らない正しいエイとサメの見分け方

出典:写真AC

サメとエイは軟骨魚類

サメとエイは共に軟骨魚綱に属し、歯など一部を除き骨格が軟骨でできています。軟骨魚は魚類の中でも原始的なグループであり、ラブカやカグラザメなど大昔から姿を変えていない所謂「生きた化石」と呼ばれる種も現存しています。そんな軟骨魚類のサメとエイですが、実は明確に区別できる特徴があります。

サメとエイを見分けるポイント

サメとエイといって思い浮かぶのは基本的にこのような姿ではないでしょうか。

撮影:FISH PARADISE!編集部

形で分けるのはNG!?

上図から「各ひれ、特に尾びれが大きく、一般的な魚の形に近いもの=サメ」、「平べったく、長い尻尾をもつもの=エイ」という印象が強いことと思います。ところがサメとエイを見分けるポイントはそこではないんです!

鰓孔の位置が違う!

サメとエイを見分ける最大の特徴はズバリ「鰓孔(さいこう)の位置」です。鰓孔とは文字通り鰓(えら)の孔(あな)のことで、軟骨魚類だけではなく全ての魚類が共通してもっている特徴です。一般的な硬骨魚類(タイやマグロなど)は鰓孔は左右1対ですが、サメやエイは5~7対もの鰓孔をもちます。そしてサメとエイはその鰓孔の開く位置が異なるのです。

サメでは鰓孔は体の側面に開いています。

撮影:FISH PARADISE!編集部

一方でエイは体の腹面に鰓孔が開いています。

撮影:FISH PARADISE!編集部

つまり

鰓孔が体の側面に開くもの=サメ

鰓孔が体の腹面に開くもの=エイ

となるのです!

サメ?エイ?紛らわしい魚たち

上記の特徴で分けると意外な種類がサメやエイに分類される場合があります。

平べったいけどエイじゃない!

カスザメという魚がいます。この魚は名前にはサメとついていますが体型は平べったくエイのように見えます。しかし鰓孔は体の側面に開いており、名前どおりサメに分類されます。

サメなのにエイ?

ウチワザメは平べったいエイのような上半身にサメのような下半身が付いている紛らわしい魚ですが、鰓孔は体の腹面に開くため、ウチワザメはその名前とは裏腹にエイに分類されます。同様な体型の魚は他にもサカタザメやシノノメサカタザメなどがいますが、皆エイに分類されます。

似ているけどまったく違う!

ノコギリザメとノコギリエイはどちらもノコギリ状の吻が伸びる面白い見た目の魚です。体型は両種とも非常に似ていますが、鰓孔の位置を見ると名前のとおりノコギリザメはサメ、ノコギリエイはエイに分類され、系統的にまったく違う魚だということが分かります。

ノコギリザメ 提供:FISH PARADISE編集部

サメとエイの世界は面白い!

サメ、エイは共に世界中に500種以上が知られており、淡水から海水まで様々な水域に生息しています。その中にはラブカなどの「生きた化石」や、NHKでも特番が組まれたミツクリザメやメガマウスザメ、電気を発するシビレエイなど面白い特徴や生態をもつ種類が数多く存在します。鋭い歯や尻尾の毒針で危険な魚だという認識の強いサメとエイですが、調べてみると非常に面白い生物であることが分かります。これを機にサメやエイについて調べてみてはいかがでしょうか。その奥深い世界を知ればサメとエイに対する今までのイメージが覆ること間違いなしです!

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サメとエイの見分け方は?