メダカの繁殖方法やオスメスの見分け方!針子の餌は何がいい?

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メダカの繁殖って難しいの?

メダカの繁殖は意外と簡単

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結論から申しますと、メダカの繁殖はポイントさえ押さえれば、比較的簡単と言えます。と言うのは、産卵から孵化までなら容易なのですが、針子と呼ばれる誕生直後の稚魚が非常に小さいため、与える餌やタイミングに注意しないと餓死させてしまうこともあるからです。

 

針子に対して適切な大きさの餌を用意できなかったがゆえに、餓死させてしまうことは失敗原因の上位に来る事例なので、メダカの繁殖を行う場合は特に針子期の餌に気を付けてください。

メダカの繁殖期・繁殖条件

メダカを繁殖させたい場合、きちんと条件を整えてあげることが重要です。ここでは、メダカが繁殖する条件や自然下での繁殖期をご紹介します。

メダカが繁殖する条件

メダカを繁殖させるためには、水温・日照時間・体力が重要になります。

メダカ繁殖に適した温度は24度前後

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まず、水温については20~28℃前後の範囲で繁殖活動をしますが、産卵後の孵化のことを考慮すると 24℃以上の水温を保った方が良いです。

メダカの繁殖では日照移管も大事

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次に、日照時間に関しては、 繁殖活動の開始には約13時間が必要で、理想的には14時間程度はあった方が良いでしょう。屋内飼育だと時間の確保が難しいので、熱帯魚用のLED照明などを用意して照明時間をコントロールすると良いでしょう。照明器具を用いる場合は、太陽光の波長バランスをなるべく再現している物の使用がおすすめです。

 

それから、産卵は多大なエネルギーを消費する行動です。栄養不足では成功するものも成功しなくなるため、繁殖用を謳う栄養価の高い人工飼料や、冷凍アカムシなどの生餌を与えて、十分に体力をつけさせてから繁殖に挑ませてあげてください。

自然繁殖の場合の産卵期

屋外飼育で自然繁殖させる場合でも、水温などの基本的な条件は上記と変わりません。よって、自然繁殖の場合のメダカの産卵期は、春から秋、 地域にもよりますが、5月〜9月にかけてとなります。屋内飼育では、機材を用いて水温や照明時間をコントロールしてあげれば通年で繁殖が可能です。

メダカの雌雄の見分け方

メダカは雌雄で外見的特徴が明確に現れる魚種なので、小型魚としては見分けは容易な部類です。しかし、改良品種ではその特徴を失っている可能性もあるので注意してください。

オスの特徴

メダカの繁殖の第一歩はオスメスの見分け方から

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メダカのオスは、まずヒレに特徴が出ます。 背ビレに切れ込みが入り、尻ビレがメスよりも長く大きい特徴があります。次に、体系もポイントで、メスよりもスレンダーな個体が多いです。しかし、太っているオスも存在し、そのような個体はメスとの見分けが難しいので、ヒレの形と合わせて判断してください。

メスの特徴

メダカ繁殖は簡単?

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オスとの見分けは、やはりヒレの形と体形で行います。オスとは異なり 背ビレに切れ込みは入らず、尻ビレもオスより短く小さいです。体系はオスよりもふっくらとしている傾向にありますが、前述の通り太ったオスとは体形での見分けが困難なので、ヒレの形も参照してください。

ヒレナガ系品種は注意が必要

メダカの雌雄の見分けではヒレの形が大きな目印として働きますが、いわゆるヒレナガ系と呼ばれる、背ビレなどが長くなるように改良された品種では、その特徴を失っている場合があるので注意してください。

メダカ繁殖に必要な道具・繁殖環境

メダカの繁殖では、有精卵を親魚から隔離して育成することが一般的です。そのため、産卵させる容器と、孵化・稚魚の育成をする容器は別で用意する必要があります。

 

そして、繁殖環境を整えるためには、照明器具やエアレーション、水温計に加えて、季節によってはヒーターなどの温調機器も必要となります。産卵用の容器には産卵床となるものが必要で、ホテイ草などの水草でも構いませんが、アクリル繊維などを束ねた人工物も市販されているため、それを使用しても良いでしょう。

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フィルターは十分に大きな容器を用意できれば必要ありませんが、稚魚用の容器が小さい場合はスポンジフィルターを用意しておくと、水質の悪化を遅らせつつ、稚魚をフィルターに吸い込んで死なせずに済みます。

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また、卵を殺菌するためのメチレンブルーがあると便利で、カルキ抜き剤や稚魚用の餌も用意しておきましょう。

メダカの繁殖方法

先に少し述べましたが、メダカの繁殖は産卵から孵化までは容易です。しかし、稚魚の育成は主に餌の面で注意しなければなりません。ここでは、メダカの繁殖法を具体的にご紹介していきます。

ペアリング

繁殖をさせるには、まずはオスとメスのペアが形成されなければなりません。個体同士の相性が悪いと繁殖活動に至らない恐れがあるので、オス1匹に対して2匹以上のメスを用意しておきましょう。ちなみに、メダカのメスは繁殖活動ができないと、 卵詰まり(過抱卵)を起こして死亡する危険があります。

 

そのため、長く飼育したい場合は繁殖させる気がなくとも、必ずオス・メスのペアでの飼育をおすすめします。増やしたくないのであれば、少しかわいそうかもしれませんが、卵や稚魚を保護せずに親メダカに食べさせると良いでしょう。

交尾〜産卵

メダカ繁殖にはペアリングが必要

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ペアが形成されたら、後は水温などの環境を適切な状態で保ち、普通に飼育していれば交尾を行い産卵にまで至ります。メダカが卵を産み付けられるように、産卵床となる水草などを入れることを忘れないでください。

 

メダカを繁殖させる場合は、 採卵を行い卵を親から保護することが基本です。そのため、水草の世話や水草からの採卵に煩わしさを感じるのであれば、人工物を入れておくと良いでしょう。現在では、メダカ用の産卵床を謳うアイテムも数多く市販されています。

採卵

メダカの繁殖、採卵も大切です

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産卵が確認されたら、卵が親メダカに食べられないように採取し、別の容器に隔離して保護します。孵化用の容器にはエアレーションを施し、緩やかな対流を発生させて水カビの発生と酸欠を防止すると良いでしょう。

 

この時、無精卵は除去してください。無精卵はいくら待っても孵化することはありませんし、 無精卵があると水カビが蔓延する原因になります。有精卵との見分け方についてですが、無精卵だった場合は卵の色が白く濁ってくるので見分けが可能です。

 

また、無精卵は有精卵と比較すると、魚病薬の1つであるメチレンブルーで染色されやすいため、同魚病薬を用いると水カビを防ぎつつ判別できます。

孵化〜針子の育成

メダカ繁殖の要は針子の育成

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採卵後の卵は25℃前後の水温で管理すれば10日前後で孵化します。これよりも水温が高い場合は孵化までの日数は短くなり、反対に水温が低ければ日数は長くなります。一般的には以下の数式が目安になります。

 

孵化までにかかる日数の計算式
水温(度)×日数≧250

 

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その間、水換えは毎日行って水質を清浄に保ってください。毎日の水換えが困難ならば、ある程度の水量を確保して水質悪化の影響を緩和すると良いでしょう。なお、卵の状態であれば薬物耐性があるため、カルキが含まれていても問題ありません。

 

カルキには水カビ防止のメリットもありますが、生まれてくる針子はそうはいかないので、孵化が近くなったら親メダカを飼育している水を入れておいてください。

 

針子は誕生直後は底部でじっとしていますが、泳ぎ出すまでは餌を与える必要はありません。この間は、卵黄嚢から栄養を吸収しているため餌を与えても食べず、いたずらに水を汚すことになるからです。

 

孵化から2~3日後になると、針子が泳ぎ出しますので、針子用の微細な餌を与えてください(エサについては後述しています)。

針子・稚魚の選別

稚魚の選別もメダカ繁殖では大事

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世代交代をしてメダカの飼育を長く楽しみたい場合や、ご自宅で簡易的にでも品種改良に挑戦したい時は、針子や稚魚を選別する必要が生じます。メダカは産卵期を通して多くの卵を産みますが、中にはどうしても奇形や病弱個体が生まれてきてしまいます。

 

そのような個体を選別して丈夫な個体を残しておけば、その分だけ長く世代を重ねられます。

 

また、掛け合わせによる品種改良を行う時も、ご自身が望んだ形質を受け継がせるために選別作業は欠かせません。ただし、色やラメの選別などは比較的大きくなってから現れてくる場合もあるので焦りは禁物です。逆に体型の選別は、早い段階で行ってもいいでしょう。

針子・稚魚の育成にはどんな餌がベスト?

メダカの稚魚用に微細に粉砕された人工飼料も販売されているので、最低限そのような餌は用意しておきましょう。しかし、理想的にはプランクトン類の餌があると良いです。

 

具体的には、「ゾウリムシ」をはじめとした動物プランクトンが挙げられ、商品としては「インフゾリアの素」や「微生物の素」などの名で販売されています。屋外飼育の場合は、植物プランクトンで緑色になった「グリーンウォーター(青水)」での飼育がおすすめです。

熱帯魚飼育でメジャーな「ブラインシュリンプ」では、針子の口には大きすぎて食べられないので注意してください。針子が育ってきたら、ブラインシュリンプに切り替えるのは問題ありません。

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メダカが繁殖しない!考えられる原因は?

メダカの繁殖は産卵から孵化にかけては容易ですが、条件が整っていないと繁殖活動そのものを行わないので注意が必要です。ここでは、メダカが繁殖しない主な原因についてご紹介します。

繁殖条件を満たしていない

メダカが繁殖活動を行わない場合、まずは水温や日照時間といった繁殖条件を満たした環境になっているかチェックしてみてください。いくら相性の良いオスとメスのペアで飼育していても、これらの条件を満たしていないと繁殖活動に至りません。

雌雄の相性が悪い

メダカは意外と雌雄の相性が重要で、オスとメスの相性が悪いと、いつまで経っても繁殖活動を行わないことがあります。これを回避するためには、オス1匹に対して最低でも2匹のメスを用意しておくと良いです。

 

ヒレナガ系などの見分けが難しい品種の場合は、ある程度の数を混泳させると良いでしょう。

飼育環境が悪い

水温などの条件が整っているのに、繁殖活動を行わない時は水質を調べてみてください。水が汚れてpHが酸性側に大きく傾いているなど、飼育環境が悪化しているとメダカは繁殖しません。また、メダカは強い水流を嫌う魚種なので、水質と合わせてチェックしてみてください。

メダカは卵や稚魚を食べてしまうの!?

ここまでにたびたび言及していますが、メダカは自身が産んだ卵や誕生した稚魚を普通に食べます。残酷なことのように感じるかもしれませんが、魚類の世界では珍しい事象ではありません。そのため、繁殖を狙う場合は採卵して卵と、そこから生まれてくる稚魚を保護することが一般的です。

 

屋外飼育で自然繁殖させる場合は、水草などで稚魚が隠れられる場所を多く作っておくと、稚魚の生存率を上げられます。

メダカの繁殖では特に針子期の餌に注意!

針子の飼育がメダカ繁殖の鍵

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メダカの繁殖に失敗してしまう原因に多いのが、針子に対して適切な餌を用意できずに餓死させてしまうことです。メダカの稚魚はかなり小さい状態で誕生するため、特別に微細な餌を用意してあげないと、口に入らないせいで摂食できないためです。

 

逆に、その点さえクリアできれば順調に進むことが多いので、餌の準備を整えたうえで繁殖に挑戦してみてください。

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