シクリッドの飼育法や混泳の注意点!争いを緩和する方法って?

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シクリッドってどんな熱帯魚?

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中央アメリカや南アメリカ、そして南アジアから中東、マダガスカルを含めたアフリカなど広い範囲に生息するシクリッド。生息域も淡水から汽水域まで、かなり広い適応力を持つ熱帯魚です。スズキ目シクリッド科に分類され、別名「カワスズメ」と呼ばれるシクリッドは、どのような生態で飼育は難しいのでしょうか。今回は、そんなシクリッドの飼育法や混泳についてご紹介していきます。

シクリッドの種類

世界中、かなり広域に生息しているシクリッドですが、当然ながら単一種類ではありません。大きく「アメリカンシクリッド」と「アフリカンシクリッド」に分類され、1300種類以上のシクリッドがいると言われています。それでは、主だったシクリッドの種類を分類ごとにご紹介していきましょう。

アフリカンシクリッド

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アフリカンシクリッドは文字通り、アフリカ産のシクリッドのことを指します。代表種にスキアエノクロミクス・フライエリー(別名:アーリー)、アノマロクロミス・トーマシー、イエロー・ピーコックといった熱帯魚がいます。現地では貴重なタンパク源として食用にされていますが、海水魚のように鮮やかな体色の種類が多く、観賞魚として非常に人気が高いです。

南米産シクリッド

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アメリカンシクリッドとも呼ばれるこの分類のシクリッドには代表的な種類としてアピストグラマがいます。このほか、ミクロゲオファーガス、アストロノータスなどが挙げられます。アピストグラマの中でも50種類に分類され、特に飼育のしやすさでアピストグラマ・イニリダエ、アピストグラマ・パンドゥロあたりが人気の種類です。

東南アジア産シクリッド

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基本的に東南アジアに分布するシクリッドは、アフリカンシクリッドやアメリカンシクリッドが移植され、繁殖している種類がほとんど。代表的なものにエンゼルフィッシュ(原産はアマゾン川)、タイガーオスカー(アストロノータス)、キクラ・オセラリス(アイスポットシクリッド)などの種類が養殖されています。

シクリッドの飼育方法

たくさんの種類がいるシクリッドは、サイズもさまざま。生体のサイズによって飼育方法は変わってきますが、基本的な性質や体質の傾向は似通っています。購入を検討しているシクリッドの種類に応じて参考にしてください。

水温・水質

アフリカンシクリッド、アメリカンシクリッドともに熱帯魚なので、日本での飼育にヒーターは欠かせません。一般的に20~28℃の水温が適しているとされています。意外にも高温には弱い面があるため、30℃以上にならないよう注意が必要です。また水質に関しては、どちらも弱アルカリ性~中性で硬水を好む傾向にあります。日本の水道水は一般的には軟水なので、生体を入れる前に弱アルカリ性に近づけるようにしましょう。弱アルカリ性の水を作るには、サンゴ砂や水質調整剤を使用します。

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水槽サイズ・フィルター

飼育するシクリッドのサイズによって水槽サイズは異なりますが、人気のある15cm程度の小型シクリッドの場合、60cm水槽が基本となります。体長が最大30cmを超えるような大型種なら最低でも90cm水槽が必要です。なお、シクリッドは観賞魚の中では丈夫な種類なので、そこまで水質に敏感ではありませんが、上部フィルターや外掛けフィルターの使用は必須です。

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シクリッドの餌

シクリッドの仲間は基本的に食欲旺盛で、なんでもよく食べます。人工飼料にもよく慣れ、テトラ・プランクトンや冷凍アカムシなど市販されている熱帯魚用の餌なら問題なく餌付くでしょう。なお、シクリッドの種類によっては産卵・繁殖も可能なので、その稚魚に与えるブラインシュリンプなども与えることができます。

シクリッドの混泳

シクリッドは混泳が非常に難しい熱帯魚といわれています。ただ、これはシクリッドの種類が多く、種類によって混泳の難易度が異なるため。ここでは、シクリッドの混泳についてご説明していきます。

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同種・近縁種との混泳

一般的にシクリッドは同種・近縁種であっても気性の荒さから、他の個体を攻撃するケースがよく見られます。しかも、ペアであってもケンカをすることがありますので、あまり混泳向きの観賞魚ではありません。飼育する個体数が3匹以下の場合、水槽内に明確な序列ができるのがシクリッドの特徴です。この場合、個体数を増やすか、隠れることができる石などをレイアウトする必要があります。

他種との混泳

シクリッドと水槽内で生活するスペースが異なる他種となら混泳が可能な場合もあります。たとえば、底生型のプレコなどです。水槽内の掃除役であるシュリンプなどエビ類は、シクリッドの餌となってしまうため混泳できないと考えたほうがよいでしょう。なお、水草には興味をあまり示すことがないため、生育することは可能ですが、アルカリ性の水質と相性のよい水草を選ぶ必要があります。

シクリッドの繁殖

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シクリッドの飼育で、もっとも魅力的なのが繁殖です。特にアフリカンシクリッドのうち、マラウイ湖産のシクリッドは「マウスブリーディング」という子育てを行うため、これを見たいという理由でシクリッド飼育をするアクアリストも少なくありません。

 

マウスブリーディングとは、石などに産みつけられた卵を、雌が口の中でオスの精子に受精させ、孵化育成する繁殖方法です。外敵から孵化した稚魚を守る目的で行われ、雌の口から出てくるころには、すっかりシクリッドの姿となっているという面白い繁殖をするため、シクリッドは人気なのです。

 

このようなマウスブリーディングを行うシクリッドの代表種がラビドクロミス・カエルレウス(別名イエローシクリッド)。大きめの水槽で、縄張りを作ることができる岩などをレイアウトすれば、比較的容易に繁殖させることができます。また、ジュリドクロミス・オルナータスは複数飼育でペアリングしたら、別の水槽に移してやれば自然に繁殖するのでおすすめです。

シクリッドの病気・寿命

比較的丈夫と言われるシクリッドでも、飼育環境によっては病気にかかることもあります。それでは、シクリッドがかかりやすい病気や寿命はどれくらいなのでしょうか。

気をつけたい病気

一般的な熱帯魚がかかる白点病や水カビ病なども、水槽の環境によってかかるケースが多いので注意が必要ですが、シクリッドがもっとも発症しやすい病気がエロモナス病です。水槽内の常在菌であるエロモナス菌によって発症する病気で、過密飼育や水換え不足、水温が高くなりすぎた場合に発症するといわれています。どんな観賞魚でも同じですが、水槽内を清潔に保ち、定期的に水換えを行うことで、ある程度は病気の予防が可能です。

寿命

1300種類以上もいるシクリッドがすべて同じ寿命というわけはありませんが、一般に流通しているシクリッドは5~10年ほどが寿命といわれています。小型のシクリッドでは3~5年ほどの種類もいますし、30cmを超えるフロントーサは飼育環境によっては10~20年も生きるといわれています。

カラフルでユニークな繁殖、魅力いっぱいのシクリッド

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シクリッドは丈夫な魚なので、入門者でも飼育は容易です。さまざまな種類が輸入、繁殖されて流通しています。大きな特徴であるカラフルな体色、ユニークな繁殖など魅力いっぱいの熱帯魚なので、一度は飼育してみてはどうでしょうか。

シクリッドを飼育してみよう