松かさ病に効く薬は?症状や原因、治療法をチェック!

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松かさ病の原因

金魚やメダカなど観賞魚が発症する「松かさ病」。文字通り、松ぼっくりのようにウロコが逆立ち、身体がふくれて衝撃的な姿になってしまう病気です。この病気にかかる原因は、運動性エロモナス菌(グラム陰性菌)という細菌です。特に松かさ病は、水質悪化によるエロモナス・ハイドロフィラという細菌が増えることが主な原因です。水槽内のpHが下がり、金魚などがストレスを感じる状態のときに弱って感染しやすいようです。

 

なお、最近の研究ではエロモナス・ハイドロフィラだけでなく、ミコバクテリウムやラブドウイルスも松かさ病の原因となることがわかっています。ただし、こうした原因菌がない状態でも松かさ病を発症したケースも見られるため、具体的な原因は未解明というのが実際のところなのです。

松かさ病の症状

松かさ病の症状としては、口の周辺に潰瘍が出たり、尾ぐされやヒレぐされといったものが挙げられますが、代表的な症状としてはウロコを包んでいる鱗嚢(りんのう)に水が溜まってしまい、これによってウロコが逆立ってしまうことです。この状態が松ぼっくりのように見えるため「松かさ病」と名付けられました。

 

症状が進むと、眼球が飛び出してきて身体全体が腫れ上がってしまいます。この姿が非常に衝撃的で、飼い主にとっては心が痛むことになります。そして、次第に食欲がなくなってきて、細菌の毒素によってエラの機能が低下し、最終的には低酸素症や内臓疾患などで死んでしまうことになります。

松かさ病は完治しにくい

金魚などが松かさ病を発症し、ウロコが逆立って身体が腫れてしまった場合、かなり病気が進行してしまっている状態です。ウロコが完全に立ってしまうと、完治することはまずありません。その意味では、白点病や転覆病は松かさ病に比べて、やっかいな病気といえるでしょう。逆に初期の松かさ病を発見するのは、初心者ではまず不可能です。

松かさ病の薬による治療法(薬浴)

前述のように松かさ病を発症して進行し、ウロコが完全に立ってしまった状態から治療しても、完治するのは非常に難しいです。そのため、できる限り早期発見を心がけ、発症を確認したら早めに治療するようにします。

 

まず基本として、松かさ病の原因菌となるエロモナス・ハイドロフィラやミコバクテリウム、ラブドウイルスは水質改善を行うことで増殖を止めることができます。そのうえで、グリーンFゴールド顆粒およびリキッド、観パラD(観賞魚用パラザンD)、エルバージュエースなどを利用した薬浴を行うようにしましょう。

グリーンFゴールド顆粒、エルバージュエース
餌にこれらの薬品を混ぜ、1日10粒程度を与えるようにします。金魚やメダカなどに食べさせることで、直接お腹の中にいる細菌を攻撃する方法です。

グリーンFゴールドリキッドおよび顆粒、観パラD
適量を水に溶かし、金魚などを薬浴させます。ただし、白点病や転覆病などと異なり、松かさ病は完治が難しいため、じっくり時間をかけて治療を施すようにしてください。

いずれも症状が進行している場合に試してほしい治療法なので、早期発見した場合には、この限りではありませんので注意するようにしてください。

初期の松かさ病なら塩浴と換水で治る場合も

もし運よく金魚やメダカなどの松かさ病を早期発見することができた場合、まずは水槽内をしっかりと掃除して、水を交換するようにしてください。初期の松かさ病なら、この水槽内掃除と換水によって完治する場合もあります。それでも症状の改善が見られない場合は、次に塩水浴を試してみてください。

 

淡水魚の金魚やメダカなどを塩水に入れて大丈夫なのかと不安に思うかもしれませんが、一時的な塩水浴は病気の治療に効果があります。だいたい0.5~0.6%程度の濃度の塩水が効果が高いです。もし、この塩水浴を行っても症状が進行するようなら、塩水浴と併用して前述の薬浴を行うと効果的です。

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松かさ病にココア浴や鷹の爪って本当に効くの?

特に日本で金魚の病気を治療するのに用いられるのが、ココア浴という治療法です。民間療法として有名ですが、はたして効果があるのかどうか立証されていないというのが実際のところです。

 

一応ですが、ココアに含まれるカカオポリフェノールが、整腸作用があってたくさん糞をするため、体内に溜まっていた原因物質が排出されるのではということらしいのですが、効果は証明されていませんので、行うなら自己責任で行うようにしてください。

 

同様に白点病や松かさ病の治療に有効と言われる民間療法の鷹の爪も、抗菌効果があると言われていますが、あくまで自己責任で行うようにしましょう。

治療の注意点

松かさ病の治療には薬浴が効果的なのですが、治療薬の適切な使用方法や組み合わせ方などについては、観賞魚飼育の初心者ではなかなか難しいのが実情です。そのため、まずは観賞魚ショップや金魚店などに相談するのが近道です。

 

そこで薬浴をすすめられたら、迷わず薬浴治療を施しましょう。その際に注意するのは、薬浴の濃度です。症状が進行しているからといって濃度を上げて薬浴をするのは危険です。逆に薬品のために死んでしまうこともありますし、金魚やメダカなどの種類によっては薬品に弱い種類もいますので、ショップに相談するようにしてください。

松かさ病の予防法は?

松かさ病を予防するためには、金魚などが松かさ病を発症するメカニズムを理解しておくようにしましょう。前述のように、松かさ病の原因は、エロモナス・ハイドロフィラなど細菌の増殖によるものです。つまり、これらの細菌を増殖させないように心がければ松かさ病の予防につながります。

 

具体的には、金魚などの過密飼育は避けるようにしてください。松かさ病は、環境の大きな変化によるストレスで金魚が弱ることによって発症します。また過密飼育環境下では、特に金魚は水質が悪化しやすくなります。もちろん過密飼育状態でなくても、水槽の掃除などメンテナンスを怠ると水質が悪化するので、ふだんから水槽内を清潔に保つようにしてください。

松かさ病の本当の原因は水質の悪化ということを忘れずに!

金魚などが松かさ病にかかるのは、エロモナス・ハイドロフィラなどの細菌が増殖することによる感染が原因です。でも、それはあくまで直接的な原因であり、本当の理由は水槽内の掃除が適切に行われていない環境によるものなのです。

 

まずは水槽内の環境を清潔に保つよう心がけましょう。特に金魚は餌をよく食べ、よく糞をするので水槽内は汚れるのが早い種類の観賞魚です。常に水質をしっかりと管理し、適切なメンテナンスをこなうようにしましょう。

松かさ病ってどんな症状?