エンゼルフィッシュの飼育法まとめ!種類や混泳、繁殖方法など

エンゼルフィッシュってどんな魚?

エンゼルフィッシュが泳ぐ

 

エンゼルフィッシュは熱帯魚を代表する魚種で、その特徴的なフォルムが人々の心をつかみ、今日までに様々な改良品種が作出されています。まずはエンゼルフィッシュの特徴や生態などをご紹介しましょう。

特徴

エンゼルフィッシュはスズキ目シクリッド科に属する淡水魚です。魚体は強く側扁しており体高が高く、背びれと尻びれ、腹びれが長く伸びる独特のフォルムをしています。

 

改良品種は体色と模様がバリエーションに富みますが、野生種は銀白色を基調に暗色の横縞が入り、成魚の体長は12~15cmほどです。

生息地

エンゼルフィッシュの生息地は、南アメリカ大陸のアマゾン川水系です。ブラジルやコロンピア、ペルーなど北部を中心に分布しており、水流がほとんどない水域に生息しています。

 

普段は水草などの物陰に身を隠しており、昆虫や甲殻類、小魚などを捕食する肉食魚です。

寿命

エンゼルフィッシュの寿命は5~6年ほどです。しかし、飼育環境に左右されることは言うまでもありません。うまく飼育できた場合、中には10年近く生きた個体もいるようです。

 

いずれにしても、観賞魚の中では長寿なので、面倒を見切れるかどうか良く判断してから飼育してください。

価格の相場・値段

エンゼルフィッシュは国内外で盛んに養殖されており、流通量が多いので一般的な品種は値段も安価です。相場としては1匹あたり300~1000円程度で、混泳させることが普通なので3匹以上をセットにしての販売形式もよく目にします。

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エンゼルフィッシュの種類

エンゼルフィッシュは人気の観賞魚で、現在もなお品種改良が盛んに行われており、様々な品種が作出されています。

アルタムエンゼル

エンゼルフィッシュの原種の1つで、アマゾン川支流のオリノコ川やネグロ川の上流域に生息しています。伸長するひれと褐色を帯びる体色が特徴です。

スカラレエンゼル

原種の1つである野生種で、アマゾン川流域に幅広く分布しています。野生種の中では最も多く流通しており、生息域が広いことから色や模様のバリエーションが豊富です。

ゴールデンエンゼル

縞模様が消失し、背中側が黄色から金色に輝く改良品種です。突然変異種の固定化に成功して作出されたと言われています。

アルビノゴールデンエンゼル

ゴールデンエンゼルのアルビノ種です。赤い目を持ち模様はなく、全身が金色に輝くことが特徴です。

ホワイトエンゼル

全身が銀白色に輝くエンゼルフィッシュです。ゴールデンなどと同様に模様はありませんが、アルビノ種ではないので目は黒いです。

プラチナエンゼル

全身がプラチナ色に輝く改良品種です。成長するとひれを中心に、やや青味を帯びるようになります。突然変異によって生じた、白色個体の固定化に成功して誕生しました。

ベールテールエンゼル

背びれと尻びれが非常に長くなるように改良された品種です。いわゆる「ロングフィン」と呼ばれる品種で、エンゼルフィッシュ本来の美しいプロポーションを際立たせてくれます。

コイエンゼル

「トリカラーエンゼル」とも呼ばれる、体色が白色・黒色・赤色の3色から成るエンゼルフィッシュです。見た目が錦鯉のようであることから名付けられました。

ブラックエンゼル

全身が黒色になるエンゼルフィッシュです。突然変異によって生じた、黒化個体の固定化に成功して作出されました。

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エンゼルフィッシュはボカロの曲でも有名!どんな歌詞なの?

ボーカロイド曲としての『エンゼルフィッシュ』は、2013年に「パトリチェフ」さんによって投稿されました。ボーカロイドの1人である「鏡音リン」用の曲として作詞・作曲され、投稿されて以降「歌い手」と呼ばれる人が肉声で歌った動画の再生数が百万回を突破するなど、人気楽曲として知られています。

 

曲調はアップテンポで軽快ながらも、「届かないよ、誰の声も」など歌詞はどこか寂しげで、エンゼルフィッシュのような独特の雰囲気を持った楽曲に仕上がっています。

エンゼルフィッシュの飼い方の基本

エンゼルフィッシュは丈夫な熱帯魚

 

エンゼルフィッシュは比較的に丈夫な魚種なので、初心者でも飼育しやすい熱帯魚です。ただし、幼魚の頃は水質の変化に神経質なので注意してください。

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水温・水質

エンゼルフィッシュの飼育が可能な水温域は22~32℃です。急激な水温の変化を避ければ適応可能な水温域は広いですが、低温では「白点病」が出やすいので、年間を通して25℃以上に保った方が良いでしょう。

 

水質に関してはpH5.5~7.0の弱酸性から中性を保てば問題ありません。成魚は比較的に丈夫ですが、幼魚の頃は水質の悪化に弱いので注意してください。

水槽サイズ・フィルター

エンゼルフィッシュの飼育において、水槽サイズに対して適した個体数は60cmクラスの水槽で2~3匹、90cmクラスの水槽で5匹前後です。エンゼルフィッシュはひれが長くなるので、水深もある程度必要です。

 

美しいプロポーションを保つためにも、45cm以上の高さがある水槽をおすすめします。エンゼルフィッシュは水質に神経質になる必要はありませんが、肉食魚なので水はそこそこ汚れます。フィルターは外部式や上部式など、ろ過能力に優れたものを導入すると良いでしょう。

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レイアウト

前述したようにエンゼルフィッシュはひれが伸長するので、水槽内に障害物が多いとせっかくの美しいひれが傷ついてしまいます。レイアウトは遊泳の邪魔にならない程度の、シンプルな範囲にとどめた方が良いでしょう。

 

ただ、食性や遊泳性から水草との相性は良いため、水草水槽で飼育されている様子はよく目にします。その場合も、背の低い水草を敷き詰めるなどして、遊泳スペースを確保するようにして植えると、エンゼルフィッシュにも優しく見ごたえあるアクアリウムに仕上がります。

 

また、エンゼルフィッシュは強い水流を嫌うので、フィルターやエアレーションのレイアウトは工夫してあげてください。

エンゼルフィッシュは国産と外国産どちらがいい?

基本的には国産のエンゼルフィッシュを選択することをおすすめします。なぜならば、外国産のエンゼルフィッシュは「エンゼル病(エンゼルエイズ)」と呼ばれる病気にり患している可能性が高いからです。

 

エンゼル病は致死率と感染力が非常に強く、治療法が確立されていないので発症すると致命的な事態に陥ります。潜伏期間は7~10日間と言われているので、気に入った個体が外国産だった場合、ショップに入荷してからの期間を問い合わせるのと同時に、当該個体をよく観察することでリスクを避けることが可能です。

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エンゼルフィッシュの餌

エンゼルフィッシュは食欲旺盛で、口に入る動物質のものであればなんでも良く食べます。肉食魚用に配合された人工飼料への餌付けも容易なので、餌の面で困ることはあまりないでしょう。

 

人工飼料を中心に、たまに冷凍のアカムシなどの生餌を与えると、健康的な生育が期待できます。餌は1日に1~2回、食べ残さない程度の量を与えてください。

エンゼルフィッシュの混泳

エンゼルフィッシュを含むシクリッド類は、一般的に縄張り意識が強く混泳には注意が必要です。

同種・近縁種の混泳

エンゼルフィッシュ同士の混泳

 

同種や近縁種との混泳は可能ですが、個体同士の相性による部分が大きいです。幼魚の頃は問題なく混泳出来ていても、成長するにしたがって縄張り意識を持つようになり、弱い個体を追いかけ回すようになるケースもよく耳にします。

 

同種や近縁種と混泳させる場合は、いじめが発生した際に隔離できる準備を整えておいた方が良いでしょう。

他種との混泳

ブッシープレコの画像

 

他種との混泳は相手を選べば可能です。混泳可能な魚種は基本的には遊泳層が重ならず、同じくらいの大きさの温厚な魚です。例えば、クリーナーとして定番のコリドラス類やプレコ類、ローチ類などが挙げられます。

 

ただし、プレコ類は中型以上のものは気性が荒く、エンゼルフィッシュの体表を舐めて弱らせてしまうので、小型のものに限ります。また、ネオンテトラなどのカラシン類も混泳が成功しやすい魚種です。

 

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しかし、サイズがあまりにも小さいとエンゼルフィッシュに捕食されてしまうので、混泳させる場合は十分に育った成魚に限定してください。

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エンゼルフィッシュの繁殖方法

エンゼルフィッシュの繁殖方法

 

エンゼルフィッシュの繁殖は比較的に容易で、環境さえ整えてあげれば飼育環境下でも産卵してくれます。ここでは繁殖の手順についてご紹介します。

ペアを作る

繁殖を行うためにはペアを成立させる必要があります。しかしながら、エンゼルフィッシュは見た目での雌雄の判別が困難なので、90cmクラスの水槽に5匹前後を投入し、自然にペアができることを期待しましょう。

 

ペアが成立すると他のエンゼルフィッシュを威嚇するようになるので、そのような行動が確認されたらペアを繁殖用の水槽に隔離してください。

産卵について

エンゼルフィッシュは野生下では水草などに卵を産み付けるので、産卵基質となるものを用意してください。産卵基質は水草や流木でも良いですし、パイプなどでも代用できます。

 

ペアが産卵を行ったら静かに見守りましょう。エンゼルフィッシュは両親が卵から稚魚の面倒を見てくれるので、この時期に飼育者が何かを行う必要はありません。

稚魚の育成について

卵は数日でふ化し稚魚が誕生します。誕生した稚魚は卵黄の栄養分で成長し、1週間ほどで養分を吸収し終え、親魚の周囲を遊泳するようになります。稚魚に餌を与えるタイミングは遊泳し始めてからで、餌はブライシュリンプがおすすめです。

 

稚魚は成魚よりも多くの栄養分を必要とするので、餌は1日に2回以上に分けて与えてください。生後1カ月もすれば親と変わらない姿へと成長するので、以降は親魚と隔離して飼育しても大丈夫です。

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エンゼルフィッシュが気をつけたい病気

エンゼルフィッシュの気をつけたい病気

 

エンゼルフィッシュの飼育において気を付けるべき病気は、前述したエンゼル病を除けば「白点病」や「エロモナス症」、「カラムナリス病」など、一般的な熱帯魚と同一です。

 

これらの病気は水質の悪化や水温の急変などが原因で、エンゼルフィッシュの免疫力が低下した際に発症しやすくなります。しかし、エンゼル病とは異なり有効な魚病薬が市販されているので、万一にも発症させてしまった時は、薬浴による治療を行ってください。

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エンゼルフィッシュはアクアリウム入門にも適した熱帯魚の代表種!

エンゼルフィッシュを飼ってみよう

 

エンゼルフィッシュは安価な個体が多く、丈夫な魚種なのでアクアリウムの入門にもおすすめできる魚です。また、独特のフォルムは鑑賞性も高く、長いひれをなびかせて優雅に遊泳する様は見ていて飽きません。

 

これからアクアリウムを始めようとしている方は、まずはエンゼルフィッシュの飼育に挑戦してみてはいかがでしょうか。

エンゼルフィッシュの飼い方