海水魚飼育を始めよう!必要器具や立ち上げ手順、飼育のコツなど

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海水魚飼育にチャレンジしてみよう!

海水魚の飼育にチャレンジ!

撮影:FISH PARADISE!編集部

海水魚の飼育は難しいと思っている方が多いですが、正しい知識を持っていれば、それほど難しくはありません。自分の管理できる範囲で、適した飼育設備を準備してげましょう。そしてなにより、海水魚を飼育するにあたって大事なことは魚を大切に思う心です。ぜひ、飼育する海水魚を大切に育ててください。今回はそんな海水魚飼育について詳しくご紹介していきます。

海水魚の飼育に必要な11の道具

まずは、海水魚飼育に必要なアクアグッズを紹介していきます。

水槽

熱帯魚を飼育する場合と、海水魚を飼育する場合において、水槽の種類はさほど変わりありません。飼育する目的や設置場所に合うかどうかを目安に探しましょう。淡水魚・熱帯魚飼育と同様に初心者はある程度の水量のある水槽の方が、水質が安定するので管理しやすくおすすめです。

ニッソー NEWスティングレー

1枚ガラスの90度曲げ加工により作成したガラス水槽です。曲げガラスはアクリルに比べて水槽の表面に傷がつきにくく、いつまでも綺麗です。

フィルター

フィルターには様々なタイプのものがありますが、魚メインの飼育の場合は、上部フィルターがセットも簡単で、水の流量も多ので扱いやすいと思います。デメリットとしては、サンゴの仲間の飼育が困難ということと、海水仕様が少ないということです。必ず、購入するときは海水で使用できることが明記されていることを確認してください。

 

予算が許す方は、外部フィルターや水槽をオーバーフロー式にするのがおすすめです。特にオーバーフローは濾過槽を大きく取るため、水質の安定化を図りやすいくなります。

GEX デュアルクリーン 600SP

淡水・海水の両方に使える低価格な上部フィルター。

ヒーター・クーラー

海水魚たちの健康を維持する上で水温の管理は非常に重要です。寒い季節は水温を上げるためにヒーター、サーモスタットを使用します。夏場の暑いときはクーラーを使用し水温を下げます。

 

ヒーターのW数の目安は、水槽サイズ30㎝で100W、45cmで150W、60cmで150W~200Wが目安になります。水槽用クーラーは冷却できる水量の上限が決まっており、適合水槽サイズや冷却可能水量などの表示を目安に、自分の水槽のサイズにあったクーラーを選ぶようにしましょう。

テトラ 25℃ダブルクールファン

2つのファンを備えた強力な水槽用クーラーで、サーモスタットも付いており、冷え過ぎを防ぎ、無駄に電気を消費しない機能があります。

照明

海水魚の魅力はなんといってもその色彩です。そしてその魅力を引き出す重要な器具が照明です。無脊椎を育てないのであれば、LEDライトで十分ですが、無脊椎をメインで育てるのであれば、メタルハライドライトなどの強力な照明が必要になります。

コトブキ フラットLED

LEDで値段もそこまで高くなく、初心者向きの照明です。

底砂

底砂とは、底に敷く砂のことです。底砂の役割は、見た目がよくなる。水槽のろ過能力が上がり、水質が安定します。海水魚水槽で使用する底砂は一般的には、サンゴ砂あるいはアラゴナイトサンドと呼ばれる砂のどちらかが多いです。

JUN プラチナリーフサンド

人工海水

人工海水とは、文字通り人工的に作った海水です。海水よりも劣っていると思われることもありますが、人工海水は病原菌、最近、寄生虫や汚れが含まれていないので安心です。含有されているミネラルの種類などで、様々な人工海水が販売されています。

 

マリンテックシーライフ

比重計

比重計とは、海水の塩分の濃度を測定するための器具です。海水魚に適切な比重があり、海水魚を飼育する上で非常に重要になってきます。海水魚を健康に飼育するために、比重計は欠かせない道具のひとつです。

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テトラ ハイドロメーター

カルキ抜き

水道水はカルキという魚にとって悪影響を及ぼす物質が溶けており、魚を飼育するにはこのカルキを中和しなければなりません。人工海水にはカルキを中和する成分が入っていることもありますが、海水濃度の調整にも使われるため必要な道具にです。

テトラ コントラコロライン

水温計

上記にもありましたが、水温の管理は非常に重要です。クーラーやヒーターを使って水温を調節を行いますが、実際の水温が分からなければ適切な状態であるかどうかわかりません。アナログとデジタル式があります。少し高価ですが、デジタル式が視認性がよくおすすめです。

ニチドウ マルチ水温計

餌には、乾燥フード(人工餌)、冷凍餌、生餌などの種類がたくさんあり、どのような素材を使っているかの違いもあり、実に様々な餌があります。乾燥フードは水を汚しにくいということと、手軽に餌やりができるのでおすすめで、多くの海水魚はこの乾燥餌に餌付いてくれます。ただし、海水魚の種類によっては、生餌しか食べないなどの種類もいます。

キョーリン メガバイト レッドS

水換え道具(バケツ・ホースなど)

水槽から水を出すにはサイフォンの原理を利用してホースで排水するのが簡単な方法です。バケツは大きいものを使用して、何回も洗面所、お風呂場を往復しないで済むようにすると楽です。

SUISAKU プロホースエクストラ

おすすめの海水魚飼育セット

おすすめの海水魚飼育に向いているセットをご紹介します。今回は、比較的小型の水槽セットをご紹介します。

飼育スタート水槽セット アクロ45

必要な器具が揃った初心者でも安心のフルセットです。

ニッソー 30cm水槽セット クリアスティングレーセットS

初めてでもすぐ観賞魚飼育が始められる水槽のセットです。上部フレームのない開放感のあるインテリア水槽です。

60cm水槽セット エーハイムグラス水槽 EJ-60 水槽台(黒木目)セット(外部式フィルター2213付属)

オールガラス60cm水槽と外部式フィルターに水槽台がセットになっています。

ジェックス グラステリア アグス OF-230

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十分なろ過能力と高性能のLEDライトを備えているので、淡水・海水問わず飼育が可能です。

テトラ  リビングキューブ 20 オールインワン水槽 淡水・海水用 容量20L

コンパクトなオールインワン水槽です。上面のガラスフタはスライド式で、魚の飛び出しや水の蒸発を抑えてくれます。

 

初心者におすすめの飼育しやすい海水魚5選

初心者でも比較的失敗しにくい、丈夫な種をご紹介します。

ハタタテハゼ

温和な性格で他の魚に攻撃することはありません。むしろ臆病な性格をしており、近寄ったり揺れたりすると隠れてしまいます。体も丈夫で病気に強く、安価でしかも綺麗で人気があります。

カクレクマノミ

体をくねらせながら泳ぐ姿や、オレンジとホワイトの鮮やかなコントラストは美しく人気が高いです。やや水質の変化に弱いですが、人工飼料もよく食べ飼育しやすいです。

マンジュウイシモチ

人工飼料もよく食べ、丈夫で飼育しやすいです。一定の場所でホバリングをよくしています。非常におとなしい種で、喧嘩の心配はありません。

小型スズメダイ

性格が荒いスズメダイですが、デバスズメダイは温和な性格をしていることが最大の特徴です。スプリンガーズダムセルはスズメダイの中では比較的温和ですが、一般的な海水魚で言うと普通くらいの気性です。

共生ハゼ

共生ハゼたちは丈夫で病気知らず、飼育は簡単です。中でもヒレナガネジリンボウは色彩もカラフルで温和な性格なのでどの海水魚とも組み合わせることができます。ほかにもギンガハゼ、ハタタテシノビハゼという赤と青のラメが入ったような美しい共生ハゼもいます。

海水魚の飼育水槽の立ち上げ〜日常管理

海水魚水槽の立ち上げから管理までを紹介します。うまくいくかどうかはじめは不安かもしれませんが、基本は淡水魚と一緒です。

水槽の立ち上げ(設置〜水作り)

海水魚飼育水槽の準備

撮影:FISH PARADISE!編集部

水槽を置く台は水槽専用のものを使用してください。水槽には海水や底砂が入りますのでかなりの重さになります。水槽を置く場所は、水平な場所、直射日光が当たらない場所がおすすめです。

水槽やフィルターを水洗いする

まず、用意した水槽、ヒーター、フィルターなど水槽の中に入れるものを水道水で洗います。洗剤は使用しないでください。

水槽・水槽台をセットする

洗った水槽が乾いたらバックスクリーンを張ります。水槽台に水槽を置きます。

底砂を敷く

水槽の底に敷く砂を水道水で洗います。強く洗わないで優しく洗ってください。洗い終わった後、水槽に砂を敷きます。厚さは1~2㎝程度であまりムラができないように敷きます。

ヒーター・クーラーを入れる

ヒーター、サーモスタット、を付属のキスゴムでしっかり固定する。ヒーターには専用カバーを付けて使用して魚がやけどするのを予防する必要があります。

海水を用意する

水槽に適量の水道水をバケツに入れ、水温をバケツの中で25度に合わせます。カルキ抜きを入れた水に、サーモスタットを使って温度を合わせます。水温が25度になったら、人工海水のもとを加え、ゆっくりかき混ぜながら溶かしていきます。さらに30分ほど放置し、かき混ぜたあとに比重をチェックし、適切なら人工海水の出来上がりです。

海水を入れる

いよいよ用意した水槽に、人工海水を入れていきます。この時、底砂の上にお皿を置きそこにに水を注ぐことで、砂が舞い上がりません。水はゆっくり足し入れましょう。

ライブロック・アクセサリーを配置する

準備したライブロック、アクセサリーを入れ、レイアウトします。底との設置面積は小さくなるように置くとといいです。コツとしては、小さめのライブロックを土台にして、大きいサイズのライブロックを底につかないようにレイアウトすると水の流れが良いレイアウトになりやすいです。

器具を設置する(フィルターなど)

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フィルターを説明書に従って組み立てろ材を入れます。水温計をキスゴムでしっかり固定します。

器具を動かす

フィルターの水位線まで水が入ったら、フィルターの中にも水を入れます。ここでフィルターの電源を入れ、運転させそのまま1晩置きます。

バクテリアを入れる

バクテリアは自然に発生していくものですが、海水は淡水に比べて濾過バクテリアが少ないとされています。必要に応じて、立ち上げ初期の補助としてろ過バクテリアを入れると良いでしょう。必ず海水用を使用するようにしてください。

照明を点ける

魚は入れていませんが、ライブロックには様々な生物が付着しています。光を必要とする生物も付着しており、それらを維持するために照明は点けておきます。8時間くらいが一般的な点灯時間です。

海水水槽の立ち上げは完了!

数時間後には濁っていた水も透き通ってきます。これで水槽の立ち上げは完了です。数日この状態で置いておき、ろ過バクテリアが定着するのを待つのが無難です。

パイロットフィッシュの導入

海水魚の飼育でパイロットフィッシュはいる?

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パイロットフィッシュは安くて丈夫な種類の生体を、数匹導入し水質のテスト・チェックをします。ここではパイロットフィッシュの役割を紹介します。

パイロットフィッシュってそもそも何?

新しく立ち上げた水槽では、ろ過バクテリアが定着していないため、ろ過が不十分です。このような環境の水槽に本命の魚を入れてしまうと、生体に有害なアンモニア等が分解されず、魚には厳しい環境となってしまいます。

 

そこで、ろ過が十分に機能していない新しい水槽にはじめに入れ、濾過バクテリアの餌となるフンなどを作り出す目的の魚をパイロットフィッシュといいます。厳しい環境にも耐えられ、かつ、万が一死んでしまっても金銭的なダメージが少ない魚がパイロットフィッシュに適しています。ちょっと可哀想と感じるかもしれませんが、パイロットフィッシュは海水魚飼育を成功させる上でとても大事になります。

パイロットフィッシュって本当に必要?

最近は、比較的簡単に良質なライブロックや海水を手に入れることができます。そのため、パイロットフィッシュを入れるまでも無く、立ち上げ時にある程度の環境が出来上がっているということから、パイロットフィシュは必要ないという見解もあります。しかし、水槽立ち上げ時には水質が不安定と思われるので、安全第一に考えると、パイロットフィッシュを使ってじっくり立ち上げるのを推奨します。

おすすめのパイロットフィッシュ

パイロットフィッシュには、安価な海水魚であるデバスズメダイがおすすめです。安くて丈夫で、スズメダイの特徴である気性の荒さも比較的ありません。また、安価で丈夫で見た目も綺麗で派手であるという点では、マンジュウイシモチもおすすめです。

パイロットフィッシュの導入方法

魚の入った袋の水温を水槽の水温に合わせます。袋のまま水槽に浮かべ、そのまま30分程度放置します。その後、袋の口を開けて水温を計ります。水槽と袋の水温が大きく違う場合は、もうしばらく袋を浮かべたまま様子を見ます。

 

温度差がなくなってきたら、袋の中身をバケツに移します。袋の中の海水と、水槽の海水の比重を測定し、比重差が0,002以上ならバケツの水を半分捨てて水槽内の海水をゆっくりと半分程度足します。比重差がなくなるまで10分おきにこれを行います。温度と比重が合えば魚を網ですくい水槽に移します。

生体の導入

海水魚の飼育は難しい?

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水槽の中を彩る生物を選ぶことは非常に楽しいです。ここでは魚選びのポイントや注意点を紹介します。

海水魚を購入する

海水魚を購入する際に気を付けることは病気の魚を購入しないことです。ポイントは目です。目が透明で濁っていない海水魚を目安に選んでください。次にヒレが溶けていないか見るようにします。最後に、泳ぎ方が水面付近で頭を上げたまま泳いでいたり、底のほうでじっとしていない、元気そうな魚を選ぶようにするといいでしょう。

海水魚運搬の注意点

魚は、急激な温度変化には弱いです。購入後はビニール袋に魚を入れてくれますが水量がかなり少ないので、温度変化も著明に現れます。対策としてクーラーボックスや発泡スチロールなどに入れ、水温が変化しにくいようにします。購入時にお店では酸素を袋内に注入してくれますので、酸素は大丈夫ですが、袋の中に長時間入れているとストレスもかかり、水質も悪くなりますので、できるだけ早く運搬しましょう。

はじめは温度合わせを行う

パイロットフィシュの温度合わせと同様に行います。

次に水合わせを行う

こちらもパイロットフィシュの際と同様に行います。

海水魚導入はこれで完了!

魚を入れてからはじめのうちは、魚の状態やほかの魚に攻撃されないか見守りましょう。

もっと、海水魚を増やしたい場合は

魚を増やすには、しっかり水質チェックを行い、水槽のろ過能力がしっかり機能しているか確認する必要があります。今いる魚との相性も考えながら増やしていくのが基本です。

 

魚を増やしてからも水質をチェックし、水槽のろ過能力が飼っている魚の量に見合っているか確認します。もし、ろ過能力が不足しているようなら、水換えをこまめにしつつ、外部フィルターサイズ大きくするか追加したりしましょう。

立ち上げ後の日常管理

海水魚の飼育は難易度が高いと思われがちですが、毎日の世話を愛情をもってしっかり行えば意外と簡単です。

海水魚の状態をしっかりとチェックすることが重要

魚は話すことができないので飼育者がしっかり観察し、早く異常に気づいてあげることが重要です。特にエサやりの時は魚の動きがよくわかりますので、食欲や動きの観察をよく行い、いつもと違うと感じたらまずは水質を確認することをお勧めします。また、ほかの魚にいじめられて弱っている魚はいないかなども観て、そのような魚がいる場合は仕切り等をして隔離し、回復するまで待つ必要があります。

定期的な水換え・掃除は欠かさずに行う

水質キープや水質浄化のための商品はたくさんありますが、やはり、水をきれいに保つには水換えが一番有効な手段になります。定期的に行うことで生物への負担も少なくなります。水換えの際のポイントは新しく作る海水と古い海水の温度を合わせておくことと、新しい人工海水は透明になるまで成分をしっかり溶かしておくことです。大変と思われがちな水換えも定期的に少量ずつ行えば、手間はかかりません。

海水魚飼育のコツ

海水魚飼育のコツは?

撮影:FISH PARADISE!編集部

海水魚飼育と淡水魚飼育で最も違うポイントは水質環境です。淡水と比べ、海水は、酸素の含有量が低くさらに酸素が溶け込みにくいです。海水魚は酸素の消費量が淡水魚に比べると多いです。また、ろ過に重要なバクテリアは淡水では比較的早くバクテリアが増えますが、海水の場合は、バクテリアが増えるのに長い期間が必要になります。

 

よって、海水魚の場合は、淡水魚の飼育よりも機能性の高いろ過器を準備して管理する必要があります。水槽立ち上げ初期は水質が安定するまで毎日水質チェック、温度チェックをして定期的な水換えを行うことが重要です。

しっかりした準備で楽しいアマリンクアリウムライフを

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自然の色とは思えないほど極彩色が魅力の海水魚たちは見ているだけで、気持ちが癒されますね。海水魚を飼育するにあたって、なによりも必要なことは魚を大切に思う心です。大切な魚の健康を維持し、その鮮やかで美しい色彩を楽しむために重要なのは日々の健康管理です。

 

毎日の世話の中で魚の体調をよく見て、知っておくことが基本の基本です。海水魚を飼育するために準備するべきことや準備する道具についてご紹介させていただきました。読んでくださった方の力に少しでもなれば幸いです。

海水魚飼育の基本を解説!