外部フィルターの特徴
撮影:FISH PARADISE!編集部
外部フィルターは水槽の外側に設置して使用するタイプのフィルターです。大抵の外部フィルターはポンプと濾過槽が一体化していて、そこから伸びるホースを水槽に入れ、出水と吸水を行います。外部フィルターの濾過槽内部には層が分かれていたり、フィルターパッドで仕切ったりする事ができ、物理濾過と生物濾過を行うことができます。外部フィルターは小型水槽から大型水槽まで幅広く使用されています。
外部フィルターのメリット
外部フィルターのメリットについて確認しておきましょう。
ろ過能力が高い
外部フィルターを使用する場合の多くは、ろ過能力の高さが理由です。外部フィルターは他のフィルターに比べ、ろ材の収容量が大きく高いろ過能力が得られます。特に生物濾過の能力はとても高く、多孔質のろ材などと組み合わせるとろ過能力の効率化を図ることができます。
水槽内がスッキリする
外部フィルターは水槽外に本体を設置するため、外掛け式フィルターや投げ込み式フィルターのように水槽内に設置するものが少なく水槽内をスッキリさせることができます。水槽内に水槽がどんなに素敵なレイアウトでも、余計な人工物が多すぎてはなんだか残念なものです。できるだけ水槽の中をスッキリとさせたい場合は、外部フィルターがおすすめです。
音が静か
出典:Pixabay
外部フィルターのメリットとして、音が静かであるという点も挙げられます。シャワーパイプなどを使った場合は別ですが、水中に排出ホースを設置して入れば、投げ込み式フィルターのようなブクブク音などはありません。
二酸化炭素を逃しにくい
上部フィルターや外掛け式フィルターは、水が空気に触れる面積が大きく二酸化炭素を空気中に逃しやすくなっていますが、外部フィルターは空気と触れる面積が小さく二酸化炭素を逃しにくいのも特徴です。
外部フィルターのデメリット
メリットと同時に外部フィルターのデメリットも確認しておきましょう。
場所を取る
外部フィルターは水槽の外に本体を設置するため、他のフィルターに比べると場所をとってしまうというデメリットがあります。設置場所に余裕がなく、外部フィルターほどのろ過能力が必要ない場合は、上部フィルターや外掛け式フィルターの方が良いでしょう。
価格は高め
他のフィルターに比べると、外部フィルターはやや値が張る点もデメリットと言えます。ですが、フィルターは一度購入すれば何年も使用できますので、価格だけでは決めずにしっかりと考えて購入することが大事です。
外部フィルターの選び方
外部フィルターを選ぶ上でのポイントも押さえておきましょう。
水槽サイズ
まずはじめにチェックする必要があるのは水槽のサイズです。外部フィルターはそれぞれ適合水槽サイズ(水量)が定められています。水槽のサイズにあった外部フィルターを使うことで、最適なろ過能力が得られますので、適合水槽サイズは必ずチェックしておきましょう。
飼育魚の種類
どんな飼育魚を飼育するのかによって、最適な外部フィルターは異なってきます。肉食魚やプレコのような水を汚し安い魚などには、水槽サイズよりもワンランク大きな外部フィルターがおすすめです。
また、水流を嫌う魚に対しては、流量調節機能がついた外部フィルターを選ぶと良いです。流量調節機能がついていないものを購入する時は、シャワーパイプなどを使って水流を弱めてあげると良いでしょう。
飼育魚の匹数
外部フィルターを選ぶ上で、水槽で飼育する魚の匹数もポイントになります。飼育数が多くなればなるほど水質悪化のスピードは早くなりますので、より大きなろ過能力が必要になります。基本的には、換水で対応する必要がありますが、少しでも換水の頻度を下げたいというのであれば、ワンランク上の外部フィルターを選ぶと良いでしょう。
メーカー
外部フィルターは各メーカーから発売されています。メーカーによってデザインや価格も様々ですので、自分の好みで選ぶのがいいと思います。また、オプションパーツの種類なども注目して選ぶと、後々になってこうしたい、ああしたいなどという時に対応できます。
外部フィルターが向いている水槽・向いてない水槽
実際に外部フィルターを使う際にはどのような水槽に向いている・向いていないのでしょうか。
向いている水槽
出典:Pixabay
外部フィルターが向いている水槽は水量が大きく、大型魚や飼育数の多いタイプです。高い生物ろ過が必要になるような環境では外部フィルターは大きな効果を発揮してくれます。
また、二酸化炭素が必要な水草を育成している水槽にも外部フィルターはおすすめです。アヌビアスナナなどの丈夫な陰性水草ではあまり関係ありませんが、リシアなどの二酸化炭素を多く必要とする水草水槽には外部フィルターを推奨します。
向いていない水槽
強い流れが苦手な小型魚には外部フィルターはあまり向いていません。また、小さな水槽に大きな外部フィルターを使うのも好ましくはありません。水槽に対して外部フィルターのサイズが大きすぎると、いわゆる洗濯機状態と呼ばれる流れが強すぎる環境になり、魚が疲れてしまうこともあります。小型水槽に外部フィルターを使うときは小型水槽用のものにしましょう。
おすすめの人気外部フィルター14選
おすすめの外部フィルターを一挙ご紹介します。自分の飼育スタイルに合わせて最適なものを選びましょう。
エーハイムの外部フィルター
エーハイムは外部フィルターの定番メーカーです。シンプルな構造で丈夫なのが魅力です。
エーハイム クラシックフィルター 2213
超定番の外部フィルター。シンプルな構造でパーツも豊富なので、初心者にもおすすめです。
テトラの外部フィルター
テトラの外部フィルターは角のない滑らかなデザインで、おしゃれな部屋にもマッチします。機能も他者メーカーと遜色ありません。
テトラ バリューEXフィルター VX90
プレコやオスカー、ポリプテルスなどには90cm水槽クラスのこの外部フィルターがおすすめです。
コトブキの外部フィルター
コトブキの外部フィルターは低価格が魅力的で、デザインもとても先進的なのが特徴です。呼び水機能も基本的には付いています。
コトブキ パワーボックス SV450X
小型水槽にはこちらがおすすめです。海水にも使用できます。
ジェックスの外部フィルター
ジェックスもコトブキと並んで比較的低価格な外部フィルターが多い印象です。デザインは丸みを帯びているのが特徴です。
ジェックス メガパワー6090
60cm水槽におすすめなサイズです。丸いデザインもいいですね。
スドーの外部フィルター
スドーの外部フィルターは小型でろ過能力が高いのが特徴です。複数のろ材やスポンジフィルターをセットできます。
外部フィルターを使用する際の注意点
外部フィルターを使用する際に注意すべき点をまとめてみました。
物理ろ過には頼りすぎないように
肉食魚やプレコなど水を汚しやすい魚に向いている外部フィルターですが、大量のフンや食べかすなどはすぐに外部フィルターの目詰まりを起こしてしまいます。外部フィルターは頻繁に本体を開けてメンテナンスするのは意外と大変です。物理ろ過に関しては外部フィルターに頼りすぎず、吸水口にはスポンジをつけるなどしてフンを吸い取らないようにして、水槽内のこまめな掃除で対応することをおすすめします。結果的にそれが外部フィルターのメンテナンス頻度を少なくし、水質を安定させることに繋がります。
設置する高さにも注意しよう
外部フィルターは基本的には水槽底面よりも低い位置に設置して使用する必要があります。低い位置で使用しないと、エア噛みが頻発したり、ちゃんと吸い上げてくれなかったりとトラブルの原因になります。説明書通りに使用しないと保証ん対象外となってしまいますので、注意しましょうね。
外部フィルターのメンテナンス方法
外部フィルターのメンテナンス方法の基本をご紹介します。長く使って行けるように定期的なメンテナンスは重要です。
①外部フィルターのコンセントを抜く
まずは、外部フィルターのコンセントを抜いて電源を落としてください。コンセントが刺さったままだと、水が吹き出すなどの事故になりかねません。
②パイプなどを取り外す
次は吸水・排水パイプをホースからとってバラしていきます。この時ホースなどに残った水が溢れることがあるので注意しましょう。
③中のろ材を洗浄・スポンジパッドを交換する
本体を開け、内部のろ材やスポンジパッドを洗浄します。ろ材を洗う際は、繁殖したバクテリアを殺してしまわないように、フィルターに残った飼育水ですすぐようにしてあげると良いです。スポンジパッドは使っているとへたってきますので、頃合いを見て交換してあげてください。
④必要に応じて消耗部品を交換する
必要に応じてパッキンのゴムやインペラなども交換してあげてください。特にパッキンの劣化は水漏れの原因となりますので、早めの交換を推奨します。
⑤パイプやホースの汚れを掃除する
パイプやホースなどの汚れもついでに掃除してしまいましょう。歯ブラシやスポンジなどでもいいですが、奥の方の汚れは針金の柄が長い専用ブラシが売られていますので、それを使うと掃除が楽です。
➅順番に組み立てて完成!
最後は正しく順番に組み立ててセットすれば完成です。飼育環境にもよりますが、2~3ヶ月に一度は外部フィルターのメンテナンスをしてあげると良いと思います。
外部フィルターに入れるろ材はなにがよい?
外部フィルターのろ過層は物理ろ過のスポンジフィルターと生物ろ過のろ材で構成されています。また、不純物の吸着には活性炭などを入れる場合もあります。特に生物ろ過用のろ材は沢山の種類がありますが、初心者にはセラミックのリングろ材が安価で扱いやすくおすすめです。外部フィルターにはろ材がセットになっているものもありますので、外部フィルターを初めて使用する方は、そちらもおすすめです。
外部フィルターの電気代ってどれくらい?
出典:Pixabay
外部フィルターの電気代ですが、フィルターの消費電力によって異なります。基本的には20~30W前後の外部フィルターが多く、外部フィルターは24時間回しっぱなしとなることから、1台当たり数百円ほどになります。大型水槽用の外部フィルターでも1000円程度と思ったよりも電気代は安く済みます。(地域によっても電気代は変わってきますので、詳しくは使用地域の電気料金を合わせてご確認ください。)
外部フィルターは酸欠になる?エアレーションの必要性は?
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外部フィルターは他のフィルターに比べると酸素を巻き込みにくいため、場合によっては酸欠を起こします。水槽サイズや飼育数などにもよるため一概には言えませんが、夏場などは魚よく観察し、必要であればエアレーションを行ってあげたり、スキマーを使ってあげると良いです。また、シャワーパイプなどを使い、水面よりもパイプを上部に設置して酸素を供給する方法もあります。
水槽サイズや外部フィルターのサイズが大きくなればなるほど、中に生息しているバクテリアの数も多くなります。バクテリアも排泄物や食べ残しを分解する際に酸素を使用するということも覚えておいてください。
外部フィルターは自作できる?
ポンプなどを使って外部フィルターを自作している方もいます。塩ビパイプやタッパーなどの容器を本体として中にろ材を詰めれば外部フィルターとしても役割を持たせることができます。ただし、水漏れ対策やメンテナンスのしやすさも考えて作らなければなりません。水漏れ事故を起こしては大変なので、初心者の方は既製品の使用をおすすめします。
自作の際には、リオポンプなどを駆動ポンプとして使うと良いでしょう。サブフィルターとしての使用であれば、使用している既製品の外部フィルターと連結させることで使用できますが、メインの外部フィルターのモーターにも負担を与えるなどの可能性もありますので、よく考えて使用しましょう。
特性を理解して外部フィルターを使おう!
外部フィルターは特性を把握して使用すれば、メリットも大きくとても優れたろ過装置となります。しっかりとメンテナンスをしながら使っていけば長期間高いろ過能力を維持できますので、愛着を持って使ってあげてください。必要に応じて他のフィルターやグッズと組み合わせれば、さらに快適にアクアリウムを楽しむこともできると思います。ぜひ、外部フィルターを上手に使ってみてください。