カージナルテトラについて

カージナルテトラは鮮やかな色彩と、丈夫で飼いやすいことから観賞魚として非常に人気の高い種類です。まずは、カージナルテトラとはどんな魚なのかを紹介していきます。
特徴
カージナルテトラはカラシン目カラシン科に属する淡水魚です。原産地はアマゾン川やオリノコ川などの南米の河川ですが、現在では観賞魚として世界中で親しまれています。 カージナル(cardinal:深紅の)という名の通り、鮮やかな赤色のラインが特徴的です。
寿命
カージナルテトラの 寿命は一般的に2~3年と言われています。ただし、上手に飼育してあげれば5年近く長生きする場合もあります。カージナルテトラは比較的丈夫な魚なので、初心者にも飼いやすく、アクアリウムの入門生体としても最適な種類です。
寿命については飼育環境や餌の与え方などによって大きく変わってきます。
ネオンテトラとの違い

カージナルテトラと非常によく似た種類にネオンテトラがいます。この2種は 体側面の赤色のラインの長さを見れば簡単に識別可能です。
カージナルテトラは尾から頭まで全体にわたっているのに対し、ネオンテトラは尾から体の半分程度までとなっています。また、カージナルテトラは最大で体長4~5㎝、ネオンテトラは最大でも3~4㎝ほどと、カージナルテトラの方がやや大きく成長します。
カージナルテトラの飼い方

カージナルテトラはかなり飼いやすい部類ですが、いくつかの点に注意して飼育することで、より健康に長生きさせることができます。
水槽・フィルター
カージナルテトラは非常に臆病な性質のため、単独で飼育すると物陰に隠れてしまい魚体にもストレスがかかってしまいます。従ってカージナルテトラは、見栄えという意味も含めて基本的に同種で群泳させることが多いです。
最低でも10匹はいた方が良いので、水槽も45㎝サイズは用意したいところです。60㎝水槽であれば、30~40匹の大群でも飼育可能ですし、水量が多いことで水質も安定させやすいので、初心者はできるだけ大きめの水槽を選ぶとよいでしょう。
フィルターは飼育する水槽サイズにと匹数に会ったものであればどのタイプでも問題ありません。ろ過能力が高い上部フィルターや外部フィルターが特におすすめです。
水温・水質
カージナルテトラの適正水温は24~28℃ですが、急激な水温変化さえなければ幅広い水温に耐えることができます。とはいえ、本来は熱帯性の魚なので、冬場には必ずヒーターを設置してあげましょう。
水質は原産地の水質が弱酸性のため、ph6.5~7くらいの弱酸性〜中性付近が最も飼育しやすいです。ただし、実際のところ水質への適応性も高く、サンゴ砂といったphに大きな影響を与える砂などを使わなければ、そこまで神経質に考えなくとも問題ありません。
餌
カージナルテトラは口が小さいので、与えるエサも小型の顆粒タイプやフレークタイプが適しています。小型魚全般向けの飼料を選べば、選り好みすることもなくモリモリ食べてくれます。高栄養価なアカムシなどもたまに与えてあげると喜びます。
底砂
カージナルテトラは弱酸性の軟水の水質を好みますので、アルカリ性に水質を傾けてしまう底砂は適していません。大磯砂は使用してすぐはアルカリ性に水質が傾きますが、時間が経つと水質に影響を与えなくなるので、phが安定してきたらおすすめです。田砂も粒が細かく、水槽を明るく演出できるため人気があります。
水草がメインの水槽ではソイルを使用することが多いですが、ソイルはカージナルテトラが好む水質に安定させる効果もあるため、使用することができます。
カージナルテトラの混泳相性

カージナルテトラは比較的温和な性格なので、他の種類の熱帯魚と混泳させることができますし、同種同士の飼育も問題ありません。カージナルテトラと混泳させる場合は、 同じ小型カラシン類、ラスボラなどの小型魚、また、コリドラスやオトシンクルスなどの遊泳層が被らない魚などが適しています。
カージナルテトラが口に入るサイズの大型魚には食べられてしまう恐れがあるので、混泳は避けた方が良いでしょう。また、グッピーなどのヒレの長く泳ぎがゆっくりの小型魚の場合、ヒレをカージナルテトラにつつかれてしまう場合もありますので、注意が必要です。
カージナルテトラは泳ぎも早く、他の魚から攻撃されることは少ないですが、カージナルテトラが口に入ってしまうような中型魚・大型魚との混泳は避けましょう。
カージナルテトラの繁殖方法
カージナルテトラはネオンテトラ同様稚魚が非常に小さく、繁殖は難しい部類とされています。カージナルテトラを繁殖させる場合、水質を弱酸性に調整すると産卵が誘発されるようです。
雌雄の判断も難しいため、ある程度まとまった数を飼育し成熟するまで飼い込みましょう。メスの方がオスよりも丸みを帯びているのが特徴です。
受精がうまくいけば24時間程で孵化しますが、稚魚の育成が最も大変です。生まれた稚魚の初期飼料にはインフゾリアを与え、成長に従ってプランクトンの生きエサ、または冷凍のものを与えるようにしましょう。
水質の急激な変化に気をつけましょう。また、光量を抑え気味にするのも繁殖を成功させるコツです。
カージナルテトラで気をつける病気と治療法
カージナルテトラを飼育していると稀に病気にかかってしまうことがあります。毎日しっかり健康状態をチェックし、異常があればすぐに隔離して治療を行いましょう。
カラムナリス症
カラムナリス症にかかると患部が白く、腐ったように見えます。発症部位により「尾ぐされ病」や「口ぐされ病」などとも呼ばれます。軽症の場合は薬浴することで治療できますが、重症になると死亡率が高くなるので、早期発見が重要です。
魚体に外傷があると感染しやすくなるので、ヒーターにカバーをかけたり、攻撃性の強い魚との混泳を避けるなどして対策しましょう。
白点病
白点病にかかると魚体に白い斑点が出て、体を石や流木などにこすりつけたり呼吸困難を引き起こすこともあり、重症化すると死亡してしまう可能性もあります。白点病にかかった場合は、水温を28~30℃程度の高温に保ち、薬浴や塩浴などで治療します。
体をこすりつけることで傷ができ、カラムナリス症を併発することもあるので、注意が必要です。
ネオン病
ネオン病はカージナルテトラの近縁種であるネオンテトラでよく発症する病気ですが、カージナルテトラでも発症することがあります。症状は患部が白くなった後出血し、最悪死んでしまいます。原因菌はカラムナリス症と同じなので、同様の対策を立てましょう。
カラムナリス症と同様の薬浴により治療することが可能です。
カージナルテトラを飼育してみよう!

出典:Pixabay
丈夫で、性格も温厚なカージナルテトラは熱帯魚初心者の入門にもおすすめの生体です。水槽内で数十匹のカージナルテトラが群れる姿は壮観で、水槽を彩り鮮やかに演出してくれることでしょう。
水槽に何を入れようか迷っているあなた、最初の1匹として是非カージナルテトラを選んでみてはいかがでしょうか。