【プロが解説】ピンポンパールの飼育法!難しい理由や寿命、価格など

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ピンポンパールとは

ピンポンパールとは

 

見る人によっては奇抜にも見えるピンポンポンパールですが、その独特の見た目から、金魚飼育初心者や熱帯魚愛好家にも好まれやすい品種でもあります。今回は、そんなピンポンパールの特徴や飼い方、注意するポイントなどを見ていきましょう。

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ピンポンパールの特徴

ピンポンパールは、腹部が丸く横に張り出した、 珍珠鱗(ちんしゅりん)のショートボディタイプの金魚です。そして最大の特徴は、パール鱗という独特の鱗を持っている点です。その鱗は名前の通り、真珠(パール)のような鱗に見えます。

 

元々は中国金魚の珍珠鱗をルーツとして、タイ、マレーシアでピンポンパールが作出され、日本にも大量に輸入されていますが、現在では日本国産のピンポンパールも多く流通しています。ピンポンパールにも、真ん丸体型から珍珠鱗よりの若干長め体型まで差異があることから、自分好みの個体を選ぶ楽しみもあります。

ピンポンパールの寿命

ピンポンパールの寿命は、 5~10年ほどと言われていますが、これは飼育環境や飼育法、個体差などにより違ってきます。

 

生き物に共通することですが、若い成長期を過ぎてしばらくすると、どうしても病気などのトラブルが起こりやすくなる点には注意です。この手の丸手に改良された金魚は、いかに老化させないようにするかがポイントと言えます。

ピンポンパールの値段

ピンポンパールはサイズによって価格が変化します。よく流通する 小さめの個体であれば1000円前後から流通しており、初心者でも手を出しやすい価格です。

 

また、色・模様によっても若干価格が違ってきます。ピンポンパールも販売サイズが少し大きくなってくると、価格が跳ね上がる部類の魚なので、初心者は小さめ個体からスタートするのがいいかもしれません。

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ピンポンパールの種類(品種)

ピンポンパールの代表的な種類をご紹介します。

ピンポンパール

ピンポンパールには色模様のバリエーションがあります。素赤(素赤)・白(しろ)・更紗(さらさ)・キャリコ・虎(とら)・フナ色などが流通します。そのなかでも多く流通するのは素赤・白・更紗で、次いで虎やキャリコとなります。白はミルクと呼ばれることもあります。

出目ピンポンパール

ピンポンパールの出目タイプで、目が突出するピンポンパールです。この出目ピンポンも先程の色模様のバリエーションがあります。ちなみに先程の説明にあったフナ色は、退色前の小さな個体で見ることができます。ただし親魚の種類のよっては、成魚になってもフナ色のまま退色しない個体もいます。

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ちょうちんパール

一見するとピンポンパールに見えますが、見ると尾ビレの形が違います。ちょうちんパールの場合、尾ビレがフナ尾になっています。こちらも先程の色模様のバリエーションがあります。フナ尾であるぶん、ピンポンパールより動きがキビキビと感じます。ちなみに虎色は、退色してしまって虎模様を保てない個体がほとんどです。

出目ちょうちんパール

ちょうちんパールの出目バージョンです。珍しいので、なかなか流通しません。こちらもピンポンパールと同じように色模様のバリエーションがあります。

ロングテールピンポンパール

流通は稀で、まず見かけることはありません。普通のピンポンパールはショートテールの三ツ尾・四ツ尾が主ですが、こちらはロングテールと珍しいです。

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ピンポンパールは弱い品種なの?初心者には難しいって本当?

ピンポンパールの飼育は難しい?

 

ピンポンパールに限らず丸い体型に改良された品種は、そうではないフナ体型の金魚に比べたらトラブルは起きやすいのは事実です。それは普通ではない体型に改良されているので、しょうがないことなのです。

 

しかし、 個体選びでその難易度も変わります。例えば、東南アジア産の個体などより、国産の方が少なからず寒さへの慣れで勝っていると考えられます。また、体型が真ん丸なものほど将来的に転覆病になりやすいので、それが心配なら真ん丸個体を選ばないことです。

 

特にピンポンパールだから難しいということはありませんので、興味を持ったら飼ってみましょう。

ピンポンパールの飼い方の基本

ピンポンパールには特別な飼育環境が必要なのかどうか、気になるところを確認しておきましょう。

あわせて読む:  らんちゅう水槽の選び方とサイズ別ラインナップ!上手に育てるコツは?

水槽

ピンポンパールはその体型や泳ぎ方から、 30㎝水槽のような小さめの水槽からでも飼育可能です。しかし、水質維持の事を考えれば、水槽はなるべく大きい方が水量が入るのでおすすめです。どれくらい管理に手間をかけられるか、ピンポンパールをなるべく大きくしたいのかなど、ご自身の都合や目的によって水槽サイズを考えましょう。

 

水量が少ないと水換えが頻繁に必要になりますし、ピンポンパールも大きくは成長しません。匹数も飼いたければ、なおさら水槽が小さい管理が大変なためおすすめしません。アクアリウムの基本と言われる 60㎝規格水槽(60×30×36・約60ℓ弱)を基準に考えるのがいいでしょう。

フィルター

フィルターは、投げ込み式フィルターやスポンジフィルターのみでも飼育できますが、小型水槽であれば外掛け式フィルター、45㎝以上の水槽であれば外掛け式あるいは上部式フィルターなどが扱いやすいと思います。

ただし、投げ込み式にしろスポンジにしろ外掛け式にしろ、水槽が小さいと水流の影響を受けやすいので、その点を踏まえて水槽サイズを選ぶ必要があります。特にピンポンパールは泳ぎがあまり上手ではないため、強い水流が苦手なので注意が必要です。

 

水流調整ができるフィルターであれば、場合によっては水流を絞ってあげることができるため便利です。

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ヒーター・水温計

水温計は何でも構いませんが、見やすく正確なものがおすすめです。

ヒーターも設置してあげた方がピンポンパールは確実に飼育しやすくなり、これは全ての金魚の飼育に言えることです。現在のサーモスタットは35℃まで調整できるものが主流になっているので、そういうものを使っていれば1番いいでしょう。

 

もし金魚ヘルペスを発症した場合、サーモスタット付きヒーターなら34℃まで水温を上昇させる必要があります。そこまでこだわらなければ、温度固定タイプのヒーターでも構いません。熱帯魚用26℃固定、金魚用18℃固定、どちらでも通常飼育する上では問題ありません。

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底砂材

底砂は、敷く・敷かないで、それぞれ長所・短所があります。 掃除など管理のしやすさ重視なら、底砂は敷かないベアタンク方式にしましょう。ベアタンクであれば水底に落ちたフンなどが見えるので掃除がしやすくなります。また、底砂掃除が必要ないぶん、掃除の手間も軽減されます。

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底砂を敷いた場合の長所は、 ガラスの反射が無くなるぶん、ピンポンパールが落ち着きやすくなります。また、 底砂にも濾過バクテリアがつくことで水質が不安定になりにくくなるというメリットもあります。

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注意としては、底砂掃除が不足すると、長所が短所になってしまうという点です。水質安定につながるはずの底砂が汚れの溜まり場となり、ひいては汚れの発生源になってしまいます。これらを踏まえて、自分にあった方法を選択しましょう。

その他用品

室内で水槽飼育をするなら、ライト(照明)は必要です。ライトを規則正しくオン・オフするだけで、ピンポンパールの体調維持が変わってきます。生き物ですから光は重要なのですが、ライトを規則正しいことが大事なポイントとなります。

ライトを使用する際は、 タイマーを使うと自動で同じ時間にオン・オフをしてくれるため、より管理が楽になります。タイマーを使うことで、ピンポンパールも起きる時間と寝る時間を覚えます。それによって体内時計も安定して働き、それがピンポンパールにストレスをかけないことにつながります。

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ストレスは病気の元なので、いかにストレスをかけないかが重要になります。ちなみに、あまり水換えができないという人は、pH測定器を使って水換えのタイミングを知るようにすれば、必要最低限の水換え回数で済ませることもできます。

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ピンポンパールの餌

ピンポンパールにおすすめの餌は、金魚用の餌はもちろん、冷凍赤虫や熱帯魚用ドライフード、海水魚用のドライフード、モイストフード(水分量が多い餌)など消化の良い餌です。

 

例えば、ドライフード1つをとっても色々なものがありますが、その餌によって大きな特徴がある場合があります。それは言い換えれば「クセ」のようなものだったりするので、使い方を熟知しておかないと悪影響を与えるケースもあるため注意が必要です。

 

ドライフードを例に挙げると、水を吸うと大きく膨らむドライフードなどがあります。そのようなドライフードの場合は、事前に水をドライフードに吸わせてから与えるなど気を配るようにした方がいいでしょう。

 

ピンポンパールを大きく成長させたい場合は栄養価の高い餌が良いとなりますし、消化に負担がかからないようにしたいなら栄養価の低い餌が良い、というのが選び方の基本となります。

 

モイストフードというのは水分量の多い餌のことで、普段は冷凍庫に入れて管理します。水分量が多いため消化吸収が良く、餌を与えることができる回数も増えるため、ピンポンパールをより大きくするのに向いています。

以下は海水魚用の餌ですが、ピンポンパールをはじめとした、金魚にもおすすめの餌です。

ピンポンパールの飼育のコツ

ピンポパールを飼育する上でのコツをまとめました。以下の点に注意して、元気で健康的なピンポンパールを育てましょう。

なるべく広い容器で飼育する

魚を飼育する場合は、基本的には水量が大事になるのですが、 ピンポンパールの場合は深さはあまり必要ありません。ただし、泳げる面積を気にしてあげましょう。なるべく面積が広い容器で飼育するのがポイントです。

 

面積を稼ぐとなると、らんちゅう飼育のようにトロ舟が向いています。水槽であれば、なるべく大きな水槽を選んであげましょう。

少ない匹数で飼育する

これは容器の大きさ次第で匹数も違ってくるのですが、とにかく 広々と飼育することがポイントです。ピンポンパール自体は一般的な30㎝小型水槽から飼育可能ですが、それでは、たとえ1匹飼育だろうと狭いのです。

 

少ない匹数になるバランスを保つよう、ピンポンパールの成長に合わせて容器のサイズをアップするか、匹数の間引きをするとよいでしょう。

餌を多く与えて飼育する

給餌量が多いほうがピンポンパールも大きくなります。ただし、一度に多量の餌を与えることは色々なトラブルが起こるリスクがあります。理想は、 少量給餌を1日に何回もすることです。

 

外で働いている人は、与えることができても1日に2~3回の給餌だと思いますが、フードタイマーを使う方法もあります。

あわせて読む:  金魚は水草を食べる?相性の良い種類と導入のメリットとは

水換え頻度を多くする

水換え頻度を多くすることでピンポンパールの新陳代謝も促され、魚体の成長に大きく影響します。給餌量も多くなれば、水質維持のために必然的に水換え頻度も多くなるというものでもあります。

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一度に半分以上など大量水換えをする場合は魚体に負担がかかって余計なエネルギーも使うので、 大量水換えをする場合は一晩汲み置いた水を使うのがポイントです。

水温は高めに設定する

金魚は通常20℃くらいの水温が適当ですが、 成長を促進するには25~30℃程度の高めの水温がいいです。水温を高めに設定して飼育することでピンポンパールの食欲が促進されて、よりの餌を食べてくれますし、消化も促進される結果、給餌回数のアップにもつながります。

 

ただし、このような結果水質悪化しやすいので、頻繁に水換えしましょう。

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ピンポンパールの混泳

ピンポンパールは泳ぎが苦手なため、混泳にも注意が必要です。

体型の違いには気をつける

ピンポンパールはまんまる

 

ピンポンパールのような丸手(丸い体型)の金魚の場合、長手(長い体型)の金魚に比べて泳ぎが苦手です。そのような体形の違う金魚同士の混泳をする場合は、観察を怠らないようにしましょう。

 

異変を感じたら隔離するなどして、混泳を中止する必要もあります。

癖のある個体には気をつける

ピンポンパールの混泳

 

ピンポンパール同士の混泳であってもトラブルが起こるケースが結構あります。他の個体に目を食べられたり、体を突かれて鱗が剝がれたりということがあるので注意が必要です。

 

ピンポンパールの特徴であるパール鱗は、一度剥がれ落ちるとパール鱗としては再生せず、普通鱗として再生します。上記のような問題が生じた場合、原因になっている個体を特定して隔離するようにしないと、問題は繰り返し起こるので覚えておきましょう。

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ピンポンパールの繁殖

ピンポンパールの繁殖方法

 

金魚は生後1年以上経てば繁殖できるようになりますが、ピンポンパールも同じです。

 

雌雄判別としては、発情したオスの場合、エラ蓋や胸鰭の親骨に 追星と呼ばれる白い点々が出現します。そして、オスの肛門の形は細長いのに対し、メスの肛門の形は丸く大きく目立ちます。ヒーターで加温して飼育している場合は年中繁殖のチャンスがありますが、自然まかせの無加温の場合は4月~7月頃に繁殖するのが一般的です。

 

無加温でも室内で飼育していると、水温次第ではピンポンパールが春と勘違いして、秋や真冬でも産卵することがあります。見た目で雌雄判別ができなくても、複数飼育しているとオスがメスに行う追尾行動を目撃して気づいたりもします。

 

産卵が終了したようであれば、卵とその他のピンポンパールを隔離して、卵が食べられてしまうことを防ぎます。水温次第で違ってきますが、孵化には2日~1週間程度かかります。

 

稚魚が孵化して2~3日目から、生きたブラインシュリンプを少しずつ与えてみましょう。それまでは栄養袋(ヨークサック)で生きるので、飼育者が餌を与えるのは、孵化して2~3日目からとなるのです。

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ピンポンパールの気をつけたい病気

ピンポンパールに限らず、生き物を飼育していれば直面するのが、病気です。ピンポンパールがかかりやすい病気とその対処法について学んでおきましょう。

転覆病

ピンポンパールが正常な姿勢を保てなくなる病気で、体の障害みたいなものです。頭が常に下になる姿勢になったり、ひっくり返ってしまったり、水底に沈みっぱなしになったりします。

 

これは、浮袋が正常に働かなくなることで起こるのですが、原因は様々です。 低水温や加齢、餌の種類(ドライフード)などによって起こりやすくなると言われています。大量水換え時に溜め水(一晩汲み置いた水)を使わないことによる、負担のかかる水換えも原因になります。

 

28~30℃程度の高水温飼育で治るケースもありますが、一度なってしまうと治癒はほぼ期待できず、治癒しても再発が多いのが厄介です。原因が餌による場合は、餌の与え方や種類の改善で、初期症状から治癒することはあります。

転覆病にかかりやすい金魚

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2023年7月2日

松かさ病

松かさ病は立鱗病といって、魚の鱗が逆立つ病気です。エロモナス病の症状の1つと言えます。水槽内の常在菌であるエロモナス菌に感染して起こるのですが、何らかの原因でピンポンパールの抵抗力が落ちていたり、水槽内の菌の勢力バランスが崩れた時などに起きやすいです。

 

例えばそれは、加齢による抵抗力の低下だったり、不定期な大量水換え等による水槽内の菌の勢力バランスの崩れや、ピンポンパールへのストレスの増加などです。

 

パール鱗特有の、水泡症やガマガエル症候群と呼ばれる水膨れ状の症状も同じですが、治療には エルバージュなどの細菌性魚病薬を使います。基本的には治癒するのが難しい類の病気になります。

可愛いピンポンパールを飼ってみよう!

ピンポンパールを飼育してみよう!

 

なんたって見た目が可愛らしいピンポンパールは、一度は飼ってみることをおすすめします。一押しは、複数匹のピンポンパールを洗面器などの容器に入れて、真上から見てみることです。その可愛さと言ったら、ハマりますよ!

 

沢山のピンポンパールを夢見て、繁殖に挑戦してみるのもいいですね!サーッ!チョーレイ!

ピンポンパールは丸くて可愛い

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秋田県北秋田市にある小さなお店「アクアショップZERO」の店長です。 ディスカスが1番好きで繁殖が大好きです。 熱帯魚は繁殖ありきの楽しみ方が1番だと思っています。 記事に書ききれないことや、突っ込んだ内容は当店ブログやLINEで読んでください。 お悩み事はプロにお任せ。 当店の方もよろしくお願い致します。